【三橋貴明】「デフレ脱却するときには、実質賃金が低下する」のは「失策」?【高橋是清】 | 独立直観 BJ24649のブログ

独立直観 BJ24649のブログ

流行に浮かされずに独り立ち止まり、素朴に真っ直ぐに物事を観てみたい。
そういう想いのブログです。

 三橋貴明が相変わらず「実質賃金ガー!」をやっている。

 

 

 

「日本の憲政史上、最も国民を貧困化させた首相」 三橋貴明ブログ2017年12月10日

https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12335172314.html

 

「 未だに実質賃金を軽視する人がいるので驚くのですが、実質賃金低下とは、
「国民がモノやサービスを買えなくなっている」
 という意味なのですよ。すなわち「貧困化」です。国民の貧困化を問題視しないとか、わけが分かりません。

 


 しかも、
「デフレ脱却するときには、実質賃金が低下するものだ」
「景気が良くなる時には、実質賃金が低下するものだ」
 などと、出鱈目を叫び、安倍政権の「失策」を庇おうとする人が少なくないわけですから、情けなくなります。


 国民が貧困化している状況を問題視せずに、一体全体、何を「問題視」すればいいというのですか?


 国民の貧困化以外に「問題視すべきだ!」という指標があるのであれば、教えて欲しいものです。

 

 日本の実質賃金は、日本がデフレ化した97年から中長期的に落ちていきました。


 過去二十年は、日本国民が貧困化した歴史なのです。デフレの最も罪深い点は、国民の実質賃金が下落し、貧困化していくことです。


 

 

 

 三橋によると、「デフレ脱却するときには、実質賃金が低下する」のは「失策」であり、批判すべきものらしい。

 デフレ脱却時の実質賃金の低下を殊更に問題視する「実質賃金ガー!」については様々な人が既に語り尽くした感がある。

 「実質賃金=名目賃金÷物価」であり(飯田泰之氏は入門書でこう記述する)、実質賃金は名目賃金と物価との相関関係で決まる。

 デフレ脱却とは物価の上昇を目指すものであり、実質賃金の低下要因になる。三橋はデフレ脱却を訴えてきたが、実質賃金の低下は織り込んでおくべきものだ。また、名目賃金も長期デフレ不況で悪化した雇用が改善する中で低下することもやむを得ない。

 デフレ脱却過程において実質賃金が低下することは特に失策ではない。雇用が先決問題であり、これが解決していくにつれて名目賃金も上がり、物価次第のところはあるものの、実質賃金も上がってくるのだろう。

 ていうか、民主党政権時代、三橋自身が

「インフレであっても、たとえばインフレ率が一〇%で所得の増え方が九%ならば、実質的には一%所得が減るのですが、そんなこと誰も気にしないのです。それを経済学的には「貨幣錯覚」と言いますね。」

と、実質賃金の低下なんて気にしなくていいという旨の発言をしている(日下公人、三橋貴明「アメリカ、中国、そして日本経済はこうなる」(ワック、2010年)223ページ。https://ameblo.jp/bj24649/entry-11909293500.htmlにて引用)。

 これが安倍政権になって経済政策の成否を測る重要な指標になっているのはおかしいし、かつての三橋の方が正当だ。私としては、「TPP亡国論」の中野剛志あたりに唆されて変節したのではないかと疑っている(https://ameblo.jp/bj24649/entry-11909293500.html)。

 

 

 

<拙ブログ>

 

「【三橋貴明】実質賃金の問題視は信仰の不足【錯覚】」 2014年8月13日

https://ameblo.jp/bj24649/entry-11909293500.html

※ 上記の「貨幣錯覚」についての三橋発言を紹介。

 

 

「【三橋貴明】馬謖を斬らねば孔明ではない【水島総】」 2014年11月30日

https://ameblo.jp/bj24649/entry-11957167061.html

※ 「実質賃金=名目賃金÷物価」を紹介。実質賃金を上げろ、正規雇用を増やせ、という三橋の主張の非両立性を指摘。

 

 

「【三橋貴明】「実質賃金ガー」の欺瞞を3分で見抜く方法【参院選】」 2016年6月22日

https://ameblo.jp/bj24649/entry-12172456468.html

※ 実質賃金が経済政策の成否を測る上で非常に重要な指標ならば、著作の中で見出しを付しているはずであり、そして見出しは目次にまとめられる。三橋が「実質賃金ガー!」を始めたのは平成26(2014)年4月1日だが、同日以前の著作を30冊以上確認したところ、目次に「実質賃金」の語は見られなかった。「貧困化」など問題視していなかったのだ。

