軽井沢高原文庫 -3ページ目

軽井沢高原文庫は本日をもちまして本年度の営業を終了いたしました。一年間ありがとうございました。

 軽井沢高原文庫は本日11月30日をもちまして本年度の営業を終了いたしました。一年間ありがとうございました。来年度は令和8年3月上旬のオープンを予定しております。

 冬季休館中のお問い合わせや通信販売等のご連絡は、メール(e-mail:kogenbunko@yahoo.co.jp)、FAX(0267-45-6626)、郵便(〒389-0111 長野県北佐久郡軽井沢町長倉202-3)のいずれかにて、お受けいたします。

 きょうは、ショップの書籍やポストカード・一筆箋などの商品の棚卸し(全アイテムの数量を数えること)、当館の定期刊行物の棚卸し作業に一日、忙殺されていました。数日前から行ってはいましたが、なんとか終えることができました。

 次に載せる写真は、今年10月8日の軽井沢高原文庫の外観と前庭の様子です。「生誕100年 辻邦生展―軽井沢と物語の美ー」が終わる5日前です。わずか2か月前にはこんなに緑におおわれていたのですね。自然の千変万化にはいつも驚かされます。 (大藤 記)

  

2025.10.8

カワセミ

 きのう、朝8時ごろ、軽井沢タリアセン内のレストラン湖水にいると、何かが建物にぶつかる音がしたので、外に出てみると、カワセミが地面に落ちて死んでいました。塩沢湖畔を低空飛行していて、慌てたのか、よそ見していたのか、あるいは、ガラスに映る湖面を現実の湖面と思い違いしてしまったのか、建物に衝突してしまったようです。ここに写真を載せます。

 カワセミは、コバルト色の背と橙色の下面を持った、クチバシの大きな美しい小鳥です。 スズメくらいの大きさ。光線の具合により青にも緑にも輝くことから、〝水辺の宝石”とも呼ばれています。私も軽井沢で年数回の頻度で、ごくたまに見かけます。

 

2025.11.27

 

 さて、最近の出来事をここに記しておきます。

 3日前、私は来年のある行事に関する件で、東京銀座に行ってきました。東京は、パラパラと少し雨が降っていましたが、軽井沢に比べればだいぶ暖かい感じがしました。外国人観光客の姿を多く見ました。

 一昨日、「軽井沢高原文庫通信」第106号が納品されました。A4判12頁。三つ折りにする作業と封筒詰めをする作業を、一昨日と昨日、集中的に行いました。そして、けさ、軽井沢郵便局に持ち込んで、発送してきました。会員の皆さま、もうしばらくお待ちください。

 同じく一昨日、軽井沢美術館協議会の今年最後の例会を軽井沢タリアセンで行いました。事務局・会長館は軽井沢高原文庫。加盟8館の内、3館はすでに冬季休館中で、ルヴァン美術館副館長、田崎美術館館長は東京からお見えになりました。

 昨晩、雨が降ったようで、けさ、浅間山を見上げると、上部は雪に覆われていました(写真)。今季3回目くらいの積雪。浅間山に3回雪が降ると平地にも雪が降る、という古言があるようですから、遠からず平地にも雪が降るでしょう。

 12月4日前後から日本列島に寒波が南下してくるという気象予報が出ています。早くも流行の兆しを見せているインフルエンザとともに(人込みの場所へ出かける際はマスク着用をお勧めします)、皆さまもくれぐれも寒暖の変化にお気をつけください。 (大藤 記)

 

 

2025.11.28

 

 

 

