【古事記】第三十二回 建御雷神 | 真の国益を実現するブログ

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※岩波文庫「古事記」を参考に書いています。


前回は「【古事記】第三十一回 天若日子2 」でした。


●建御雷神

□原文

於是天照大御神詔之、亦遣曷神者吉。爾思金神及諸神白之、坐天安河河上之天石屋、名伊都之尾羽張神、是可遣。【伊都二字以音】若亦非此神者、其神之子、建御雷之男神。此應遣。且其天尾羽張神者、逆塞上天安河之水而、塞道居故、他神不得行。故、別遣天迦久神可問。故爾使天迦久神、問天尾羽張神之時、答白、恐之。仕奉。然於此道者、僕子、建御雷神可遣、乃貢進。爾天鳥船神、副建御雷神而遣。




◆訓み下し文


是(ここ)に天照大御神、詔りたまひけらく、「亦曷(いづ)れの神を遣はさば吉(よ)けむ。」とのりたまひき。爾に思金(おもいかねの)神及(また)諸の神白(まを)ししく、「天の安の河の河上の天(あめ)の岩屋に坐(ま)す、名は伊都之尾羽張(いつのをはばりの)神、是れ遣はすべし。若し亦此の神に非ずば、其の神の子、建御雷之男(たけみかづちのをの)神、此れ遣はすべし。且(また)其の天尾羽張神は、逆(さかしま)に天の安の河の水を塞(せ)き上げて、道を塞きて居る故に、他神(あだしかみ)は得(え)行かじ。故(かれ)、別(こと)に天迦久(あめのかくの)神を遣はして問ふべし。」とまをしき。故爾に天迦久神を使はして、天尾羽張神に問はしし時に、答へ白ししく、「恐(かしこ)し。仕(つか)へ奉(まつ)らむ。然れども此の道には、僕(わ)が子、建御雷神を遣はすべし。」とまをして、乃ち貢進(たてまつ)りき。爾に天鳥船神を建御雷神に副(そ)へて遣はしたまひき。


・伊都之尾羽張―『日本書紀』の天孫降臨の章に登場する稜威雄走神も同神。
 
・天尾羽張神―伊都之尾羽張神のこと。

・建御雷之男―雷神かつ刀剣の神。

・天迦久神―迦久は鹿児(かこ)の意で鹿の神といわれる。

■現代語訳


そしてまた天照大御神は、「どの神を遣わしたらよいだろうか。」と御尋ねになると、思金神と多くの神々は次のように提案しました。「天の安の河の河上の天の岩屋に鎮座している、名は伊都之尾羽張神を遣わすべきでしょう。もし彼が駄目ならば、その子供である建御雷之男(神、彼を遣わすべきでしょう。しかしその天尾羽張神は、天の安の河の水をせきとめ道を塞いでいるので、他の神は行くことができません。なので特別に天迦久神を遣わして尋ねるべきでしょう。」と答えた。そこで天迦久神を遣わして、天尾羽張神に御尋ねになると、「かしこまりました。仕えて奉ります。しかしこのお役には我が子である建御雷神を遣わしてください。」と答えたので、天鳥船神を建御雷神に加えて遣わしました。



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