ブロンプトンでバスコースト・レールトレイル(BASS COAST RAIL TRAIL)へ行ってきた。メルボルン南東約130キロにある人気のレールトレイルだ。ビクトリア州の数あるレールトレイルの中で特に風光明媚なルートとして有名である。
かつてNyoraからKilcunda経由Wonthaggiまでの総延長48キロを結んだ『Wonthaggi支線』(通称"Powlett River railway")であるが、かつてはビクトリア鉄道を支える重要路線であった。蒸気機関車が主流であった時代、鉄道会社にとって石炭の確保が重要で、ビクトリア鉄道はその最盛期にWonthaggiやKilcunda周辺でとれる良質の石炭で同社の必要とする石炭の9割を賄ったという。Wonthaggi支線は1910年のサービス開始とともに、この地から産出される鉄道用石炭を運び出すことで、ビクトリア鉄道の繁栄を支え続けたのであった。
その後のモータライゼーション進展で1960年代以降、鉄道旅客数が大幅に減少したのは他の鉄道路線と同様だが、Wonthaggi支線の場合は加えて鉄道ディーゼル化・電化による石炭需要減・石炭輸送量減も大きく影響した。同地域の炭鉱は1968年までに全て閉山となり、Wonthaggi支線は旅客輸送と石炭輸送の減少により1978年に廃線となった。 廃線に遅れること10年、鉄道軌道は1988年に解体されたが、その際、Wonthaggi支線の南半分の区間(アンダーソン~ウォンサッギ)17キロが記憶遺産『バスコースト・レールトレイル』として整備されることになった。
[走行データ]
距離 28キロ(Anderson→Kilcunda→Wonthaggi→Kilcunda)
メルボルン市内からはビクトリア鉄道が運行するフィリップアイランド・ウォンサッギ行きの長距離バスが出ている。行きはこれを使う。
アンダーソン・バス停に到着した。ここからブロンプトンでスタートする。
木々のトンネルを通り抜けていくと。
海が見えてきた。
バスコースト・レールトレイルのランドマークともなっている木造トレッスル橋である。
トレッスル橋は19世紀から20世紀初頭にかけて北米や豪州の鉄道において多く利用された。末広がりに組まれた橋脚を短スパンで使用して橋桁を支持する形式の橋梁だ。長大なスパンがとれないため、多数の橋脚を必要とするので水量のある河川には不向きだが、水のない谷やクリークを越える陸上橋として多用された。
南極海に面したバス海岸には良い波が来る。多くのサーファーたちが波を楽しんでいる。
ビーチ帰りに歩いている人たちもいる。
サイクリストも多い。人気のレールトレイルである。
アンダーソンから約一時間走り、旧・ウォンサッギ駅に到着した。
ウォンサッギは1826年に石炭の産出が確認されてから約1世紀半の間、炭鉱の町として栄えた。今は人口約4千人の静かな町であるが、石炭採掘用のクレーンが往時の繁栄の歴史を語るランドマークとして設置されている。
ウォンサッギからKilcundaヘ戻り、そこからメルボルン行きのバスに乗る。
素晴らしき初夏の一日となった。
関連記事:
新・ブロンプトン三号機 M6L-X ≪my ブロンプトンたちのご紹介≫
「レールトレイルを走ろう」シリーズ:
ブロンプトンでグレートビクトリアンレールトレイル二度目 ≪レールトレイルを走ろう≫
ブロンプトンでグレートビクトリアン・レールトレイル ≪レールトレイルを走ろう≫
ブロンプトンでゴールドフィールド ≪レールトレイルを走ろう≫