今年の営業は残り一週間となります。落ち葉集め終了。信濃毎日新聞「辻邦生への序章」5回連載

 しばらくご無沙汰いたしました。皆さま、お変わりございませんか。

 軽井沢は木々が落葉し、すでに初冬の様相を呈しています。朝、仕事場に出てくる時、地面には霜が降りていて、サクッ、サクッと踏んできます。

 4日ほど前、軽井沢高原文庫の周囲の落ち葉を車のライトエースに数回、積み込んで、腐葉土をつくる場所へ運びました。これで今年の落ち葉集めは終了となります。

 きのうの軽井沢の気温は最低-2.2℃、最高9.5℃。きょうの予想は最低-1℃、最高13℃です。軽井沢は平地にまだ雪は降っていませんが、そろそろでしょうか。

 さて、軽井沢高原文庫の今年の営業は残り一週間となりました。11月30日で今年度が終了します。1年というのは本当にあっという間ですね。

 ここで、最近の出来事を思い出すままにいくつか、記しておきます。

 数日前、「軽井沢高原文庫通信」第106号がようやく校了となりました。数日後には納品されます。

 同じく数日前、ある短歌雑誌から頼まれていたエッセイ原稿を書いて、送りました。

 10日ほど前、全国文学館協議会第10回展示情報部会が前橋文学館で行われ、参加してきました。発表者は、調布市武者小路実篤記念館の伊藤陽子さん、世田谷文学館の竹田由美さん、前橋文学館の高坂麻子さん。テーマは「地域と文学館」。全文協の集まりに私は忙しくてなかなか参加できていないのですが、今回、各館の様々な取り組みを聞くことができて、大変勉強になりました。北は北海道から南は鹿児島まで、現場担当者が参加されていました。

 なお、すでに1か月以上が経過していますが、信濃毎日新聞が「辻邦生への序章 生誕100年 信州で培った文学世界」と題して5回シリーズの記事を文化面に掲載しました。信州にゆかりの深い作家とはいえ、辻邦生生誕100年の機会を捉えて、このように地元紙が大きく特集してくださったことに対し、深甚なる感謝を申し上げたいと思います。執筆は文化部の塚田岳さん。塚田さんは学生時代、辻さんの講演を聞いた経験があり、その際、辻さんと言葉を交わしたそうです。ここに辻邦生と軽井沢の関係を扱った初回記事を載せます。ご興味のある方は他の記事もどうぞご覧ください。丁寧な取材で辻文学の普遍性や今日性を探っていて、一読に値します。①2025.10.9。②同10.15。③同10.22。④同10.23。⑤同10.24。 

  

 さて、あすは、軽井沢町追分宿郷土館の「浅間根腰三宿のビスタ」展へ貸していた資料の返却があります。3日後に、「通信」第106号が納品されると、その発送作業が待っています。いま、ショップ等の商品の棚卸し作業も進めています。11月30日には堀辰雄山荘で開催中の「人文昆虫展 『蟲の歌を詠む』」が終了しますので、その後、撤去作業を行います。

 皆さま、日に日に気温が下がってきております。どうぞお身体を大切にお過ごしください。 (大藤 記)

 

軽井沢の紅葉はそろそろ終わりに近づいています。

 きょう、開館前、本館2階展示室の外を箒で掃いていて、針のような落葉松の黄葉がたくさん落ちているのに気づきました。軽井沢の紅葉はそろそろ終わりに近づいているようです。

 先日、軽井沢高原文庫の紅葉の写真を載せましたので、きょうは、当館から徒歩2分ほどのところにある、軽井沢タリアセンの様子を2枚、載せます。中央ゲートを入った付近と、旧朝吹山荘”睡鳩荘”を遠目で見た塩沢湖の一部です。3日前の撮影。

 きょうは、軽井沢高原文庫に、長野市から文章講座の団体13名様が中型バスで訪れました。講師は元信濃毎日新聞論説委員の三島利徳さん。三島さんはかつて文化部にもおられて、私は以前から存じ上げています。皆さん、熱心にご覧になっていました。そのうちの一人の男性は、「よくこれだけ充実した施設を40年も維持されてこられましたね」と驚いていました。

 なお、最近、「軽井沢高原文庫通信」第106号の原稿をお願いしていた7人の方から原稿が届きましたので、きのう、印刷会社へ入稿しました。今回は12ページ立て。発行は11月25日です。執筆者は、詩人や作曲家など、さまざまです。どうぞ楽しみにしていてください。 (大藤 記)

 

 

浅間山、初冠雪か

 きょうは11月3日。文化の日。

 きのう、軽井沢は好天に恵まれましたが、きょうの未明は雨が降っていました。

 さきほど、開館の準備で外に出ていると、空が急に明るくなり、ふと山のほうを見ると浅間山の上部が真っ白になっているのが見えました。今年の初冠雪でしょう。撮影時間は9時17分、撮影場所は当館敷地内の有島武郎別荘の2階の窓からです。

 皆さま、これから軽井沢へお越しになる方は、どうぞ暖かい服装でお出かけください。 (大藤 記)