 

「【デフレガー!】三橋貴明の絶対的価値観【実質賃金ガー!】」 2016年10月23日

https://ameblo.jp/bj24649/entry-12209402782.html

※ 実質賃金が6ヶ月連続で前年実績を上回った。しかし、三橋は「国民が豊かになった」と安倍政権の成果を認めることなく「デフレガー!」と安倍叩きをする。「実質賃金=名目賃金÷物価」なのだから、物価の低下(デフレ)は実質賃金の上昇要因となる。「物価が上がれば「実質賃金ガー!」と安倍叩き。物価が下がれば「デフレガー!」と安倍叩き。」という、安倍叩きの結論ありきの絶対的価値観。

 

<山本博一さんの日刊SPA!論説>

 

「「国民の所得は増えていない」のウソ――“反アベノミクス”に反論」 2015年5月23日

https://nikkan-spa.jp/857360

※ 「平均化の罠」を指摘。アベノミクスで国民所得は増えている。

 

「「実質賃金低下」の正体――“反アベノミクス”に反論」 2015年5月30日

https://nikkan-spa.jp/861466

※ 昭和恐慌の事例を見ても、デフレ脱却過程において実質賃金の低下はあり得る。実質賃金が低下する一方で、デフレ不況期に悪化した雇用が改善する。

 

「「実質賃金低下」の罠にハマるな――“反アベノミクス”に反論」 2015年6月5日

https://nikkan-spa.jp/865857

※ 三橋は「日本の実質賃金は、日本がデフレ化した97年から中長期的に落ちていきました。」と言うが、「物価も賃金も一緒に下落しているアベノミクス以前の日本経済と、物価と名目賃金がともに上昇しているアベノミクス以後の経済では、同じ「実質賃金の低下」でもその中身はまったく異なる」とのこと。実質賃金の低下を殊更に問題視して貨幣錯覚を打ち消すことこそが消費の縮小を招いて景気回復に悪影響をもたらす。

 

<血祭謙之介さんのブログ>

 

「【柴山桂太】“実質賃金”に固執する謎【滋賀大学准教授】」 2014年9月7日

https://ameblo.jp/khensuke/entry-11919996621.html

※ 三橋メルマガに掲載された柴山論説を批判。実質賃金低下の一方で雇用が改善することを指摘。「アベノミクス以前」を上記山本SPA論説より細かく見、小泉政権と麻生政権を対比する。小泉政権は雇用を改善して実質賃金も上げたが、麻生政権では雇用が悪化して実質賃金も下がっている。にもかかわらず、(三橋のように)小泉・竹中叩きをし、麻生政権を賞賛するのは矛盾。私見だが、小泉政権と第二次安倍政権とでは、消費税増税の有無が大きく異なり、これが実質賃金にも影響していると思われる。

 

「【中原圭介】『雇用』を無視した評論は無意味である【経済アナリスト】」 2016年9月25日

https://ameblo.jp/khensuke/entry-12203176222.html

※ 景気判断には雇用を考慮しなければならない。物価と雇用には「負の相関」がある(経済学の十大原理 第10原理 社会は、インフレと失業の短期的トレードオフに直面している)。消費低迷の原因は消費税増税および消費税再増税の「アンカリング」。

 

 

「【青木泰樹】実質賃金が上がらない理由【京都大学レジリエンス実践ユニット・特任教授】」 2017年9月26日

https://ameblo.jp/khensuke/entry-12311614995.html

※ 三橋メルマガに掲載された青木論説を批判。アベノミクスによって雇用が改善し、名目賃金が上昇している。にもかかわらず実質賃金が上昇しないのは、「労働市場(雇用)がまだまだ余裕が有るから」。

 

上念司 「経済用語 悪魔の辞典 ニュースに惑わされる前に論破しておきたい55の言葉」 (イースト・プレス、2015年) 210~214ページ

 

ぎそうほしゅ 【偽装保守】

 

 あれほど民主党を批判し、安倍政権誕生に向けて頑張ってきたのに、実際に安倍政権が誕生すると手のひらを返したように安倍批判を始めた裏切り者。右翼や国粋主義者の仮面をかぶって共産主義思想を吹聴する最低の輩。

