「きく」。
音を聞くと音楽を聴くというように漢字のイメージがわたしは異なる。物理的かそうではないかの差。
この「きく」ということ。
特に若い人はきいているつもりで、きききれていないといったら良いのか、要するにきいていないと感じさせる演奏をしばしば耳にする。
きくという行いに、実は何段階も差があるように思う。
残念なことに感覚的なことなので、演奏から判断するしかないのだが、例えば1から10まで段階があったとして10きいている人が5しかきいていない人の演奏に物足りなさを感じるだろう。
やはり、経験と年齢を重ねなければきこえてこない領域というものが一般にはあるのかもしれない。もちろん例外に該当する人もいると思うが。
きくということの奥深さ、繊細さ、難しさ、大切さを改めて感じる。
自分はまだきこえてこいないのかもしれないと思い続けることは大切なのかもしれない。
世の中、慢心しては何事も進歩しないことばかり。一生が模索の連続なのだろう。
「きく」。
音楽家にとって当たり前なことだが、精進し続けなければいけないこと。