 

軽井沢高原文庫の営業は11/30まで。有島武郎別荘カフェ「一房の葡萄」の営業は11/18まで。

 11月に入りました。3連休の初日。きょうの軽井沢の気温は最低7℃、最高15℃。

 秋が深まり、軽井沢は紅葉の見ごろを迎えています。

 きょうの軽井沢高原文庫の本館および前庭の様子を撮影しましたので、ここに載せます。

 さて、お知らせです。

 軽井沢高原文庫の今年度の営業は、例年通り、11月30日までとなります。現在、軽井沢高原文庫では「軽井沢の文豪たちに逢いにゆく<続>」を開催しております。明治期から昭和期にかけ、軽井沢ゆかりの文学者約50人が創作した詩・小説・随筆等を、自筆資料等約200点によって紹介しています。また中庭にある堀辰雄山荘において、歌人が詠んだ「蟲」たちを芋版画と共に実物標本で表現した「蟲の歌を詠む」を開催中。あわせてお楽しみください。

 きょうは、立原道造を数十年来、愛読しているという女性が熊本県からお見えになりました。

 もう一つ、お知らせがあります。軽井沢高原文庫敷地内の有島武郎別荘〝浄月庵”のカフェ「一房の葡萄」の今年度の営業は、11月18日(火)までとなります(水・木は休み)。「一房の葡萄」の次年度の営業開始は2026年4月11日でございます。

 ここへきて、朝晩の気温が一段と下がってきているように感じます。これから軽井沢へお越しになる方は、どうぞ冬の服装でお出かけください。 (大藤 記)

 

 

 

今年の軽井沢高原文庫主催イベントがすべて終わりました。

 秋が深まり、軽井沢は寒さが厳しくなってきました。けさの最低気温は3度。紅葉が一段と進み、見ごろを迎えつつあります。

 ここに載せる軽井沢高原文庫前庭で撮影した赤い実は、イチゴではありません。マムシグサの実です。サトイモ科テンナンショウ属の植物。マムシグサの実には毒性があり、食べられません。

 さて、3日前、10月25日、軽井沢高原文庫主催の最後のイベント「晩秋の信濃追分を歩く~追分ゆかりの文学者たちの足跡を歩く~」が開かれました。片山廣子を研究している東京都在住の女性や、8年前から軽井沢に移住しているというご夫妻などが参加されていました。

 旧追分宿の東の端から西へ向かってゆっくり歩きながら、約2時間かけて、曹洞宗の寺のあたりまで、今も残る文学ゆかりの建物や痕跡を辿りました。今回、追分宿郷土館では企画展「浅間根腰三宿のビスタ」を野巻花帆学芸員に、ギャラリー小灯では「吾輩はMONEY=KEI猫である」展を内山舞さんに、堀辰雄文学記念館では企画展「『美しい村』の幻像(イマアジュ)」を東崎悠乃学芸員に、信濃追分文化磁場油やでは旧油屋旅館内を斎藤祐子さんに、それぞれ短時間ながら、丁寧にご説明いただきました。

 ここには、堀辰雄文学記念館の敷地内で見つけた、かわいらしいキノコの写真を載せます。これは地元では「りこぼう」(または、じこぼう)と呼ばれているキノコで、食べられます。和名のハナイグチは花のように可憐なイグチ科のキノコの意味だそうです。

 

 泉洞寺の本堂の裏手にたたずんでいる堀辰雄が愛した石仏も訪れました。堀辰雄「樹下」に印象的に描かれています。堀さんは石仏の姿を「無心な姿勢」と表現しています。写真を載せます。

 

 このように、軽井沢高原文庫の今年最後のイベントが無事に終わり、ほっと胸をなでおろしています。今年の様々なイベントにご参加いただいたすべての皆さまに、心よりお礼申し上げます。

 ついでながら、もう一つ。 

 おととい、私は東京で開催された岸田國士「動員挿話」と井上ひさし「父と暮せば」の演劇を見に行ってきました。終戦から80年という節目に企画された反戦戯曲の2本立て一挙上演。文学座の高橋耕次郎さんが中心となった企画です。岸田國士の孫・岸田未知さんからお誘いをいただきました。