 偽装保守にはバカとスパイが混在している。9割はバカと思って差し支えない。バカは自分が何を言っているのかまったくわかっていない。だから学校時代に日教組の先生から刷り込まれた共産主義思想に知らないあいだに染まっていることにも無自覚だ。

(中略)

 さらにバカなほうの偽装保守は「失業率が減っても実質賃金が減っている!」と主張している。これは日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」に書いてあることとまったく同じ主張だ。ところが最近になって実質賃金が上昇に転じると、途端にこの件でギャーギャー言うのをやめてしまった。都合の悪いことはスルーする。こんな態度も左翼にそっくりだ。

 ちなみに失業者は賃金ゼロだが、もともと賃金統計には含まれていなかった。彼らが再就職すると当然、最初は新人なので給料が安い。しかし、給料ゼロよりずっとマシだ。だから、デフレの脱却過程において最初に失業者が働き始めるようになると平均の名目賃金はいったん下降するのだ。しかも物価は上昇基調に転じる。そのため以下の式に当てはめると割られる数(名目賃金)が減って割る数(実質賃金<ママ>※「物価上昇率」の誤記だと思われる)が増えるため、答え(実質賃金)は下がることになる。

 

 実質賃金=名目賃金÷物価上昇率

 

 バカなほうの偽装保守はこういう数式を理解することができない。なぜなら、彼らは主張が正しいとか正しくないとか以前の問題として学力の面で大きな問題を抱えているからだ。

(中略)

 バカじゃないほうの偽装保守の人数は少ないが、人数が多いバカなほうの偽装保守を操りながら最終的には世論を動かすのだ。最近のバカっぽい保守言論人を笑うのはいいが、彼らの背後にずる賢いガチのスパイがいることを忘れてはならない。バカなほうの偽装保守を見つけたら、徹底的にコケにして被害者を増やさないようにしていこう。」

 

 

 

 

 

 三橋は、「「デフレ脱却するときには、実質賃金が低下するものだ」…などと、出鱈目」と言う。

 では、過去の事例はどうだったのだろう。

 三橋は、高橋是清の昭和恐慌脱却を例に出してデフレ脱却政策を論じていた(https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11153859995.html)。

 「コレキヨの恋文」という本も出した。映画化を視野に入れた力の入れようだった(https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11205706983.htmlhttps://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11198826790.html)。

 小学館から出版されたが(https://www.shogakukan.co.jp/books/09386326)、PHP研究所から文庫版が出ている(https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-76288-3)。文庫版は「さかき漣が全面リニューアルした」とのことで、内容が違うらしい(https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11985460905.html)。

 

 

 

 

 

 

 

 昭和恐慌を脱却する過程で実質賃金はどうなったのであろうか。

 三橋は、日本経済復活の会が運営するチャンネルAJERに出演している。

 あえて三橋に近しいAJERのブログを見てみよう。

 

 

 

「高橋是清財政とアベノミクスの違いを徹底比較(No.152)」 AJER日本経済復活の会ブログ2014年3月7日

http://ajer.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-1b66.html

 

「アベノミクスでは、まず企業の利益が拡大し、賃金が上がって景気が回復するというシナリオを描いている。このグラフで分かるように昭和恐慌の後、高橋蔵相の大規模な景気対策で一気にデフレ脱却が可能になり景気は回復したが、賃金の伸びは鈍い。定額賃金は時給と思えば良いのだが、物価が上がる中で逆に下がり続けている。定収賃金とは、受け取った賃金であり、こちらは景気回復で労働時間が増えたようで、若干上昇しているが、インフレ率ほどは上がっていないから、実質賃金は下落している。これから分かるように、もし高橋蔵相がアベノミクス流に賃金上昇が景気回復の原動力を思っていたらいつまでもデフレ脱却は無かったかもしれない。」

 

「アベノミクスと高橋財政を比較し、次のことが結論される。

(中略)

賃金上昇、銀行貸出の増加は非常に長い時間を要するのであり、それを景気の牽引役を期待するのはむしろ危険すぎる。

 

 

 

 高橋金融財政による昭和恐慌脱却の過程で実質賃金は低下した。

 高橋是清は国民を「貧困化」させる「失策」を犯したのか?

