腕の解剖学と使い方 | 股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

骨盤後傾から骨盤をおこし股関節を超なめらかに。体幹と四肢を連動させ動きの質を追及する。運動とは人の重心が移動することである。運動を成立させるべく構造動作理論(Anatomical Activity)に基づくトレーニング方法と身体観察について綴ります。

上肢骨は、胸郭と連結する上肢帯(鎖骨と肩甲骨からなる)と、その末端につづく自由上肢骨(上腕骨と尺骨、橈骨と手の骨からなる)とにわけられる。左右の上肢帯は、それぞれ後ろの広い部分(肩甲骨)と、前の弓状の部分(鎖骨)とからでき、胸郭の上方全周を囲むように位置している。
 
肩甲骨は、三角形の扁平骨で胸郭の背側に接し第2~第7肋骨の高さに位置し、内側方は多くの筋によって胸郭と結合され、外側方は関節によって鎖骨および上腕骨と結合される。
 
鎖骨は、胸郭上端の前方でほぼ水平に位置する長骨で、その両端はそれぞれ肩甲骨および鎖骨に接する。鎖骨は皮下に触れやすく軽くS状にまがる。鎖骨は、胸骨端、肩峰端、鎖骨体にわける。鎖骨の胸骨端と胸骨の鎖骨切痕との間にできる関節を、胸鎖関節という。
 

▲日本人体解剖学 金子丑之助著
 
胸鎖関節の運動は広く、その助けによって上肢の自由運動がおこなわれる。鎖骨は肋鎖靭帯を支持点として、その肩峰端の楕円運動(上下に8㎝、前後に10㎝)をおこなう。
 
▲日本人体解剖学 金子丑之助著
 
肩関節の参考可動域の角度は、前方拳上(屈曲)180度、後方拳上(伸展)50度、側方拳上(外転)180度だが、肩関節周囲の筋肥大による可動域制限や腕の故障により参考可動域の角度に届かない場合は、僧帽筋や広背筋が正常に作用してないことが考えられ、よって正しい頭の位置、腕の使い方ができておらず、四肢と体幹を連動させることが難しい。肩関節の正常可動域が維持できてない場合は、上肢帯、頸椎、胸椎などに適切な処置を施し、正常可動域を取りもどすことが先決だ。
 
 
さて、太極拳を趣味にしているシニアの方が、今回は腕の動きをみてほしいとのこと。太極拳に限らず、腕の動き、そしてその使い方は大切だ。腕の動き、各関節の可動域などの検査をした後、全身が動きやすい状態へ施術をほどこし、正しい腕の使い方の感覚を入力し、正しく運動で出力できる状態に身体をセッティングする。
 
 
そして、正しい腕の使い方が、体幹と連動しているのか、股割りで検査する。腕というのは、四肢の一部であり、正しく腕を使うということは、四肢と体幹が連動している動きであることが大切だ。
 
 
正しい動作を身に付けるためには、感覚を入力、運動で出力することを繰り返すことが必要だ。おそらく、どのような学びでも感覚入力と運動出力の繰り返しが大切だと思うが、股割りはシンプルな動作なので正しい動作を身に付けることに向いているのだと思う。 効果が出せない場合は、これらのことを積み重ねていないことが多い。