 日露戦争と広島原爆をそれぞれ主題としたこの2本立て公演は、今年、軽井沢高原文庫で「戦後80年 戦後文学を拓いたひとびと~荒正人宛サイン入り献呈本約五〇〇冊一挙公開~」と「戦後80年 壷井栄『二十四の瞳』~図書館情報学の世界から~」に携わった私には、間髪を入れずに、戦争について改めて考える機会を与えてくれました。ちなみに、「父と暮せば」は井上ひさしさんの代表作の一つです。 (大藤 記)

 

本日から、旧朝吹山荘「睡鳩荘」で「第15回 假屋崎省吾の世界 ㏌ 軽井沢」が始まりました。

 本日から、旧朝吹山荘「睡鳩荘」で「第15回 假屋崎省吾の世界 ㏌ 軽井沢」が始まりました。本日、明治四十四年館1階ホールでデモンストレーション&トークも行われます(11/2、3もあり)。

 華やかに美しく華道家・假屋崎省吾さんが旧朝吹山荘「睡鳩荘」をいけばなで飾ります。秋展の開催は初めてとなります。11月3日まで。入館料600円(入園料別)。

 先日、假屋崎さんが軽井沢タリアセンに来られた際、軽井沢高原文庫の辻邦生展へも足をのばしてくださいました。假屋崎さんから私に「裏庭に移築されている堀辰雄先生の山荘は軽井沢のどの辺にあったのですか」とのご質問がありました。

 皆さま、よろしかったら、服装で寒さ対策をしっかりしたうえで、紅葉の美しい軽井沢にお出かけください。 (大藤 記)

 

辻邦生展終了。「軽井沢の文豪たちに逢いにゆく<続>」スタート。

 きのうから、軽井沢高原文庫は今年4つ目の展示となる「軽井沢の文豪たちに逢いにゆく<続>」がスタートしました。明治期から昭和期にかけて、軽井沢ゆかりの文学者約50人が軽井沢を舞台に創作した詩・小説・随筆・戯曲・俳句・短歌等を、著作、原稿、初出紙誌、絵画等によって紹介しています。資料点数約200点。会期は11月30日まで。

 ここで、最近の出来事を少し振り返ってみたいと思います。この約1週間、忙しい日々を送っていましたので、私はまだ頭がボーっとしています。

 5日前の10月13日、夏季特別展「生誕100年 辻邦生展―軽井沢と物語の美―」が終了しました。終了日近くには、武者小路実篤の親戚にあたる方や、「高原文庫」第40号に辻さんの思い出を執筆いただいた版画家の山本容子さんらも来館くださいました。最終日には、愛知県の清須市はるひ美術館学芸員の加藤恵さんが訪れ、長時間、見学されていかれました。はるひ美術館では今年12月から辻邦生展が始まります。それによって、辻邦生生誕100年展の開催を公表している美術館・文学館・記念館のすべての展示担当者が来館くださいました。開催順に、山梨県立文学館の中野和子学芸員、旧制高等学校記念館の鈴木美恵学芸員、笛吹市春日居郷土館・小川正子記念館の窪田たけみ学芸員、清須市はるひ美術館の加藤恵学芸員、学習院大学史料館の冨田ゆり学芸員。

 10月13日夜、辻邦生展の撤去作業を行いました。学習院大学史料館よりお借りした資料約100点を1点1点、借用時に作成したコンディショニングレポートを参照しながら、資料リストの順に、中性紙保存箱に収める作業を約4時間かけて行いました。

 10月14日は朝から撤去作業の続き。終了後、展示室の清掃、次の展示の資料出しをして、ほぼ一日が終わりました。15日は朝から飾りつけ作業をスタートし、16日午後、なんとか飾りつけを終えました。

 きのうの10月17日は、私は午前6時に車で出発し、東京都豊島区にある学習院大学史料館へ向かいました。辻邦生展借用資料約100点を返却するため。今年7月の借用時と同じく、同館の冨田ゆり学芸員と塩川恵梨香さんが大変丁寧に、しかも手際よく対応してくださいましたので、スムーズに資料返却が進み、無事に完了しました。朝、東京へ向かう際は、地上から昇る太陽に向かい車を走らせ、帰りは夕陽を正面に見ながら車を走らせるという往復でした。