 そして三橋はそんな高橋を持ち上げた、と。

 三橋は「平成の高橋是清」の誕生を望んだが(https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11431515766.html)、その高橋是清による昭和恐慌脱却を見ると、「「デフレ脱却するときには、実質賃金が低下するものだ」ということが明らかとなり、三橋の方が「出鱈目」ということになってしまう。

 三橋はこの程度の調べ物もしていない…、というより、知った上で伏せているのではないかと疑う。

 もし昭和恐慌の脱却過程で実質賃金が上昇し続けていたら、三橋はこれ見よがしにデータを提示したに違いない。

 データを提示できないから、「出鱈目」「失策」と語気を荒げるほかないのである。

 

 

 

<昭和恐慌に言及した関連記事>

 

「コレキヨの時代にも実質賃金は下がっていた」 akira ブログ2015年2月9日

https://ameblo.jp/akiran1969/entry-11987700802.html

 

「実質賃金は「あなたの賃金」ではない」 空き地ブログ2014年7月16日

https://ameblo.jp/akichi-3kan4on/entry-11895177979.html

 

上記「「実質賃金低下」の正体――“反アベノミクス”に反論」

https://nikkan-spa.jp/861466

 

 

 

 「国民の貧困化以外に「問題視すべきだ!」という指標があるのであれば、教えて欲しいものです」?

 雇用だろう(飯田泰之「図解 ゼロからわかる経済政策 「今の日本」「これからの日本」が読める本」(角川書店、2014年)152~160ページ、飯田泰之「世界一わかりやすい経済の教室」(中経出版、2013年)190~195ページ、上記上念「経済用語 悪魔の辞典」参照。前二者はhttps://ameblo.jp/bj24649/entry-12333033786.htmlhttps://ameblo.jp/bj24649/entry-12209402782.htmlにて引用。)。

 そしてこれが改善しているのは報道で周知の通り。アベノミクスの成果だ(特に金融緩和)。

 こんなことを言っている三橋が、安倍政権による雇用改善にあやかって「人手不足解消合宿」を開くというのだから厚かましい(http://www.38news.jp/sp/mituhashisemi/2018_02.php#top)。

 経済についてこんな認識の三橋の講釈などあてになるのだろうか。50万円の価値があるとは思えないが。

 経済も歴史も政治もわかってない、もしくはわかっていながら歪めている。安倍政権打倒に向けて歪めている。私には三橋がそう見える(https://ameblo.jp/bj24649/entry-12209402782.htmlhttps://ameblo.jp/bj24649/entry-12323716295.html)。

 

 

 

 

高橋洋一 「大学院便り 第43回 「雇用の経済学」」 嘉悦大学HP2016年4月15日

http://www.kaetsu.ac.jp/faculty/graduate/gd_letter_teacher_43.html

 

「アベノミクスにはいろいろな批判がある。
たしかに、2014年4月からの消費増税は大きなミスであるが、十分な金融政策をやってきたので、少なくとも雇用は悪くなっていない。

ところが、民主党は雇用重視の党であるにもかかわらず、この金融政策の重要性をきちんと理解できていない。民主党のある議員の意見を題材にして、改めて考えてみよう。この意見を選んだことについて、他意はなく、たまたまこの意見が民主党内の標準的な考え方を示しているからだ。

「民主党政権3年間(2009年9月~2012年12月)は1.4%減、安倍政権3年間(2012年12月~2015年9月)は3.7%減と、減少幅は2倍以上。生活は苦しくなりました」

このような実質賃金に関する見方は識者も同じように言うことがある。
以下の述べるように間違っているが、雇用の経済学に対する理解をはかる試験紙として経済学のテキストにものせたいくらいの実例だ。

まず、雇用の経済学を復習するために、下図を見ておこう。

 

 

労働力は、実質賃金に対して柔軟に対応しにくいので、ある実質賃金の状況の時、労働需要と労働供給に乖離がでて、労働需要(図中ではAの点)より労働供給が上回っているので、その差は失業になってしまう。

このとき、実質賃金をどのように変化させるかが、雇用政策のポイントになる。民主党政権時代は、安倍政権に比べて、実質賃金は低下しなかった。安倍政権と相対的にみれば、民主党政権時代のほうが高かった。これを図の中で示せば、AからBの点に向かったといえる。

賃金を上げるために、最低賃金を上げるのはいい政策ではない。実際、民主党政権時代は、まず最低賃金の引き上げを図ったたが、かえって失業は増える。

正しい政策は、まず、実質賃金を下げるのだ。実際に名目賃金は労使間の交渉によって決まるので、実質賃金を下げるというのは、物価を引き上げるわけだ。ここに、金融政策が関係してくる。他のマクロ経済政策、例えば財政政策では、なかなか物価に影響を与えることはできない。ところが、金融政策は物価に影響を与えられる。このため、金融政策で実質賃金を低下させられる。すると、就業者数を増加させられる。これが図の中で、AからCへのシフトである。その時には、失業がなくなる。

