【古事記】第四十一回 山幸彦と海幸彦 | 真の国益を実現するブログ

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※岩波文庫「古事記」を参考に書いています。


前回は「【古事記】第四十回 木花の佐久夜毘売」でした。


●山幸彦と海幸彦

□原文

故、火照命者、爲海佐知毘古【此四字以音下效此】而、取鰭廣物、鰭狹物、火遠理命者、爲山佐知毘古而、取毛麁物、毛柔物。爾火遠理命、謂其兄火照命、各相易佐知欲用、三度雖乞、不許。然遂纔得相易。爾火遠理命、以海佐知釣魚、都不得一魚、亦其鉤失海。於是其兄火照命、乞其鉤曰、山佐知母、己之佐知佐知、海佐知母、已之佐知佐知、今各謂返佐知之時、【佐知二字以音】 其弟火遠理命答曰、汝鉤者、釣魚不得一魚、遂失海。然其兄強乞徴、故、其弟破御佩之十拳劔、作五百鉤、雖償不取。亦作一千鉤、雖償不受、云猶欲得其正本鉤。



◆訓み下し文


故、火照(ほでりの)命は海佐知毘古(うみさちびこ)として、鰭(はた)の広物(ひろもの)、鰭の狭物(さもの)を取り、火遠理(ほをりの)命は山佐知毘古(やまさちびこ)と為て、毛の麁物(あらもの)、毛の柔物(にこもの)を取りたまひき。爾に火遠理命、其の兄火照命に、「各(おのおの)佐知を相(あひ)易(か)へて用ゐむ。」と謂ひて、三度(みたび)乞ひたまへども、許さざりき。然れども遂に纔(わづ)かに相易ふることを得たまひき。爾に火遠理命、海左知を以ちて魚釣らすに、都(かつ)て一つの魚も得たまはず、亦其の鉤(つりばり)を海に失ひたまひき。是(ここ)に其の兄火照命、其の鉤を乞ひて曰ひけらく、「山佐知も、己(おの)が佐知佐知、海佐知も、己が佐知佐知。今は各佐知返さむ。」と謂ひし時に、其の弟(おと)火遠理命、答へて曰(の)りたまひしく、「汝(いまし)の鉤は、魚釣りしに一つの魚も得ずて、遂に海に失ひつ。」とのりたまひき。然れども其の兄強(あなが)ちに乞ひ徴(はた)りき。故、其の弟、御佩(みかはし)の十拳剣(とつかのつるぎ)を破りて、五百鉤(いほはり)を作りて、償(つぐの)ひたまへども取らず。亦一千鉤(ちはり)を作りて、償ひたまへども受けずて、「猶(なほ)其の正体(もと)の鉤を得む。」と云ひき。




海佐知毘古―海の獲物を取る男。
 
鰭の広物、鰭の狭物―大小の魚。
 
山佐知毘古―山の獲物を取る男。
 
毛の麁物、毛の柔物―大小の獣。
 
各佐知―獲物を取る道具のこと。
 
都―全く。
 
強ちに乞ひ徴りき―無理に戻せと責めた、乞い求めた。
 
■現代語訳


火照命は海の漁師として、大小の魚を取り、火遠理命は山の猟師として、いろいろな獣を獲っていらっしゃいました。火遠理命はその兄火照命に「それぞれの道具を取り替えて使ってみよう。」といって、三回お求めになったのですが、許されません。しかし最後には少しの間交換して使ってみることになさいました。そして火遠理命は海の漁具使ってを魚を釣ろうとするも、一匹の魚もつる事が出来ず、そしてその釣り針を海になくしてしまった。
 
 そこに火照命が現れて「山の猟具も、海の漁具もそれぞれ自分の道具でなくてはならない。元通りに道具を返そうではないか。」と仰せになった時に、火遠理命は「あなたの釣り針で一匹の魚も取れず、しかもに海で失ってしまいました。」と仰せになった。しかしその兄は強く乞い、責めたてました。そこでその弟は自分の十拳剣を壊して、沢山の釣り針を作って、償おうとなさいましたが、受け取ろうとしませんでした。さらにその倍の釣り針を作って、償おうとなさいましたが、また受けとってくれず、火照命は「やはり元の釣り針を返して貰いたい。」の一点張りでした。





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