一から学ぶ東洋医学 No.14 東洋医学を支える三大理論② 陰陽学説(3) 陰と陽の関係 | 春月の『ちょこっと健康術』

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おはようございます 

「一から学ぶ東洋医学 No.13 陰陽の分類」に垣間みえた陰と陽の関係、東洋医学講座のNo.2でも解説していますが、もう少し詳しく見ていくことにいたしましょう。



 陰陽の対立と制約

「あらためて、陰陽って何?」にあるように、上下や内外、寒熱など、陰陽は正反対の性質を示します。つまり、相反する関係。 これが陰陽の対立です。 けれど、ただ対立してるんじゃなくて、互いが行き過ぎないように、コントロールし合ってもいる。 これが陰陽の制約です。

1年の気候変化を見てみると、春夏は陽気が強くて暖かく、秋冬には陽気が減って寒くなる。 つまり、陽が多く陰が少なかったのが、夏至から少しずつ陰が増えていく。 その反対に、陽が少なく陰が多かったのが、冬至を境に陽がじょじょに増えていく。


もっとも、この考え方は、中国に四季があったからこそなのかもしれません。 けれど、たとえ常夏の国であっても、乾季と雨季があるでしょ? つまり、陰陽の変化はある。 陰陽の一方が増えると他方が減る、一方が盛んになると他方が衰える関係。 これを陰陽の消長と言います。


対立する陰陽が制約し合うことで、消長し合うことになり、消長し合った結果、そこに動的な平衡が生まれます。 結果的に陰陽が調和して、全体として統一される。 これが自然の法則。

人のからだも、自然界と同じく、陰陽が互いに対立しながら制約し合っています。 陰陽の消長による動的平衡が保たれて、陰陽が調和していれば、健康を保つことができます。


 
 陰陽の互根互用(依存)

陰と陽は、互いに対立していますが、相手の存在がなければ、自分もまた存在できません。 たとえば上下を見てみると、上があるからこそ下があるのであって、もし上がなければ、下と呼べるものもなくなっちゃうでしょ? 左右や内外も同様ですね。

 



こんなふうに、陰陽は、両方とも存在して初めて、一方が他方の存在を証明できるワケで、互いに依存し合う関係です。 これを陰陽の互根互用と言います。

人体では、が陽で、 は陰です。 東洋医学講座No.23にあるように、「気は血の帥、血は気の母」という関係で、血を動かすのは気ですが、その気の作用が発揮されるのは、血が提供する栄養があってこそ。 つまり、車のエンジンとガソリンのような関係ね。 両方なければ車(人体)は動かない。

人体は、陰だけでは生まれることがなく、陽だけでは成長することがありません。 陰陽が互いに依存し合っているからこそ、生命が育まれ、正常な機能が維持されるんです。



  陰陽の消長平衡

これまでの説明にもある通り、陰陽の対立と制約、互根互用は、決して固定されて静止したものではありません。 ある程度幅のある範囲の中で、絶えず変化する動的な平衡状態にあって、これを陰陽の消長平衡と言います。

まさに現代医学でいうところのホメオスタシス。 つまり、常に動いて変化しているけれど、全体として安定している状態。 古代中国の人は、2000年以上も前に、ホメオスタシスの原理をすでに知ってたんですよ。

四季の変化を見れば、冬から春になって夏へ向かうとき、寒さが徐々に和らいで、やがて暑さが増してきます。 これは陰が衰えてきて、陽が盛んになってくる状態。 これを陰消陽長と言います。 夏から秋になって冬へ向かうときは、その反対で陽消陰長ね。 一日の夜と昼の関係も同様です。

人体では、昼間は活動的で陽が盛ん、夜は抑制的で陰が盛ん。 朝から昼にかけてが陰消陽長で、夕方から夜にかけてが陽消陰長。 もし、この動的平衡がくずれると、陰陽バランスが偏ってしまうため、病気になってしまいます。

 


  陰陽の相互転化

陰陽は消長するだけでなく、ある一定の条件を満たすと、反対の性質に変わることがあります。 これを陰陽の相互転化と言います。 その条件とは、陰陽それぞれが重なったとき、陰陽それぞれが極みに達したとき。

四季の移り変わりはわかりやすいでしょ? 陰に陰が重なって、寒さがピークに達すれば、つまり陰が極まると、陽に転じて、徐々に暖かくなっていく。 一陽来復です。 夏至はその逆ね。

 

人体でも、熱性疾患で高熱が続くと、元気 をひどく消耗するため、急速に体温が低下してしまうことがあります。 これは、熱性疾患による高熱で、陽の極みまで行ってしまったために、陰に転化したため。 陽気暴脱という危篤状態です。 すぐに適切な処置をすれば、陽気が回復して病状が好転します。

 

5  陰陽可分

 

陰陽は条件次第で細かく分けることもできます。 そのことを陰陽可分といいます。 この世に存在する事物は、相対的な陰陽で成り立っていますから、立場(条件)が変われば、陰陽も変わる。

 

たとえば、四季の春夏は陽で、秋冬が陰ですが、春と夏、秋と冬をそれぞれ分ければ、春は陽中の陰、夏が陽中の陽、秋は陰中の陽、冬が陰中の陰となります。 太陽と月なら、太陽が陽で、月が陰ですが、月に注目すれば、満月は陽で、新月が陰。

 

人体でいえば、体表が陽で、体内(臓腑)が陰ですが、臓腑を分ければ、臓が陰で、腑が陽。 さらに五臓を分ければ、身体上部にある心と肺が陽で、下部にある肝、脾、腎が陰です。

 

易では、陽が陽、陰が陰で、両儀。 陽が陰陽に分かれると、陽の上に陽が乗って老陽となって老陽、陽の上に陰が乗って少陰となって少陰。 陰が陰陽に分かれたのが、少陽少陽と老陰老陰で、四つ合わせて四象。 さらに天乾、沢兌、火離、雷震、風巽、水坎、山艮、地坤と八卦に分かれるところなんて、まさに陰陽可分です。

 

 

陰陽の消長、転化、可分を図にあらわしたものが、↓こちら。

 

 

実は、↑この図の陰気の量と陽気の量の変化、1年分を円の中にうつしたのが太極図です。 よく見かける太極図はきれいな円形カーブで巴が描かれていますが、↓こんなふうにちょっといびつなのが本物らしいです。 

 

 

 

次回は、陰陽が東洋医学にどう活用されているか、についてお届けしますね。

 

一天一笑、今日も笑顔でいい1日にしましょう。

芝桜 
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