皆さま
今日は2019年最後の日、
大晦日ですね。
色々とあった2019年ですが、
最後の日は
2019年を見送りながら
ゆっくりと過ごすことができそうです。
今年はありがとうございました。
2019年7月からこのブログを
始めて、とても多くの方々に
読んでいただくことができました。
本当にありがたく思います。
毎日ブログを更新し続けることができたのは
皆さまのおかげであります。
2020年も新たな物語を
書いていきたいと思います。
2020年、来年もどうぞ
よろしくお願いいたします。
初めましての方は、こちらから自己紹介を兼ねた
僕の物語をお読みいただくことができます。
では、書いていきます。
-----------------------------------------------------------------------------
「母の死で生きる意味を悟る公太の物語⑫」
前回までのお話しはこちらからお読みください。
時折、鼻をすする音が病室内に
響いています。
きっと、公太の母にも聞こえていること
でしょう。
しばらくすると、公太の母は
何かを言いたそうに、泣いている
公太の方に視線を向けました。
公太はなぜだか、母が何かを
言いたいのだと理解したのです。
公太はホワイトボードとペンを
母の細くなった手に持たせました。
母は力の入らない手を使って
ゆっくりとそこへ文字を書きます。
ゆったりと時が流れる中、「公太」と
そこに母は書きました。
まるで、小さい頃、優しく
「公太」と呼ぶようにそれは
書かれました。
公太の胸の中が少し
暖かくなります。
それから母は続けて
書きました。
「あの時はずっとごめんね」
公太は一瞬それを見ただけで
ホワイトボードを直視できなく
なっていました。
同時に、母が何を言いたいか
心の底から理解したからです。
公太はその場に崩れ落ちました。
もう、母の目をはばからず
大きく泣きました。
母は力のなくなった左手で
公太の頭をなでています。
公太の泣き声だけが
病室に響きわたります。
公太の母は最後にこう書きました。
「お母さん、反省しているよ。許してほしいの」
公太はゆっくりと立ち上がって
涙でかすむ視界の中、
その文字をホワイトボードの上で
見つけました。
公太は思わず叫びました。
「お母さん!」
その声は何も遮ることなく
病室内の壁をいったり
きたりしました。
実は公太が母に向かって
「お母さん」と呼んだのは
数十年ぶりでした。
母はもちろんそのことを
わかっていました。
母は本当は「公太」と
呼んでやりたかったけど、
それは叶いませんでした。
その代わりに母は音もなく
目から涙を流しました。
もう、それだけで充分でした。
公太と母は心の底から
ようやくわかり合えたのです。
そうして、許しあえたのです。
公太の中にあった母への
憎しみの気持ちはスーッと
消えていきました。
同時に父に対する憎しみも
不思議と消えていったのです。
【~続く~】
-------------------------------------------------------------------
この物語を読んで何か一つでも
感じていただけたら嬉しく思います。
世の中が今よりも幸せな場所になっていきますよう
想いを乗せて書いています。
皆さまよろしくお願いいたします。
*この物語はフィクションです。