スポーツ選手のリハビリとパフォーマンスアップ関節の噛み合わせ | 股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

骨盤後傾から骨盤をおこし股関節を超なめらかに。体幹と四肢を連動させ動きの質を追及する。運動とは人の重心が移動することである。運動を成立させるべく構造動作理論(Anatomical Activity)に基づくトレーニング方法と身体観察について綴ります。

施術室の湿度計は96パーセントをさしている。治療院の玄関と窓を全開、換気扇、扇風機をフル稼働にすると、風が通って湿度の高さが気にならなくなる。
 
空手動作で肩が挙がってしまうのを修正したい。動作をするときに肩が挙がってしまうと、四肢と体幹の連動が円滑におこなわれずパフォーマンスが上がらない。この場合は、肩の筋肉に力を入れすぎていることや、何かしらの原因で肩甲帯が細分化されていないことなどが考えられる。いずれの場合も、肩の力を抜く、リラックスをすることで、問題を解決しようとするが、一時的な対処で問題が解決されていないことが多い。
 
私は、なぜ動作をするときに肩を挙げてしまうのか?というように考えるので、選手が訴える症状、普段のトレーニング動作、競技動作をあわせて見せてもらう。動作をするときに肩に力が入っている時は、股関節の動きが硬かったり、四肢と体幹、身体全体の連動が円滑におこなわれていないことが多い。また、競技生活の中で、突指や捻挫、骨折、細かなものから大きな怪我まで経験していると、身体は痛みを逃して動作をする生理的な反応があるので、故障の度に痛みを逃した動作が上書きされ、四肢と体幹の連動が途絶えていることもある。そうすると、選手が訴える症状が解決したと思っていても、身体全体の問題としてみたときに、四肢と体幹の連動が開通していなければ、また別の問題として浮上する可能性が高い。
 
 
普段おこなっているトレーニング動作は、競技動作に直結するものでなくては意味がない。トレーニング動作は、競技動作のパフォーマンスを上げるものが望ましいが、四肢と体幹の連動を妨げるようなトレーニング動作が習慣化され、それに気づいていないことがある。股関節の可動域を広げるためにおこなっているトレーニング動作なのに、大腿骨と骨盤が噛み合っていない、すると、競技動作では大腿骨と骨盤が噛み合っていないために腰が前に出ない、そのため瞬時に踏み込むことができない、というようにパフォーマンスを上げていくことに繋がっていかないのだ。
 
 
肩に症状をだしているものが、実は脚に原因があったり、また、突指などの些細な怪我だと思ってそのままにしていたことが、肩関節の可動域を制限していることもある。結局、身体全体から原因の原因を導き出していかなければならない。そうすると、過去に怪我が多い人などは、痛みを逃すための動作方法が幾重にも上書きされているので、本当の原因に辿りつくのは大変なことだ。そこで、幾重にも上書きされた不要なデータを一掃する方法が運動療法だと考えている。基本的な身体の正確な動きを入力し出力できるようにすることが大切だ。そうすることで、原因の原因があぶり出されてくる。
 
 
骨折や突指の痕に、骨と軟部組織が癒着していることがある。癒着の箇所は、筋、腱、などが絡み合っているようなイメージなので、丁寧にはがすことが大切だ。
 
 
施術効果が動作に現れているのかを確認する。そして、普段のトレーニング動作と競技動作に不一致があれば修正する。
 
 
今回は、動作で肩が挙がってしまう問題に対して、腕について見直していく上で、上腕骨と肩甲骨、大腿骨と寛骨の噛み合わせを修正した。
 
 
股割りトレーニングは、四肢と体幹の連動を円滑にするトレーニングとして優れているが、目的が曖昧では効果が期待できない。大きな開脚をして、股関節が噛み合わなくなることが多い。そうすると、四肢と体幹の連動に歪みができて、肩関節が噛み合わなくなることがある。股割りトレーニングは、動作のトレーニングであるから、ストレッチを目的にしてはいけない。
 
 
スクワットトレーニングにおいても、四肢と体幹の連動を円滑にする目的でおこなうことが大切だ。スクワット動作を後重心で何度おこなったとしても効果は期待できない。
 
 
さらに、トレーニング動作と競技動作に不一致がないか確認する。
 
 
肩に問題意識があったとしても、意識とはあまりあてにならないもの。身体全体から運動と感覚の循環が円滑になることで、本当の問題を実感することが大切だ。
 
 
7/17-18 構造動作トレーニング・東京教室