その後は、失業が少ないまま、経済を拡大させる。そうなると、今度は実質賃金も上昇に転じてくる。図の中では、CからDへの移行だ。その場合、同時に就業者数も増加する。

以上のメカニズムを頭に入れて、現実の経済をみよう。

まず、実質賃金は次の通りである。

 

 

実質賃金が安倍政権のほうが下がっているといっているが、事実はそのとおりだ。しかも上に書いた雇用の経済学のとおりであって、そのために、就業者数も増加している。さらに、民主党政権では、実質賃金が良かったので、就業者数が減少している。

 

 

民主党政権時代は、雇用の経済学の図では、AからBへ移行した。安倍政権になって、BからCである。そして、安倍政権では、そろそろ失業がなくなりつつ完全雇用に近づいているので、実質賃金は下げ止まっている。これは、実質賃金の図をみればわかる。

この両政権の差は、金融政策である。金融緩和を行わずなかった民主党政権と金融緩和を行った安倍政権の差である。

金融政策がどうして雇用に効くかというと、一般物価の変動を通じて実質賃金に作用するからだ。これは、他の政策では、個別物価に影響を与えても一般物価には影響を与えられない。これは金融政策が他の政策にない特徴である。民主党は、この点の理解がまったくできておらず、就業者数を増やすべき時に、実質賃金を増加させようとしたのが、まったく経済政策の理解が不十分といわざるを得ない。

こうした経済学のフレームワークから、今後の実質賃金の動きも予想できる。失業率が完全雇用とみられる2.7%%まで下がったら、各業種で賃金が猛烈に上がり出すだろう。

現在の失業率は3.3%(2016年2月)。もう一段の金融緩和と財政政策の後押しがあれば、完全雇用が達成でき、賃金ががり出すはずだ。」

 

 

 

※ 完全失業率は7~10月は2.8%で横ばい(http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/201710.pdf)。完全雇用まであと少し足りない模様。なお、高橋氏は最近は完全雇用となる失業率を約2.5%としている(https://youtu.be/4embmbLpOqI?t=1h5m35s)。

  消費税増税の悪影響が重大だと思われるが、これは安倍政権自体のミスというよりは、三党合意(当時の自民党総裁は谷垣禎一氏)など民主党政権時代までに積み上がった既成事実が重大だと思われる。安倍政権が二度も消費税再増税を延期していることを忘れるべきではなく、また、10月の衆院選で三党合意は破棄されたという見方もある(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22050210Z01C17A0000000/)。著書や講演を見ても、安倍総理大臣は消費税増税に消極的だと窺える(https://ameblo.jp/bj24649/entry-11875914413.html)。

 

「再来年春の新卒採用 最多の見通し 人材獲得競争厳しく」 NHKニュースウェブ2017年12月18日

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20171218/k10011262761000.html

 

情報サービス大手「リクルートホールディングス」が再来年の春に卒業する大学生などの採用数を各企業に聞いたところ「増える」と答えた割合がこれまでで最も高くなり、人手不足が続く中、人材の獲得競争がさらに激しくなりそうです。

リクルートホールディングスではことし10月から11月にかけて6992社を対象に採用見通しを調査し、4669社から回答を得ました。

その結果、再来年に卒業する大学生と大学院生の採用数について、前の年より「増える」と答えた企業の割合は去年の調査より2.3ポイント高い15.8%となり、今の方法で調査を始めた2009年以降で最も高くなりました。

採用を増やす企業を業種ごとに見ますと、「飲食サービス業」が28.6%と最も高く、次いで「半導体・電子・電気部品」が21.9%、「小売業」が21.6%でした。

一方、「減る」と答えた企業の割合は5.1%、「変わらない」と答えた企業は48.6%でした。

今回の調査では人材の確保を目的に初任給を引き上げたとか、今後、引き上げる予定だと答えた企業が全体の42.5%に上り、各企業が人材の獲得を強化していることがうかがえます。

リクルートワークス研究所の古屋星斗研究員は「人手不足が深刻化する中、採用活動では働き方や仕事の内容などを組み合わせてアピールすることが重要になる」と話しています。」