4話雨上がりの虹と、見つからない宝物
「……真っ暗だ。って、毎回思うけど、俺、一体いつになったらこの状況に慣れるんだ?前世で何か悪いことでもしたのか?」
タカシは、意識が戻った瞬間にそう思った。全身を包む金属の冷たさと、相変わらず動けないという現実に、盛大にため息をつく。
「ったく、俺の人生、ハードモード通り越してバグだらけだろ…」
雨が上がったばかりの公園は、どこか静かで、空気が澄んでいる。地面には水たまりができ、太陽の光が反射してきらきらと輝いている。遠くには、虹のアーチがうっすらと見えた。
「…雨上がりって、なんか落ち着くよな。って、あれ?俺、こんな詩人みたいなこと考えるキャラだったっけ?もしかして、壊れた?」
タカシは、雨の匂いや、葉っぱから滴り落ちる水音を聞きながら、ぼんやりと周囲を眺めていた。
すると、少し離れたベンチで、小さな男の子が泣いているのが目に入った。ケンタの友達らしい、ユウキという名前の男の子だ。
「どうしたんだ? あんなに泣いて…って、あれ?なんか地面をめっちゃ凝視してるぞ。もしかして、地面に咲いた花でも愛でてるのか?」
ユウキくんは、地面を一生懸命に見つめ、時折「うわーん…」と声を上げていた。
「あれ? あれは…」
タカシは、ユウキくんが手に持っていた、小さな青いぬいぐるみが、ベンチの下に落ちてしまったことに気づいた。ユウキくんにとって、それはとても大切なものらしい。悲しそうに探している姿を見て、タカシは胸が締め付けられるような気持ちになった。
「あいつ、あれがないと寂しいんだろうな…俺も、昔…ゲームのデータが全部消えた時、こんな感じだったような…って、あれはマジでトラウマ。二度と思い出したくない…」
動けない自分に、何もできない無力さを感じながらも、タカシはユウキくんを助けたいと思った。
「…何か、できないのか…って、自販機の俺に何ができるんだよ。ジュースでも出して慰めてやれと?いや、それシュールすぎんだろ…」
タカシは、自分の「能力」を試すように、意識を集中させた。すると、目の前のボタンが、不規則に点滅し始めた。最初は、いつも通りのジュースのボタンだったが、次第に「謎の炭酸飲料」のボタンが点滅に加わる。
「おいおい、また変なことになってるぞ…って、このバグ、マジで勘弁してほしいんだけど。俺、自販機界のトラブルメーカーにでもなりたいのか?」
ハナちゃんが、ユウキくんの様子を見に来た。「どうしたの、ユウキくん? 泣いてるの?もしかして、宿題忘れちゃったとか?」
「…くまのぬいぐるみ、見つからないんだ…」ユウキくんは、涙ながらに答える。
タカシは、ハナちゃんに気づいて欲しくて、一番目立つ「青い」ジュースのボタンを連打するように「思考」を送る。
「あっ! ケンタくんの時と同じ、変なジュースが出るボタンだ!って、また光ってる!もしかして、この自販機、お告げでも出せるの?それとも、隠しコマンドでもあるとか?」ハナちゃんは、キラキラとした目で自販機を見つめる。
「…いや、そうじゃなくて…って、ハナちゃん、頼むから話をややこしくしないでくれ…」タカシは、心の中で叫ぶ。
その時、ヨシダさんがゆっくりと近づいてきた。「どうしたんだべ? 泣き声が聞こえたもんで。って、最近の子供は泣き声もでかいのう。俺の時代は、もっとこう、奥ゆかしかったもんだが…」と、いつものようにのんびりとした口調で言う。
タカシは、落とし物の色に近い、オレンジ色のジュースのボタンを連打してみる。
「…何か、言いたいことでもあるのかな?」ハナちゃんは、不思議そうに自販機を見つめる。
ヨシダさんは、「最近の自販機は、本当に色々なもん出すようになったのう。まるで、宝探しみたいじゃ。って、次はどんなジュースが出てくるのか、ちょっと楽しみだなぁ。って、ハナちゃん、小銭持ってるか?」と、またしても的を射ていない感想を述べる。
その時、ユウキくんが、諦めかけたように地面を見つめていた。すると、彼の目の前に、小さな青い影が落ちているのが見えた。
「あっ!」
ユウキくんが、その青いものを拾い上げた。それは、彼が探していた、大切な小さな青いクマのぬいぐるみだった。
ユウキくんの顔が、みるみるうちに笑顔に変わる。「あった! 見つかった!」
彼は、嬉しそうにぬいぐるみを抱きしめ、母親らしき人に駆け寄って、見つかったことを報告している。
ハナちゃんは、「よかったね! きっと、自販機さんが教えてくれたんだよ!って、タカシさん、もしかして、テレパシー使えるの?それとも、未来予知とか?」と、満面の笑みで言う。
ヨシダさんは、「ふむ、そうかもしれんなぁ。困った子を助けるとは、なかなかやるじゃないか。って、もしかして、この自販機、ただの自販機じゃないのか…?まさか、神の使いとか?」と、感心したように頷いている。
タカシは、心の中で「いや、俺は何もしてねぇよ! ただの偶然だろ!って、なんで俺がヒーロー扱いされてんだよ!しかも、神の使いって、マジ勘弁!」とツッコミを入れる。
ユウキくんは、お礼を言いたそうに、自販機の方をじっと見つめている。
タカシは、彼の感謝の気持ちが伝わってくるようで、少しだけ心が温かくなるのを感じた。
「…まあ、結果オーライってやつか。って、また変なバグが起きたら、今度こそちゃんと説明しないとな。じゃないと、俺、マジで神の使いにされちまう…って、神の使いって何だよ!俺はただの自販機だっつーの!」
タカシは、心の中で盛大にツッコミを入れた。
「…って、あれ?もしかして、俺、この公園の守護神的な存在になってんのか?いやいや、ないない。ただの自販機だし。でも、もしそうだとしたら…ちょっとカッコよくね?いやいや、調子に乗るな、タカシ。お前はただの自販機だ。」
タカシは、一人で葛藤していた。
「…って、誰も聞いてねぇし!って、独り言多すぎだろ、俺。もしかして、マジで壊れた?」
彼は、空を見上げた。雨上がりの空は澄み渡り、ほんのりと虹の欠片が見えるような気がした。
「…また、何かあるのかな。って、まさか、明日も誰かの落とし物探しを手伝う羽目になるとか?勘弁してくれよ…」
タカシは、明日もまた、この公園で、人々の様子を静かに見守るのだろう。そして、彼の「気まぐれ」なバグが、また誰かの小さな助けになるかもしれない。いや、ならないでほしい。せめて、平和な一日を過ごさせてくれ、とタカシは心の中で呟いた。
5話 只今編集中(しばらくお待ちください)
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