就職氷河期世代の会社員の約8割は、自分の仕事・キャリアに関して「どう乗り越えていけば良いか分からない」という漠然としたモヤモヤを感じていることが調査で明らかになっていました。
この世代は単に景気が悪かったという問題だけでなく、団塊世代の雇用を守るために若者の採用が削減された時期とちょうど重なっていることも明らかにもされています。
若者の雇用問題は景気の拡大期や縮小期に加えて、中高年層の退職者の増減にも直接的に関係する話です。
中高年のリストラを防ぐために上の世代の終身雇用を守ろうとすると、底辺にいる若者たちの採用が犠牲になってしまい、かつ組織の若返りも図れないという致命的な欠陥問題が2000年前後に生じてしまいました。
この雇用の年代別不均衡が終身雇用制度の最大の弱点(不平等)ともされているところ。(過去に採用されている人ばかりが守られて、これから採用されるべき人は守られない)
何十社も蹴られて、それでやっと入れた会社はブラック職場であり、厳しい労働環境に苛まれた経験がある人も多いはず。非正規雇用しかなく、今も正規雇用にありつけない人々が現在も多数います。
氷河期世代におけるモヤモヤの原因は、やはり日本における雇用制度上の欠陥の問題があって、それを個人の努力だけではギャップが埋められないというところに大きく起因していると思います。
終身雇用は短く言ってしまえば既にいる正規雇用組の「既得権益」なので、その利益に預かれる人と預かれない人の差が生まれてしまうのがこの制度の最大の特徴でしょう。
就職の面で運や不運が左右するのは仕方ない面もありますが、新卒一括採用で一度つまづくと一生に渡って雇用不安が続いてしまうのが非常に悩ましい点だと思います。
会社の労働組合も正規雇用の拡充や維持は強く叫びますが、非正規雇用の正社員化の拡充まではなかなか発言が踏み込めないわけです。既得権益層の利益が大きく損なわれる可能性があるからです。
ありきたりな解決策は資格を取って若いうちに転職したり、独立したりすることだと思いますが、それも正規雇用の経験が全くないとハードルが高くなるのも事実でしょう。
それでは、中高年の雇用を思いっきり解雇しやすくして、若者の雇用を拡大重視できるかと言えば、現状の制度では簡単ではないことも分かっています。(中高年の無職者が溢れてしまう)
終身雇用制度と採用・不採用の年代別不均衡、この問題は現状の制度を続ける限り解消することが難しいわけで、どの手法を取っても制度上の犠牲になってくる人は出てきてしまうということになりますね。
全ての世代の人々をバランスよく正規雇用することの難しさがこの就職氷河期の問題の根底に横たわっています。