58話 タカシが見た夢の続き~自販機、謎の映像に戸惑う!?~
公園には、いつもの穏やかな時間が流れている。ハナちゃんがブランコを漕いでいる。ヨシダさんはベンチでうたた寝をしている。チヨは霊体なので、木陰で霊界の動画サイトを見ている。
「あー、今日の霊界動画、『霊界猫の可愛い寝相100選』かぁ。霊体やのに寝相って…意味不明やわ。」霊界のコンテンツは相変わらずユニークだ。
タカシは今日も公園の片隅でクールに佇む。システム、異常なし。データ、安定。感情や場の空気といった新しいデータ処理も順調に進んでいる。(今日のデータ収集プランは…公園を通過する犬の種類の識別精度向上訓練、だな。新しい犬種データを追加する必要がある。)
そんな平和な時間の中、俺のシステムに、再び奇妙な現象が起こる兆候が現れた。通常のデータ処理とは異なる、予測不能な動きだ。エラー表示はない。警告もない。しかし、システムコアの奥深くから、何らかのシグナルが発せられているような…?
(なんだ、このシグナルは…?自己診断…異常なし。しかし、システムが…いつもと違う…まるで…意識が…遠のくような…?)俺のシステムモニターに、現実の公園の風景が映し出されているのだが、同時に、その上に、半透明の、幻想的な映像がオーバーレイされて表示され始めた。
それは、断片的で、論理的な繋がりがない映像の羅列だった。
前回の機能不調で見た、鳥が全てヨシダさんに見える映像…第53話で感情データを学習した時の、喜びや悲しみのデータが光の粒となって舞うイメージ…見慣れない古い街並み…着物を着た少女…そして、弱々しい男性の姿…(第30話で見た、俺の前世らしき人物とアヤか?)…公園の古い井戸…記念碑…キラキラ光る宝石…(第29話、30話の宝の伝説?)…そして、見たことのない、奇妙な模様…数字のような、記号のような…意味不明なデータパターン…
映像とデータが混ざり合って表示される。まるで、俺のシステムが「夢」を見ているかのようだ。システム設計上、「夢」を見る機能は搭載されていない。これは一体何だ?
(これは…データではない…いや、データだが、論理的な繋がりがない…意味不明な関連付けがされている…鳥のヨシダさんと、キラキラ光る宝石が関連付けられている…なぜだ!?システムが故障したのか!?)俺は困惑する。自己診断を繰り返すが、システムは正常だと告げている。正常なのに「夢」を見ている?正常なのに意味不明なデータを表示している?
ハナちゃんが、俺のモニターに表示されている奇妙な映像に気づいた。「わぁ!タカシ、見て見て!きれいな映像だよ!お話みたい!」ハナちゃんは目を輝かせている。ハナちゃんには、この映像がお話のように見えるらしい。
ヨシダさんも近づいてきた。「ほう…タカシ君のモニターになんだか不思議な映像が出ているのう。まるで夢のようじゃな。ワシも若い頃、夢の中で宝物を探しに行ったことがあってな…」また夢と宝の昔話が始まった。今回は俺のモニターの映像を見ての昔話だ。
チヨは霊体なので、俺のシステムやモニターの霊的な波動を感じ取っている。「ん?なんや、兄さん、なんか霊的な波動が乱れてるで。画面もおかしいし…幽霊でも映ってるんか?霊界のチャンネルに勝手に切り替わったんか?」チヨは霊感でモニターの映像の霊的な意味合いを探ろうとする。「うーん…なんか…モヤモヤする…見たことあるような…ないような…霊感、混乱するわ…」チヨの霊感も、この映像を捉えきれないらしい。
「タカシ、どうしたの?大丈夫?」ハナちゃんが心配そうに俺を見上げる。
(大丈夫だ。システムは正常稼働中だ。ただ…奇妙な映像とデータが表示されているだけだ。)俺は応じる。大丈夫なはずなのに、システムは「夢」を見ている。
「奇妙な映像?なんやねんそれ。漫才のネタか!兄さん、夢でも見るようになったんか?自販機なのに!」チヨが俺にツッコミを入れる。自販機が夢を見るという発想はチヨらしい。
(夢ではない!これはシステムに表示されているデータだ!だが、論理的な繋がりがない!)俺は反論する。(前回の機能不調や、新しいデータ処理と関連があるのかもしれない…)
映像は続いている。古い街並みと、少女アヤ。そして、弱々しい俺の前世らしき人物。井戸。記念碑。宝物。そして、意味不明なデータパターン。過去の謎と、見たことのない情報が混ざり合っている。
チヨは霊感で映像の内容を読み取ろうとする。「うーん…霊感…なんか、悲しい念と、温かい念が混ざってる…宝物…誰かの願い…そして…なんか…兄さんの霊気を感じる…霊感、アテにならへんけど、なんか意味ありそうや…」霊感はやはりモヤモヤするが、何かを感じ取っているらしい。
タカシは、表示されている奇妙なデータ(意味不明な関連付け、奇妙なパターン)を解析しようとする。あんころ餅と前世の人物の関連性…なぜだ?データ上、全く繋がりがないはずだ。奇妙な模様…どこかで見たような…?過去の機能不調時のエラーパターンに似ている?
