2021年ブゾーニ国際ピアノコンクール セミファイナル 第2日 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

イタリアのボルツァーノで開催されている、2021年ブゾーニ国際ピアノコンクール(公式サイトはこちら)。

8月25日は、セミファイナルの第2日。

ネット配信を聴いた(こちらこちらこちら)。

ちなみに、2021年ブゾーニ国際ピアノコンクールについてのこれまでの記事はこちら。

 

2019年ブゾーニ国際ピアノコンクールが終わって

2020/2021年ブゾーニ国際ピアノコンクール 予選詳細発表

予選 第1日

予選 第2日

予選 第3日

予選 第4日

予選 第5日

予選 第6、7日

予選 第8日

予選 第9~11日

2020/2021年ブゾーニ国際ピアノコンクール 予選通過者発表

セミファイナル 第1日

 

 

 

 

 

以下、使用されたピアノはいずれもスタインウェイ/Passadoriである。

 

 

1. Illia OVCHARENKO (2001 - Ukraine)

 

F. BUSONI: from Elegien: Choralvorspiel "Meine Seele bangt und hofft zu Dir", BV 249

D. SCARLATTI: Sonata in Mi maggiore, K.20

D. SCARLATTI: Sonata in fa minore, K. 466

F. LISZT: Grandes études de Paganini, S.141: n. 3 “La Campanella”

R. SCHUBERT/F. LISZT: from Franz Schuberts Vier Geistliche Lieder, S. 562 : 1. Litanei

S. RACHMANINOV: Sonata n. 2, op. 36 (Ed. 1931)

 

スラヴ風の音色が美しい(特にスカルラッティのK.466)。

ただ、スカルラッティのK.20やリストではタッチのムラが目立つ。

ラフマニノフもやや荒っぽいが、これはまぁサマになっているか。

 

 

2. Jae Hong PARK (1999- Republic of Korea)

 

R. SCHUMANN: Kreisleriana, op. 16

F. BUSONI: 10 Variationen über ein Präludium von Chopin, BV 213a

 

情熱的な音と優れた技巧を持つが、シューマンらしい詩には乏しく、緩徐な曲での歌わせ方は収まりが悪いし、終曲ももっと陰が欲しい。

彼にはリストのほうが良かったか(ブゾーニは良いが)。

 

 

3. Junhyung KIM (1997- Republic of Korea)

 

F. BUSONI: Elegie "All'Italia! In modo napolitano", BV 249

J. WIDMANN: from Elf Humoresken: 4. Waldszene, 11. Mit Humor und Feinsinn

R. SCHUMANN: Humoreske, op. 20

 

ヴィトマンとシューマン、仙台国際コンクールでも弾いた彼の得意曲で(その記事はこちらなど)、今回も相変わらずキレがある。

シューマンも、派手さはないがしっかりと詩を感じさせてくれる。

 

 

4. Davide RANALDI (2000- Italy)

 

J.S. BACH: Aria variata alla maniera italiana, BWV 989

F. BUSONI: Elegie "All'Italia! In modo napolitano", BV 249

J. BRAHMS: Variationen über ein Thema von Paganini, op. 35

 

イタリアらしい明るい音、輝かしい打鍵を持ち、技巧も確かで、ポリーニの再来とでも言いたいところだが、今回のブラームスはやや難もあった(第1巻最終変奏の走句や第2巻第1変奏の三度がもたつく)。

 

 

5. Zhora SARGSYAN (1994- Armenia)

 

A. SKRJABIN: Sonata n. 5, op. 53

F. BUSONI: Sonatina seconda, BV 259

F. CHOPIN: Ballade n. 4, op. 52

F. LISZT: Mephisto Waltz n. 1, S. 514

 

スクリャービンやショパンは、東欧らしいメランコリックな音色と、情熱的でパワフルな打鍵とが利いており、聴きごたえがある。

ただ、リストは音に迫力はあるものの足取り重くミスタッチも多い。

 

 

6. Polina SASKO (1993- Ukraine)

 

C. DEBUSSY: Prélude “La terrasse des audiences du clair de lune”, Livre II

C. DEBUSSY: Prélude “La serenade interrompue”, Livre I

F. BUSONI: Preludi op.37, BV 181 n. 2, 3, 12, 18, 15, 4

J. BRAHMS: 4 Klavierstücke, op. 119

 

こちらも東欧風の音色を持つが、タッチがより軽快なのが特徴。

ただ、ドビュッシーにブラームス、悪くはないが予選でのチャイコフスキーやラフマニノフといった東欧音楽ほどの親和性は感じられない。

 

 

7. Lukas STERNATH (2001- Austria)

 

D. SCARLATTI: Sonata in fa minore, K. 481

D. SCARLATTI: Sonata in fa minore, K. 184

F. BUSONI: Elegie “Berceuse”, BV 252

F. BUSONI: Elegie "Turandots Frauengemach", BV 249

A. SKRJABIN: Sonata n. 2, op. 19

S. PROKOF’EV: Sonata n. 7, op. 83

 

スカルラッティ、予選と同じく端正で味わいがある。

プロコフィエフは第1楽章展開部や終楽章などもっと速いテンポでガンガン攻めてほしいが、そうしないのが格調高いともいえるか。

 

 

8. Serena VALLUZZI (1994- Italy)

 

F. BUSONI: Preludi op. 37, BV 181 n. 2, 3, 7, 8, 9, 15

M. RAVEL: Gaspard de la nuit

 

オンディーヌもスカルボもテンポがやたら遅く、そのぶん特別な繊細さや幻想性が聴かれるというわけでもなくて、むしろ粗い箇所もある。

予選のように彼女の野性味が発揮される曲のほうが良かったか。

 

 

 

 

 

そんなわけで、第2日の演奏者のうち、私がソロファイナルに進んでほしいと思うのは

 

3. Junhyung KIM (1997- Republic of Korea)

4. Davide RANALDI (2000- Italy)

5. Zhora SARGSYAN (1994- Armenia)

7. Lukas STERNATH (2001- Austria)

 

あたりである。

次点で、

 

1. Illia OVCHARENKO (2001 - Ukraine)

2. Jae Hong PARK (1999- Republic of Korea)

6. Polina SASKO (1993- Ukraine)

 

あたりか。

第2日は、予選でかなり良いと思ったのだが今回はそこそこ、という人がなぜか多かった。

 

 

次回(8月26日)はセミファイナルの第3日。

 

 


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