イタリアのボルツァーノを本拠地として世界各地で開催されている、ブゾーニ国際ピアノコンクール(公式サイトはこちら)。
11月9日は、予選の第3日。
第3日の演奏と、第2日のうちパリでの演奏のネット配信を聴いた(こちらのサイト)。
ちなみに、2020/2021年ブゾーニ国際ピアノコンクールについてのこれまでの記事はこちら。
(2020/2021年ブゾーニ国際ピアノコンクール 予選詳細発表)
Nour AYADI (1999- Morocco) (Plays in PARIS)
F. Liszt: Transcendental Étude No. 12 (Chasse-Neige)
S. Prokofiev: Étude Op. 2 No. 1
F. Mendelssohn: Variations sérieuses
端正というよりは少し横に流すような、独自の感性を見せる。
ただ技巧的には、リストは概ね良いが、プロコフィエフはもさっとしており、メンデルスゾーンはコーダの左右交互トレモロのムラが目立つ。
Josquin OTAL (1992- France) (Plays in PARIS)
A. Skrjabin: Sonate Op. 53 No. 5
F. Chopin: Étude Op. 10 No. 5
S. Rachmaninov: Étude Op. 39 No. 3
スクリャービンは遅めのテンポだが和音スタッカートの粒がそろわず。
ショパンも右手がもつれ気味、ペダルもときどき濁る。
ラフマニノフはフランス風の硬質な音色が活きており悪くないけれど。
Guillaume VINCENT (1991- France) (Plays in PARIS)
O. Massiaen: Regard de l'Esprit de Joie
C. Debussy: Étude No. 2 "Pour les tierces"
F. Liszt: Étude Paganini No. 2
メシアンは遅めのテンポだがそのぶん表現力で勝負かというと厳しいところであり、ドビュッシーも三度の和音が滑らかにつながらない。
リストの急速下行音階や左右交互オクターヴは割ときれいだけれど。
Eudald BUCH (1997- Spain) (Plays in BARCELONA)
D. Scarlatti: Sonata in b minor, K.87
D. Scarlatti: Sonata in D major, K.29
I. Albéniz: Triana (Iberia, Book II)
F. Chopin: Étude No.5 Op. 10
S. Rachmaninov: Étude-tableaux in Op.39 No.5
スカルラッティは急速なパッセージがややたどたどしい。
ショパンも、2つ前の人ほどもつれないが鮮やかというほどでもない。
スペインの味のあるアルベニスや情熱的なラフマニノフは悪くないが。
Alberto MENJON (1993- Spain) (Plays in BARCELONA)
B. Bartók: Sonata Sz. 80
F. Liszt: Grande Étude de Paganini No. 3 "La Campanella"
A. Skrjabin: Étude Op. 65 No. 3
思いのたけを込めるというよりは淡々としたアプローチであり、バルトークやリストに合っているし、スクリャービンにおいても面白い。
ただ、指がよく転ぶのが難点(スムーズな箇所はスムーズなのだが)。
そんなわけで、第3日(および第2日のパリ)の演奏者のうち、私がセミファイナルに進んでほしいと思う人は特にいなかった。
次点で、
Nour AYADI (1999- Morocco) (Plays in PARIS)
Alberto MENJON (1993- Spain) (Plays in BARCELONA)
あたりか。
次回(11月10日)は予選の第4日。
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