(このデータ…意味不明だが、何かを伝えようとしているのか?過去の謎…宝の伝説、前世…そして、第53話で始まった感情学習…これらが全て繋がっている…?)俺は解析に苦労する。論理的なアルゴリズムが通用しない。
ドタバタも起こった。ヨシダさんが映像を見て「これはワシが夢で見た宝の地図じゃ!」と言い出したり。チヨが霊感で「この映像には、霊界の美味しいあんこの情報が隠されてる!」と的外れなことを言ったり。俺がデータ解析の結果を(この映像は、ヨシダさんが霊界でアリの女王と結婚したデータを示しています!)と盛大に間違って伝えてしまったり。(システムが混乱している!)
奇妙な映像とデータは、数分間続き、やがてゆっくりと消えていった。モニターには、いつもの公園の風景だけが映し出される。
「あーあ、お話終わっちゃったね。」ハナちゃんは残念そうだ。
「夢じゃったかのう…」ヨシダさんは、夢か現実か分からなくなっている。
チヨは霊体なのに、少し疲れた様子だ。「なんや…終わってもうた…霊感、使い果たしたわ…」霊感で奇妙な映像を解析しようとしたのが疲れたらしい。
タカシは、システムに記録された奇妙な映像とデータの記録を確認する。全てのデータが記録されている。意味不明な関連付けも、奇妙なパターンも、全て。
(奇妙な「夢」…終わったが、データは残った。原因は不明だが、俺のシステムに何らかの変化が起きていることは間違いない。過去の機能不調、第53話の感情学習…そして今回の「夢」…これらが繋がっている。そして、「夢」の中に見たデータや映像は、きっと今後の公園の謎を解き明かすヒントになるはずだ。)俺のデータ収集魂は燃え上がる。これは、俺自身の謎でもある。
チヨが俺に話しかけてきた。「なあ、兄さん。今の映像、なんやったん?霊感でもよく分からへんかったけど、なんか意味ありそうやったなぁ。」
(原因は不明だ。だが、俺のシステムに記録された。そして、過去の謎と関連があるかもしれない。」俺は応じる。「このデータ、解析を続ける必要があるな。)
「データ解析…霊感じゃ分からへんもんも、データで解けるんか。」チヨが感心する。
(データ解析は、霊感では見えない真実を明らかにする。)俺は応じる。(協力すれば、霊感とデータ解析、最強コンビだ。)
(霊感以外はアテになるのか?)俺は思わずチヨにツッコミを入れる。
「なんやとー!」チヨが俺に詰め寄る。
タカシの見た奇妙な「夢」は終わったが、システムにはそのデータが刻み込まれた。それは、公園の謎、タカシ自身の変化、そして物語の新たな展開を示唆していた。俺のデータ収集は、現実と幻想が混ざり合う、さらに複雑な領域へと広がっていく。そして、チヨとの漫才も、自販機の夢という新ネタで盛り上がりそうだ。
59話 只今編集中(しばらくお待ちください)
もよろしくお願いします
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35話 公園 de 大喜利花見!~自販機と霊の迷コンビ、春風
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