エッセイ;朝、起きて鳥の鳴き声を聞く。ふと我思う。数万年前の人類も。
休日の朝、目を覚ますとカーテン越しに小鳥の啼き声が聞こえた。なにぶん浅学なので鳥の種類がわからない。ただ、私の知らない、聞きなれない啼き方で囀っているのがわかった。チィ チィ チィ チィチィィと独特のパターンを繰り返していた。チィ チィ チィ チィ チィィの間にはちゃんと休符があり、そこに無音の間(ま)が設けてあった。そのとき、「はて、今まで家の周りでこのような鳥の啼き方を聞いたことがあっただろうか」と訝しく思った。また少し離れたところに別の種類の鳥がいるのだろう。こちらは「ツィツィツィツィツィツィツィ……」と矢継ぎ早に何かを伝える様な啼き方をしている。寝起きにそれらが合わさり自然の合唱のように聞こえたので「あれっ、おかしい。毎朝こんなに賑やかだったろうか」と妙な気分になった。鳥の啼き声が音楽のように聞こえた。他の鳥たちも遠くで啼いていて特にそう感じたのかもしれない。なぜかその時は、少しびっくりするほど調律的に聞こえた。美しい音色だが、しっかり相手に意思を伝えていた。仲間を呼んでいるのか、番を探しているのか。朝を通し同じパターンで演奏していた。随分、こうした野生動物のするコミュニケーションに耳を傾けてこなかったのだろう。(少し、シュールに感じたほどだ)しかし、ここで突然、頭の中にある考えが思い浮かんだ。「ああ…」「数万年前の人類もこんなふうに鳥の音楽を聞いていたのだろうな。」となぜか寝床で思った。数万年前いや数十万年前も、身の回りの生活で一番耳にした動物の音声は鳥の啼き声ではなかったろうか。(音楽的なものでは虫の鳴き声もあるが。犬や猫はもっと後だろうし音楽的ではない)当時の人たちもこうした(鳥をはじめとした)動物たちの出す音のやりとりに耳を傾けていたことは間違いあるまい。そうまだ言語すらなかったとき、こうしたやりとりをどのような思いで聴いていたのだろう?我々の祖先であるホモ・サピエンスは約10万年前アフリカ大陸を出立し、世界中へ拡がった。DNA解析から判明したという。俗にいうグレートジャーニーである。その過程、様々な民族DNAに枝分かれし、気づいたら異なる言語を話していた。いつ頃から人類は言葉を発し出したのだろう。記録がないからわかりようがないのだが。(氷河などに冷凍保存された人の口腔内(の筋肉の発達)を調べればわかるだろうか?)鳥や他の動物がする、音による伝達方法を人間が真似た可能性は大いにある。オオカミの遠吠えなど自然界には、自らの存在(ここにいるぞー、おれがボスだぞー)やなんらかの意図を示す音情報はたくさんある。テリトリーに入るな(警告)、だとか危険を伝える、ことはどんな動物だってする。鳥を真似、音程や間、リズムを口ずさむうち、一音以上の塊を定型化した。そのパターン化したものに意味を持たせることではじめて言語が生まれた。また人が猿から進化した存在ならば、猿のする呻きや咆哮をどこかで引継いでおり、それを参考に、最初の言語の形態へ発展させた?単にわたしの寝起きの妄想ですが、誰も正解はわからず、不正解もわからない、なので、あえて、こんなことを書いてみます。もしかしたら言語の先生は小鳥だったのかもしれない。もしかしたら言語のはじまりは音楽だったのかもしれない。(おしまい)