 これによって、今年の夏季特別展「生誕100年 辻邦生展―軽井沢と物語の美―」が実質的に終了しました。いまは安堵の気持ちでいっぱいです。

 今回の開催にあたり、多数の貴重資料を快くお貸しくださった学習院大学史料館に対し、心よりお礼申し上げます。そして、展示開催にあたり、ご協力くださった多くの皆様、講師の先生方、そして最後に、ご来館くださったすべての来館者およびイベントに参加された皆様に心より厚くお礼申し上げます。

 なお、ついでながら、今回の展示入れ替え期間を含む10月12日から17日まで、軽井沢高原文庫は一人の学芸員実習生を受け入れていました。長野県佐久市在住の女性で、佐久市立図書館館長を5年務め、現在は長野県図書館協会会長。近年、作家の故井出孫六氏の資料が故郷・佐久市に寄贈され、現在、その調査事業の担当をしていらっしゃいます。丁寧な仕事ぶりで、展示入れ替え期間を挟んだ時期でもあり、私も助かりました。

 さて、ここには、夏季特別展「生誕100年 辻邦生展―軽井沢と物語の美―」の会場風景から、「Ⅳ 軽井沢と辻邦生」コーナーを載せます。ケース内に飾ってある資料は、1点を除きすべてが2013年に辻家から軽井沢高原文庫に寄贈された辻邦生山荘から運んできたものですが、10月14日午後、山荘の元あった場所にそれぞれ戻しました。 (大藤 記)

 

 

 

 

水村美苗さん、紫式部賞受賞。辻邦生展終了まであと6日。

 きのう、水村美苗さんが紫式部文学賞を受賞されたとの報道がありました。水村さん、おめでとうございます。受賞対象は昨年9月刊行の『大使とその妻』(新潮社)。私は、いち早くネット上に情報を出したと思われる東京新聞のニュースで偶然に知りました。早速、水村さんへ祝意のメールをお送りしました。水村さんからは、ありがとうございますとのお返事を頂戴しました。

 水村さんは、著作の多くを受賞なさっている方です。したがって、今回の受賞は別に驚くにあたりませんが、『源氏物語』の作者の名を冠した賞ですから、水村さんは今回の受賞に特別な思いを抱かれたのではないでしょうか。日本古典にも詳しい水村さんは、作中でもそうした事柄に触れることがあり、現に『大使とその妻』の中にも『源氏物語絵巻』などが登場します。

 『大使とその妻』は軽井沢・追分の山荘が舞台の小説。8月2日、辻邦生展の関連イベント「高原文庫の会」で水村さんに講演「辻邦生さんをめぐる思い出」をお願いした際も、お話の中で水村さんはこの作品に触れておられました。

 2002年に発表された『本格小説』(読売文学賞受賞)と今度の『大使とその妻』の2作によって、水村さんは軽井沢文学の重要作家の一人になったと、私は認識しています。それは、別の言い方をするならば、明治以降の有島武郎、堀辰雄、川端康成、立原道造…と、百数十人続く軽井沢ゆかりの文学者たちの系譜上に、水村さんも立っておられるということであり、同時に、軽井沢文学の現在地の一つがここにある、ということを意味します。

 さて、話題が変わって、辻邦生展の終了まで残り6日となりました。きょうは、朝から青空が広がり、さわやかな秋の一日となりましたので、私はふと思い立って、辻邦生展の道路沿いの大看板や、高原文庫外観、1階ショップ、2階展示室の辻邦生展会場などを一通り、撮影しました。

 なお、私事ながら、私は10月1日から軽井沢町の教育委員という職を頼まれて、お受けしました。任期4年。身が引き締まる思いで、自分に務まるかどうかよくわかりませんが、ともかく精いっぱい努力したいと思います。

 さて、ここには、辻邦生さんと水村美苗さんの共著『手紙、栞を添えて』(1998年3月、朝日新聞社)を軽井沢高原文庫の玄関付近でさきほど、撮影しましたので、載せます。本書は1996年4月7日から1997年7月27日まで朝日新聞読書面に掲載された本文に大幅加筆したもの。装画は有元利夫『部屋の愉しみ』。刊行時に、新たに書き下ろされた、水村さんの「プロローグ 最後の手紙」と、辻さんの「エピローグ 風のトンネル」が加えられています。本書は辻邦生さんの家蔵本です。 (大藤 記)