背筋の第二層には、大菱形筋、小菱形筋、肩甲挙筋の3つの筋がある。3つとも第一層の僧帽筋の深部にあり、僧帽筋とともに上肢を脊柱に結び付け、肩甲骨の内側縁に付着する。
大菱形筋は、T2~T5の棘突起に付着する。小菱形筋は、大菱形筋のすぐ上方に位置し、項靭帯、C7~~T1の棘突起に付着する。どちらの筋も上肢の運動に作用し、肩甲骨の位置と動きの安定化を助ける。
肩甲挙筋は、環椎、軸椎、C3~C4の横突起、肩甲骨内側縁に付着する。頸椎を固定すると、肩甲骨の拳上と回旋を助け、肩先を下げる、肩甲骨を固定すると、頚部を外側に屈曲、同側に回旋、肩甲挙筋が両側で作用すると、頸椎の伸展を助ける。
▲基礎・臨床解剖学 翻訳早川敏之
競技動作で、肩が挙がりやすい、腕の振りが滑らかにおこなえない、手足のリズムが安定しない、体幹が崩れやすいなど、上肢と脊柱に問題が予測される場合は、背筋の第一層と第2層が正しく作用していないことが考えられる。肩関節や脊椎椎間関節の可動域に制限がある場合は、適切な処置を施し、正常可動域を維持する。
そして、股割り動作にて四肢と体幹の連動性と、背筋の第一層と第二層の作用状況を検査する。正常可動域を維持しているからといって、四肢と体幹の連動性が良好な状況であるとは限らない。