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三橋貴明の新刊、続々登場!

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ワシントンコンセンサス(後編)③』 三橋貴明 AJER2012.3.20(3)

ワシントンコンセンサス(後編)④』 三橋貴明 AJER2012.3.20(4)
チャンネルAJER更新しました!今回はワシントンコンセンサスという「怖い話」
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4月12日に、一般参加可能な講演会、「三師会特別講演会」 が開催されます。
【日時】平成24年4月12日(木)午後6時30分開場7時開演 【場所】サンパール荒川・大ホール 詳細は以下を。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/20120309-1.pdf

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コレキヨの恋文


 1853年に黒船が来航した翌年に生を受け、いきなり仙台藩の高橋家に養子に出され、わずか11歳で横浜で英語を学び、13歳でアメリカに留学し、オークランドの銀行家に売り飛ばされ、それでも何となく楽しそうな留学生活を送り、帰国して英語教師、芸者の傘もち、相場師、翻訳家と職を転々とし、官僚になり、日本における特許法の確立などに活躍し、官僚をやめ、ペルーの銀鉱山経営に乗り出し、大失敗し、帰国して日銀に入り、日露戦争における外債発行で日本の戦争遂行を助け、日銀総裁となり、山本内閣の大蔵大臣になり、原内閣の大蔵大臣になり、原首相暗殺を受けて内閣総理大臣(兼大蔵大臣)となり、田中内閣の大蔵大臣として日本を昭和金融恐慌から救い、さらに犬養内閣の大蔵大臣、斉藤内閣の大蔵大臣として日本を昭和恐慌(大恐慌)から救い、日本がデフレ脱却をしたことを受け、岡田内閣の大蔵大臣として緊縮財政に乗り出し、軍部と衝突し、226事件で82歳の生涯を終えるという波乱の人生を送った、稀代の実践主義者、高橋是清を主人公の一人としたエンターテイメント経済歴史小説「コレキヨの恋文 」が、本日ついに発売になります。


 上記の通り、是清の人生は、黒船来航による下田と箱館の開港に始まり、226事件で終わるという、まさに明治から昭和という激動の時期を一気に駆け抜けた感があります。是清は自伝や随想録を書き残しており、当時を語る一級の資料として、現代の歴史家の多くからも紐解かれることを続けています。


 わたくしももちろん、是清の自伝等は全て読んでいるのですが、彼の言葉から一貫して感じられるのは、強い意志と「楽観主義」です。とにかく是清の人生(特に前半生)は失敗の連続なのですが、一時的に落ち込みはしますが、すぐにケロッと立ち直り、また新たな道を歩き始めるという繰り返しになっています。


 例えば、ペルーの銀鉱山経営に失敗し、破産した是清は、それまで住んでいた東京の屋敷を売り払い、平気な顔で旧屋敷のすぐ裏のボロ屋に引っ越そうとします。恐らく、本人はすでにペルーで失敗したことや、屋敷を売り払わざるを得なくなってしまったことを気にしていなかったのだと思います。


 とはいえ、本人にとってはどうでもいいことなのかも知れませんが、家族は「勘弁してっ!」と悲鳴を上げ、「思い出が残った屋敷」から遠く離れた地に引っ越しをすることになります。是清としては、
気にしなきゃいいじゃん。もう、どうにもならないんだから
 という感覚なのだと思いますが、普通の人はそう簡単に吹っ切れはしないでしょう。


悲観主義は気分のものであり、楽観主義は意志のものである。およそ成り行きにまかせる人間は気分が滅入りがちなものだ
 とは、フランスの哲学者アランの言葉ですが、わたくしが最初にこの言葉を聞いたのは、2009年1月のダボス会議における、麻生太郎元首相の特別講演でした。今にして思えば、あの頃の日本は平和でした。


 マスコミはとにかく無茶苦茶でしたが(今もそうですが)、少なくとも当時は政治家に対して信頼を置くことが出来ました。だいたい、麻生元総理について「漢字が~」だとか「カップラーメンが~」だとか「ホテルのバーで~」などと文句をつけていた連中は、当時の自分たちがどれだけ甘やかされた立場であったかを思い知るべきです。何しろ、総理大臣の悪口を言っていれば話が済む「贅沢な環境」だったのです。


 その後、日本の情報の歪みは高まるばかりで、「コンクリートから人へ」といったおぞましいスローガンを掲げる民主党が政権の座についてしまいました。結果、政治と外交の混乱は目を覆いたくなる有様になり、さらに尖閣問題、大震災、原発事故、度重なる自然災害と、「国家」以外には対応不可能な問題が連発します。しかも、民主党政権は日本の問題の解決とは常に逆方向に驀進し、増税やTPPといった「インフレ対策」に精を出し続けています。


【参考】【明るい経済教室】脱デフレの処方箋は?「投資」の社会的意味[桜H24/3/23]
http://www.youtube.com/watch?v=ufv7r9GYkXE
※なぜ「コンクリートから人へ」がおぞましいスローガンなのかは、上記をご覧ください。


 しかも、小泉政権以降の「公務員」「建設サービス」「医療」などに対する「改革」により、これらの分野で供給能力不足が発生しつつあるという、恐ろしい状況になっています。わたくしたちが最も恐れていた、
デフレで供給能力が削られることにより、インフレーションが発生する
 という「最悪に近い事態」が始まりつつあるのです。


