【古事記】第三十八回 天孫降臨 | 真の国益を実現するブログ

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※岩波文庫「古事記」を参考に書いています。


前回は「【古事記】第三十七回 猿田毘古神」でした。


●天孫降臨

□原文

爾天兒屋命、布刀玉命、天宇受賣命、伊斯許理度賣命、玉祖命、并五伴緒矣支加而天降也。於是副賜其遠岐斯【此三字以音】八尺勾璁、鏡、及草那藝劍、亦常世思金神、手力男神、天石門別神而詔者、此之鏡者、專爲我御魂而、如拜吾前、伊都岐奉。次思金神者、取持前事爲政。此二柱神者、拜祭佐久久斯侶、伊須受能宮。【自佐至能以音】次登由宇氣神、此者坐外宮之度相神者也。次天石戸別神、亦名謂櫛石窓神、亦名謂豐石窓神。此神者、御門之神也。次手力男神者、坐佐那那縣也。故、其天兒屋命者、【中臣連等之祖】布刀玉命者、【忌部首等之祖】天宇受賣命者、【猿女君等之祖】伊斯許理度賣命者、【鏡作連等之祖】玉祖命者、【玉祖連等之祖】故爾詔天津日子番能迩迩藝命而、離天之石位、押分天之八重多那【此二字以音】雲而、伊都能知和岐知和岐弖、【自伊以下十字以音】於天浮橋、宇岐士摩理、蘇理多多斯弖、【自宇以下十一字亦以音】天降坐于竺紫日向之高千穗之久士布流多氣。【自久以下六字以音】故爾天忍日命、天津久米命、二人、取負天之石靭、取佩頭椎之大刀、取持天之波士弓、手挾天之眞鹿兒矢、立御前而仕奉。故、其天忍日命、【此者大伴連等之祖】天津久米命、【此者久米直等之祖也】
於是詔之、此地者、向韓國。眞來通笠紗之御前而、朝日之直刺國、夕日之日照國也。故、此地甚吉地詔而、於底津石根宮柱布斗斯理、於高天原氷椽多迦斯理而坐也。




◆訓み下し文

爾(ここ)に天児屋(あめのこやねの)命、布刀玉(ふとだまの)命、天宇受売(あめのうずめの)命、伊斯許理度売(いしこりどめの)命、玉祖(たまのやの)命、并(あわ)せて五伴緒(いつとものを)を支(わか)ち加へて、天降したまひき。是(ここ)に其の遠岐斯(おきし)八尺(やさか)の勾たま、鏡、及(また)草那芸(くさなぎの)剣、亦常世思兼(とこよのおもひかねの)神、手力男(たぢからをの)神、天石門別(あめのいはとわけの)神を副(そ)へ賜ひて、詔りたまひしく、「此れの鏡は、専(もは)ら我が御魂(みたま)として、吾(われ)が前(まへ)を拝(いつ)くが如(ごと)伊都岐奉(いつきまつ)れ。次に思兼神は、前の事を取り持ちて、政為(まつりごとせ)よ。」とのりたまひき。此の二柱の神は、佐久久斯侶(さくくしろ)、伊須受能(いすずの)宮に拝き祭る。次に登由宇気(とゆうけの)神、此は外宮(とつみや)の度相(わたらひ)に坐す神ぞ。次に天石戸別神、亦の名は櫛石窓(くしいはまどの)神と謂ひ、亦の名は豊石窓(とよいはまどの)神と謂ふ。此の神は御門(みかど)の神なり。次に手力男神は佐那那県(さなながた)に坐す。故(かれ)、其の天児屋命は、【中臣連等の祖。】布刀玉命は、忌部首等の祖。天宇受売命は、【猿女君等の祖。】伊斯許理度売命は、【作鏡連等の祖。】玉祖命は、【玉祖連等の祖。】
故爾に天津日子番能邇邇芸命に詔りたまひて、天(あま)の石位(いはくら)を離れ、天の八重多那(やへたな)雲を押し分けて、伊都能知和岐知和岐弖(いつのちわきちわきて)、天の浮橋に宇岐士摩理(うきじまり)、蘇理多多斯弖(そりたたして)、竺紫(つくし)の日向(ひむか)の高千穂(たかちほ)の久士布流多気(くじふるたけ)に天降りまさしめき。故爾に天忍日(あめのおしひの)命、天津久米(あまつくめの)命の二人、天の石靫(いはゆぎ)を取り負ひ、頭椎(くぶつち)の大刀(たち)を取り佩(は)き、天の波士(はじ)弓を取り持ち、天の真鹿児(まかこ)矢を手挟(たばさ)み、御前(みさき)に立ちて仕へ奉りき。故、其の天忍日命、【此は大伴連等の祖。】津久米命此は【久米直等の祖なり。】是に詔りたまひけしく、「此地(ここ)は韓国(からくに)に向ひ、笠沙(かささ)の御前を真来(まき)通りて、朝日の直刺(たださ)す国、夕日の日照る国なり。故、此地は甚吉(いとよ)き地(ところ)。」と詔りたまひて、底津石根に宮柱布斗斯理(ふとしり)、高天の原に氷椽多迦斯理(ひぎたかしり)て坐(ま)しき。




