2020年8~10月に東京で開催された、第89回日本音楽コンクールのピアノ部門(公式サイトはこちら)。
本日11月12日に、本選の演奏の一部がNHK-FMで放送されたので聴いてみた。
ちなみに、第89回日本音楽コンクールについてのこれまでの記事はこちら。
(第89回日本音楽コンクール(ピアノ部門) 1次予選通過者発表)
(第89回日本音楽コンクール(ピアノ部門) 2次予選通過者発表)
(第89回日本音楽コンクール(ピアノ部門) 3次予選通過者発表)
(第89回日本音楽コンクール(チェロ部門) 2次予選通過者発表)
(第89回日本音楽コンクール(ヴァイオリン部門) 本選結果発表)
なお、以下はいずれも渡邉一正指揮、東京フィルハーモニー交響楽団との共演である。
・荒井玲奈
ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 作品11 より 第2楽章(途中から)、第3楽章
曲に浸りきるというよりは、少しきりっとしたところのある演奏。
特に第3楽章が良く、アルペッジョや音階の難しい急速パッセージも丁寧にこなしつつ、守りに入ることなく快速テンポを保てている。
これでさらにクラコヴィアク(ポーランドの舞曲)らしい躍動感や協奏曲らしい華麗さが加わればなお良いか。
・三浦颯太
サン=サーンス:ピアノ協奏曲第2番 ト短調 作品22 より 第1、3楽章
爽やかな情趣を持つ美しい演奏。
第1楽章、さらりとしているがぶっきらぼうでなく音楽的。
第3楽章も余裕があり、タランテラのリズムにしっかり乗れている。
音楽にクセがなくスマートで、テクニック的にもかなりのものがあり、正統派ピアニストといった印象。
・山縣美季
ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 作品21 より 全曲
こちらについては、彼女のピティナ特級ファイナルでの演奏(その記事はこちら)と概ね同じ感想のため、ここでは省略する。
・望月晶
サン=サーンス:ピアノ協奏曲第2番 ト短調 作品22 より 全曲
節度ある表現の内に、強い情念の表出を感じる演奏。
特に第1楽章が秀逸で、その情熱的な表現は、サン=サーンスのサロン的イメージを覆すような説得力を持つ。
第2、3楽章はやや真面目過ぎるきらいはあり、もう少し舞曲調の軽快さ、流麗さ、技巧的華麗さが欲しいが、いまいちというほどではない。
そんなわけで、以上の4人の演奏に、私の中で勝手に順位をつけるとすると
1. 三浦颯太
2. 望月晶
3. 荒井玲奈
4. 山縣美季
というような感じになる。
ただし、全演奏が放送されたわけではないので、全て聴いていたら印象は違っていたかもしれない。
なお、実際の結果については先日の記事(その記事はこちら)を参照されたい。
私の順位とはだいぶ違っているが、好みの問題もあるだろう。
4人ともそれぞれ自身の持ち味をしっかり出せていたように思う。
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