 特に、東北被災地における供給能力不足は凄まじい限りで、このままでは復興は実現しないでしょう。何しろ、建設サービスと行政サービスの供給能力が極端に不足しているため、どうにもなりません。現在は建設サービスの供給能力が足りず、調達に対して3割程度しか応札されないという異常事態が続いています。しかも、一般競争入札というバカな真似をやっているため、建設産業側も設備投資をしようとはしません。


 こんな状況で首都圏直下型地震や、東海・東南海・南海地震(この三つは高い確率で連動します)が発生したら、果たしてどうなるでしょうか。日本はもはや自力では復興できず、「日本国家」が終焉の時を迎える可能性すらあるのです。


 わたくしは危機感を煽るのは好きではないのですが、先日の被災地行で確信しました。現在の供給能力のままで首都圏や西日本で大震災が発生すると、日本は自国の供給能力のみでは立ち直ることができません


 現在の日本国民は、麻生政権時代とは比較にならないほど「不幸」になりました。



 これは果たして、誰のせいでしょうか



 もちろん、日本国民です


 何しろ、「コンクリートから人へ」といったおぞましいスローガンを叫び、マニフェストに成長戦略を一切書かず、それどころか「人権侵害救済法案」といったトンデモ法案はきちんと載せ(外国人地方参政権はマニフェストには載せていませんでしたが、政策INEDX集には載せていました)、「政権交代!」の四文字のみを連呼する選挙互助会「民主党」を政権の座につけてしまったのは、まぎれもなく日本国民なのです。 


 ついでに言えば、デフレ期に消費税を引き上げ、公共事業を削減するという「デフレ促進策」を推進した橋本政権を誕生させたのも日本国民です。
 さらに、デフレ期にこれまた「デフレ促進策」である構造改革を推進し、栄養失調で入院した患者にダイエットを強制するような政策を連発した小泉政権を熱狂的に支持したのも、これまた日本国民なのです。
 そして、デフレ期に「デフレ対策を打つ」という、至極真っ当な政策を実施していた麻生政権を引き摺り下ろしたのも、やはり日本国民という話です。


 マスコミの責任にするのは簡単です。


 とはいえ、日本の大手新聞などのマスコミが「おかしかった」のは、別に最近に始まった話ではありません。是清の時代も、日本の大手新聞は大衆というか「空気」に迎合し、政治家が正しい政策を打つことを妨害し続けてきました。


 彼ら、大手紙の記者たちがいい加減な記事を垂れ流した後遺症を、今まさに現代日本は引きずっています。(最悪の事例は、もちろん南京問題)
 
 とはいえ、当時の政治家は権力の源泉が「民主主義」から「ピストル」に変わりつつある環境下において、コレキヨを中心に「デフレ期のデフレ対策」を実施するべく努力を重ね、さらに「民主主義」に対して正しさを訴えました


 1932年、是清は(当時は政友会)犬養内閣において実施された総選挙で財政出動(デフレ対策)を訴えます。この時の総選挙で政友会は圧勝し、是清は適切なデフレ対策を打つことが出来ました。
 さらに、1936年。今度は是清は岡田内閣(是清は政友会から追放されていました)の下で実施された総選挙で緊縮財政(インフレ対策)を訴えます。この時の総選挙では、今度は岡田内閣の与党である民政党が圧勝し、是清は「インフレ期のインフレ対策」を打つパワーを手にしたのです。
 ところが・・・。


 という話なのですが、いずれにせよ是清は常に「民主主義」の下で、国民の支持の下で正しい政策を打ち続けて来たわけです。当時のマスコミも相当に(恐らく今以上に)おかしかったのですが、それでも是清は民主主義に訴え、勝利をつかむことを続けてきました。反対側から云えば、日本国民は「正しい政策」を語る是清を支持し続けて来たわけです。


 わたくしたち現在の日本国民は、過去に「正しい政策」を打とうとした偉大な政治家や、彼を支持し続けた日本国民の子孫なのです。ならば、どうすればいいのでしょうか


 今回の著作「コレキヨの恋文」は、恐らく今の日本では、僭越ながらわたくし以外には書くことができなかったと思います。無論、是清の物語は他に書ける人がいるでしょうが、彼らは「マクロ経済」に関する知識を持っていません。結果、是清が何をやったのか、何をやろうとしたのか、その本質まで書き記すことはできないでしょう。


 無論、是清のマクロ経済について著作を出版した「学者」は多いですが、はっきり言って経済学者の書いていることは難しすぎ、何を言いたいのか分かりません。だからと言って、エンターテイメント作家に是清のマクロ政策を書くのは無理でしょう(バカにしているわけではなく、「仕事が違う」と言いたいだけです)。


 現在の日本において、高橋是清ほど国民が学ぶべき人物はいません。とはいえ、経済学者的な書き方をしてしまうと、読者は圧倒的に減ってしまいます。


 というわけで、是清を主人公にした「エンターテイメント経済歴史小説」を書き、1930年代のマクロ経済政策について「国民に正しく『面白く』理解してもらう」必要があると考え、三橋が筆を取った次第です(正しくは、キーボードを叩き始めたわけですが)。

コレキヨの恋文


 
 最後に、執筆協力として三橋の原稿を「美しい小説」に仕上げて下さったさかき漣様、言葉にできないほど華やかな表紙を書き上げて下さった鈴木康士様、編集・校正にご尽力頂いた小学館の皆様に心から感謝の意を捧げます。


三橋貴明 


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