大腰筋が力を発揮するための下肢のアライメントと感覚の移動 | 股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

骨盤後傾から骨盤をおこし股関節を超なめらかに。体幹と四肢を連動させ動きの質を追及する。運動とは人の重心が移動することである。運動を成立させるべく構造動作理論(Anatomical Activity)に基づくトレーニング方法と身体観察について綴ります。

施術で足を調整する場合は、直膝に近づくように脚のアライメントを整える。施術を行って、反応が良い場合、感覚が移動する。例えば、O脚気味の人では、接地感覚が外側にあったものが、内側へ移動し、内股になったような感覚だと、いわれることが多い。

 

そして、内股になったような感覚は、外観からみると直膝に近いO脚気味の脚にみえるので、本人の感覚と実際の脚には感覚のズレがある。しかし、内股になったような感覚があるものの、脚には安定した感覚があるといわれるので、アライメントが直膝に近づいたといえる。

 

アライメントを直膝に整える理由は、下肢骨の長軸方向に胴体の重さを受け、骨の強度を最大限に発揮し、脚を安定させるため。また、股関節を正しく使うことができるようにするため。直膝から外側や内側にアライメントがズレていると、筋肉の起始停止部に偏ったテンションを与えることになり、股関節を正しく使うことができない。大腿や臀部の筋肉が極端に発達していたり、逆に筋肉が使えない場合は、下肢のアライメントの問題が考えられる。

 

股関節を正しく使える状態にするためには、下肢のアライメントを正しく配列した状態で、下肢と脊柱をつなぐ腸腰筋(大腰筋、腸骨筋)が力を発揮できる状態を維持するのだ。大腰筋はT12からL5の椎体の前外側部、それらの椎間板、すべての腰椎の肋骨突起から起こり、大腿骨の小転子に停止する。腸腰筋(大腰筋、腸骨筋)は、股関節で大腿を屈曲させ、下肢が固定されていれば、体幹と骨盤は屈曲する。また、この筋肉は大腿を外側に回旋させるように作用する。座位においては、大腰筋が体幹の平衡に関与しているという報告がある。

 

これらの腸腰筋の作用をもとに、股割り動作で下肢のアライメントを検査する。股割り動作は、床に骨盤を立てた位置で座り、股関節を外転、外旋で脚を固定し、重心を前方へ移動するとともに体幹と骨盤を屈曲し、恥骨結節から下腹が床に接触するようにする。体幹と骨盤を屈曲する際に、背中や腰が曲がって体幹を保持できない場合や下肢を固定することができず足が前に倒れる(内旋)場合は、腸腰筋(大腰筋、腸骨筋)が力を発揮できていない状態。足の指先から感覚を戻しつつ運動機能を正常にし、下肢のアライメントを整えて、正しく動作をおこなえるようにすることが大切だ。

 

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▲基礎・臨床解剖学 翻訳早川敏之