環軸関節での頭部の回旋を円滑にし体幹の回転力アップ | 股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

骨盤後傾から骨盤をおこし股関節を超なめらかに。体幹と四肢を連動させ動きの質を追及する。運動とは人の重心が移動することである。運動を成立させるべく構造動作理論(Anatomical Activity)に基づくトレーニング方法と身体観察について綴ります。

脊柱と直接の関係を持つ筋で後頭下筋がある。後頭下筋群は、大後頭直筋、小後頭直筋、下頭斜筋、上頭斜筋の4つの小さな筋からなり、後頭骨の下方、後頸部の最も上部に位置する。この領域では、最深部の筋で、僧帽筋、頭板状筋、頚半棘筋の深層になる。これらの筋は、環椎後頭関節での頭部の伸展と、環軸関節での頭部の回旋に作用する。
 
▲基礎・臨床解剖学 翻訳早川敏之  
 
大後頭直筋は、C2の棘突起~後頭骨に付着。両側性に作用すると、頭部を伸展する。一側性に作用すると、作用側に顔面が回旋するように頭部を回す。小後頭直筋は、大後頭直筋の内側、環椎の後結節~後頭骨に付着。この筋の作用は、頭部を伸展する。下頭斜筋は、軸椎の棘突起~C1の横突起に付着。この筋は顔面が収縮側に向くように環椎を回旋させる。上頭斜筋は、環椎の横突起~後頭骨に付着。この筋の作用は、頭部の伸展と収縮側へ側方屈曲する。
 
▲基礎・臨床解剖学 翻訳早川敏之 
 
背筋の第六層の多裂筋、回旋筋は軸椎から仙骨に付着して脊柱の回旋、安定化を助ける。そして、軸椎に付着し、環軸関節での頭部の回旋に作用するのが、後頭下筋である。後頭下筋群は、後頭下神経に支配されるが、この筋群のニューロン当りの筋線維数は少なく、3~5本である。この高度な神経支配が、これらの筋の張力や急速な変化を可能にし、頭部の運動の微妙な調整や、頭部の位置の極めて正確な制御をしている。
 
競技動作において、体幹が安定して維持されていると、頭がぶれない。体幹と頭が安定して維持されていると、動作が速くなっても、円滑に動作をおこなうことができる。一方、体幹の安定を維持できないと、頭の位置が左右にぶれたり、上下したりして、円滑に動作をおこなうことが難しい。
 
そして、股割り動作にて四肢と体幹の連動性と、後頭下筋群の作用状況を検査する。背筋の第五層の脊柱起立筋に左右差がない状態、四肢に左右差がない状態、 胸最長筋が胸部と腰部を直立に保つように脊柱にそって縦に浮き上がっている状態でスタートする。頭は、股割り動作で重心を前方へ移動する際に体幹の真上に頭を位置するようにする。頭を下げてしまうと重心移動を円滑におこなうことができない。
脊柱と頭を維持して環軸関節の可動を確保する。頭部の運動の微妙な調整や、頭部の位置の極めて正確な制御することは全身の運動に関わる、そしてそれが円滑な重心移動を行うことになるのだ。