・五伴緒―書記には「五部神」とある。「伴」は同一職業に従事するものの集団。「緒」はその長。
 
・支ち加へて―職掌を分掌させて。
 
・遠岐斯―「遠岐」は招く。天照大御神を天の石屋戸から招き出した意味。

・天石門別神―門を守る岩石の神。
 
・前の事を―神の朝廷の政事をみに受けて。
 
・佐久久斯侶(さくくしろ)―五十鈴の枕詞。
 
・伊須受能(いすずの)宮―伊勢の皇太神宮。
 
・登由宇気神―豊受の神。
 
・外宮―伊勢の豊受大神宮
 
・櫛石窓神―御門祭の神
 
・佐那那県―神名帳に伊勢国気多郡に佐那神社がある。
 
・天の石位―高天原の岩上の御座。
 
・天の八重多那雲―八重にたなびく天雲。

・天の石靫―矢入れる武具。
 
・頭椎の大刀―柄頭が塊状をなしている大刀。
 
・韓国―朝鮮。
 

■現代語訳


 そこで天児屋命、布刀玉命、天宇受売命、伊斯許理度売命、玉祖命のあわせて五つの職業集団の長として、職を分担させて(天孫に)従わせ、天降りました。
 このとき、天照大御神は天津日子番能邇邇芸命に、天の石屋戸から招き出した八尺の勾たま、鏡、そしてまた草那芸剣を授け、常世思兼神、手力男神、天石門別神を同伴させ「この鏡を、ひたすらに私の御魂として、わが身を拝むように祭りなさい。次に思金神はこのことを引きうけてて、神の政事をしなさい」と仰せになりました。

 この二柱の神は、伊勢の皇太神宮にお祭りになりました。次に登由宇気神、この神は外宮のある渡相に鎮座されている。次に天石戸別神、またの名は櫛石窓神と言い、またの名は豊石窓神と言います。この神は皇居の御門の神である。次に手力男神は佐那の県に鎮座されている。また天児屋命は、中臣連等の祖。布刀玉命は、忌部首等の祖。天宇受売命は、猿女君等の祖。伊斯許理度売命は、作鏡連等の祖。玉祖命は、玉祖連等の祖。
 
 天照大御神と高木神は天津日子番能邇邇芸命に告げて、邇邇芸命は高天原の岩上の座を離れ、八重にたなびく雲を押し分けて、威風堂々と雲道をかきわけ、天の浮橋の浮島にそり立ち、筑紫国の日向の高千穂のくじふる岳に天降りあそばされました。
 
 そして天忍日命、天津久米命の二柱の神は、天の石靫を取って背負い、頭椎の大刀を取ってつけ、天の波士弓を取って持ち、天の真鹿児矢を手に挟み、先導をして仕えまつりました。その天忍日命は大伴連等の祖です。天津久米命は久米直等の祖である。
 
 そこで「この地は朝鮮に向かって、笠沙の岬に道が通じていて、朝日がまっすぐさす国、夕日が照り輝く国である。だからこの地は非常によい土地である。」と仰せになって、地底の岩に届くように宮柱太く掘り立てて、高天の原に届く程に垂木を高く上げて鎮座なさった。


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