2021年ブゾーニ国際ピアノコンクール ソロファイナル 第1日 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

イタリアのボルツァーノで開催されている、2021年ブゾーニ国際ピアノコンクール(公式サイトはこちら)。

8月28日は、ソロファイナルの第1日。

ネット配信を聴いた(こちらこちら)。

ちなみに、2021年ブゾーニ国際ピアノコンクールについてのこれまでの記事はこちら。

 

2019年ブゾーニ国際ピアノコンクールが終わって

2020/2021年ブゾーニ国際ピアノコンクール 予選詳細発表

予選 第1日

予選 第2日

予選 第3日

予選 第4日

予選 第5日

予選 第6、7日

予選 第8日

予選 第9~11日

2020/2021年ブゾーニ国際ピアノコンクール 予選通過者発表

セミファイナル 第1日

セミファイナル 第2日

セミファイナル 第3日

セミファイナル 第4日

 

 

 

 

 

以下、使用されたピアノはいずれもスタインウェイ/Passadoriである。

 

 

1. Illia OVCHARENKO (2001 - Ukraine)

 

R. SAUNDERS: Shadow

J.S. BACH/F. BUSONI: Choralvorspiel "Nun komm, der Heiden Heiland", BWV 659 - BV B 27 n.3

L.v. BEETHOVEN: Sonate n. 26, op. 81a

F. LISZT: Sonata in si minore/h-Moll, S. 178

 

力強いタッチとメランコリックな音色を持つ。

洗練された、というよりは荒々しいところのある演奏だが、この日はどの曲も粗くなりすぎずによくまとめられていると思う。

 

 

2. Jae Hong PARK (1999- Republic of Korea)

 

D. SCARLATTI: Sonata in si minore, K. 27

É. TANGUY: Passacaille

J.S. BACH/F. BUSONI: Choralvorspiel "Wachet auf, ruft uns die Stimme", BWV 645 - BV B 27 n.2

L.v. BEETHOVEN: Sonate n. 29, op. 106

 

ベートーヴェン晩年の大作だからといって思わせぶりなことはせず、リストのソナタに通じる技巧的大伽藍として真っ向勝負した名演。

他の曲はそこまでのインパクトはないにしても悪くない。

 

 

3. Junhyung KIM (1997- Republic of Korea)

 

T. HOSOKAWA: Etudes I – 2 Lines for piano

L.v. BEETHOVEN: Sonate n. 22, op. 54

F. LISZT: da/aus Années de pèlerinage – I n. 6: Vallée d'Obermann

J. BRAHMS/F. BUSONI: Choralvorspiel op. 122, n. 4 "Herzlich tut mich erfreuen"

J.S. BACH/F. BUSONI: Choralvorspiel "Ich ruf zu dir, Herr Jesu Christ", BWV 639 – BV B 27 n. 5

I. STRAVINSKIJ: Trois mouvements de Petrouchka

 

音色は単色系だが、その分を緻密で丁寧な音楽表現で補っている。

ただ、「ペトルーシュカ」はさすがの彼でもやや苦しそうな箇所があり、全体的に弾けているほうだとはいえ印象はやや尻すぼみか。

 

 

4. Lukas STERNATH (2001- Austria)

 

J. S. BACH/F. BUSONI: Choralvorspiel "Ich ruf zu dir, Herr Jesu Christ", BWV 639 – BV B 27 n. 5

W. A. MOZART: Sonate n. 2, KV 280

T. HOSOKAWA: Etudes I – 2 Lines for piano

F. MENDELSSOHN: Variations sérieuse, op. 54

F. MENDELSSOHN/S. RACHMANINOV: da/aus Ein Sommernachtstraum: Scherzo

S. RACHMANINOV: Sonata n. 2, op. 36 (Ed. 1931)

 

端正な様式の中で情熱を爆発させるタイプで、特にメンデルスゾーンとラフマニノフが良い(モーツァルトはやや典雅さに欠けるか)。

きわめて緻密とは言わないが、完成度もそれなりに高い。

 

 

5. Serena VALLUZZI (1994- Italy)

 

C. WUORINEN: Etude for Chords and Dynamic Balance

L.v. BEETHOVEN: Sonate n. 11, op. 22

J.S. BACH/F. BUSONI: Choralvorspiel "Ich ruf zu dir, Herr Jesu Christ", BWV 639 – BV B 27 n. 5

S. RACHMAININOV: Sonata n. 2, op. 36

 

セミファイナルと異なり彼女の野性味がよく出た選曲で、特にラフマニノフは凄みがある(終楽章コーダでバスを外しがちだが。なお改訂稿でなくルガンスキーに似た初稿折衷版を用いており、個人的に好み)。

 

 

6. Xiaolu ZANG (1999- China)

 

T. HOSOKAWA: Etudes I – 2 Lines for piano

J.S. BACH/F.BUSONI: Chaconne, BWV 1004

L.v. BEETHOVEN: Sonate n. 28, op. 101

S. PROKOF’EV: Sonata n. 7, op. 83

 

明るくロマン的な演奏で、技巧的にもまずまず安定している。

特にプロコフィエフは若々しい情熱に満ちている(重戦車風の無機質な感じは出ていないが、こういう人間臭いのも悪くない)。

 

 

 

 

 

そんなわけで、第1日の演奏者のうち、私が室内楽ファイナルに進んでほしいと思うのは

 

2. Jae Hong PARK (1999- Republic of Korea)

4. Lukas STERNATH (2001- Austria)

5. Serena VALLUZZI (1994- Italy)

6. Xiaolu ZANG (1999- China)

 

あたりである。

次点で、

 

1. Illia OVCHARENKO (2001 - Ukraine)

3. Junhyung KIM (1997- Republic of Korea)

 

あたりか。

個々人の出来の印象がセミファイナルとはけっこう異なっている。

やはり選曲は大事ということか。

ともあれ、実力としてはみな横並びに近いように思われる。

 

 

次回(8月29日)はソロファイナルの第2日。

ソロファイナルの最終日である。

 

 


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