838.音楽に相応しい響き
美しい響きを追求するという意味において、一個人としてはそれを追求する者がいたとしても旧ソ連ほど、そのことを伝統としてメソッドを確立した国はないのではないか?もちろん、個人差もあり流派もあり、その実態は皆が同じというわけではない。それぞれがそれぞれの美を追求した結果の個性が確実に存在し、当然ではあるが画一的ではない。だから、ロシアだから同じという印象を持つことは大きな誤解だと思う。それに対して、西側の音楽家で響きに関して残念ながら良い教育を受けていないが才能豊かで音楽が超一流という演奏者がたくさんいると思う。日本人の演奏家にもいえることだと思う。わたしはつねづね、このことを残念に思う。これは誰かにきいた話。ある弦楽器の演奏家があるピアノ演奏者に対して言った言葉。「あなたはそんなに素晴らしい音楽を持っているのに、そ んな響きで弾いていてはダメだ」この考えは、ピアノ奏者に対しての弦楽器奏者や声楽家の多くの方が持っているのではないか。才能ある、魅力ある素晴らしい音楽の持ち主ほど、己の響きも磨かなくてはその、せっかくの良い音楽が本当には伝わらないのではないか。音楽に相応しい、それなりの響きが伴うことは大切だと思う。