珍しいお客さまよ
昔の常連客の方がお見えになったの
快活なマダム・アナイスの声が
サロンに響き渡る
今日が最後の日
客を取るのも今日が最後
後でマダムに話そう
そう決心して
個室に入った時だった
突然の出来事に
戦慄が走る
昼顔とは
変わった名前だな
アンリ・ユッソン
この店の場所を教えてくれた男
落ち着きはらって驚きもしない
やっぱり罠だったのか？
ここにいると知って来たんでしょう？
ここを教えたのはあなたよ
あなたの望みは何 ?
私の弱味を握って 愛人にでもしたいの？
夫には言わないで
彼を傷つけたくないの
寝ればいいんでしょう！
それがあなたの望みなんだから
さぁ 今すぐこのベッドで抱いてよ
その代わり 夫には黙っていて頂戴
いいや 止めておくよ
僕が惹かれたのは貞淑な君だ
だがすっかりと変わってしまって
失望したよ
興味が失せた
ここを教えたのは事実だが
まさか本当に娼婦になっていたなんて
そう言い残してユッソンは出て行った
机に金を置いて - - -
屈辱だった
ずっと嫌っていた男に 金で買われるなんて
こんな姿を見られるなんて
その足でマダムに会いに行った
今すぐにここを辞めます
どうしたの？ 急に辞めるだなんて
マルセルのことね
さっきあなたに会えずに
怒って帰って行ったから
本気になったのね
あなたを昼も夜も独占したがるんでしょう？
ええ そうです
マダムの勘違いに助けられた
それじゃ仕方ないわね
辞めていいわよ
面倒が起きる前に
でも残念だわ
あなたとはとても気が合ったのに
私は
マダム・アナイスに
そっと別れをつげて
サングラスに黒い帽子を被り
店を後にした
イポリットに
尾行されているとも - - -
知らずに - - - ✨
続く - - - ✨
次回は - - - 最終回です✨
すっかり
お待たせしてしまった
「昼顔」
お待たせしてしまった分
最終回と最後の感想
加筆して頑張ってみたいと思います✨
