皆さま
何だか街の雰囲気も変わって
きています。
緑や赤色を多く見かけます。
そうして、チキンなるものが
あちこちで売られています。
チキンと呼ばれるものも
美味しいですが、
僕は焼鳥の方が好きだったり
します。
それでは本日もよろしくお願いします。
初めましての方は、こちらから自己紹介を兼ねた
僕の物語をお読みいただくことができます。
では、書いていきます。
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「母の死で生きる意味を悟る公太の物語⑦」
前回までのお話しはこちらからお読みください。
母はこんな時も公太を
仲の良かった頃の父と
重ね合わせているのかと
勘ぐりましたが、口には
出しませんでした。
母が楽しくてやっているなら
それでいいと思ったからです。
そうして、公太が社会人になって
一年目の冬、ボーナスを
もらいました。
そのお金で公太は独り暮らしを
することに決めたのです。
これで、母も喜ぶだろうと
公太は思いましたが、
もしかしたらその逆かもしれないと
微かに感じてはいました。
公太の決意は固かったし、
もう決めていることでした。
母にそう話すと、とても驚いて
いました。
母は真剣に真顔で公太に
問いかけています。
「なぜ、家を出る必要があるの?」
「いられるだけいたらいいじゃない」
公太には母が嘘をついているようには
見えませんでした。
でも、公太は「あなたが言ったんだ」とは
言いませんでした。
公太は少し混乱しました。
いえ、少しどころではないくらいに
公太は混乱をしています。
「母は、僕に出て行けと言った」
「僕は就職をしたら出ていくと決めた」
「母は、いざ出ていく僕に出ていかなくていいと言う」
「僕は出て行くものだと思っている」
「それは母が出て行けと言ったからだ」
公太の頭の中はグルグルと
記憶と思考が入り乱れて
回り続けていました。
しばらくそんな日が続いていました。
でも、やっぱり公太は
この家を出ていくことに
したのです。
引っ越し当日は、母が
涙を拭きながら
引っ越しを手伝ってくれました。
母はこんなに広いところに
1人で住むのかと言って、
少し古くなった壁紙を
なでながら天井を
見上げています。
そうして母は、
公太が小さい頃から使っている
タオルや食器などを
公太に持たせてくれました。
公太はこの時、とにかく
一度家を出て、自分の
本当の気持ちを確かめたくも
ありました。
いや、もしかしたら家を出ることで
母の行動がどう変わるのかを
確かめたかったのかもしれません。
泣いている母に見送られて
公太は社会人一年目の冬、
実家を後にするのです。
公太は独り暮らしを始めたものの
家族3人で暮らしたあの
一軒家に母が1人で
住んでいることを
心のどこかで
気にかけていました。
【~続く~】
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この物語を読んで何か一つでも
感じていただけたら嬉しく思います。
世の中が今よりも幸せな場所になっていきますよう
想いを乗せて書いています。
皆さまよろしくお願いいたします。
*この物語はフィクションです。