ベーシストとエフェクター -13ページ目

弦について : その2

前回はサウンドに影響を与える弦のあらゆるファクターについてお話をしましたが、今回は、それに関して、自分が弦を選択する際に重視することをご参考までにお話したいと思います。

①セッティングの安定

ベースは元々弦が太くてテンションが高く、6弦になるとなおさらです。従って、ゲージや素材をころころと変えると、その度にネック、弦高、オクターブチューニング等、あらゆる部分をリセッティングしなければならなくなります。なので、一度セッティングが決まると、よっぽど使ってみたい弦が出てこない限り、極力同じ弦を使い続けることにしています。

また、実は(これは自分もつい最近まで知らなかったのですが)ダダリオのライトゲージEXL170-6(32-45-65-80-100-130)の組み合わせは、実はとても理に適っているのです。最初はライトの組み合わせなら4弦セットで40-60-80-100だろう、と思っていたのですが、実はこのライトゲージのセッティングだと1~6弦の6本の弦のテンションがほぼ同じになります。要は、ネックの縦方向に均一に負荷がかかるので、よっぽどいい加減に作った楽器でない限り、ネジレとかが発生せず、セッティングが安定する、ということです。

ということで、楽器とのトータルバランスを考慮して、自分はダダリオのEXL170-6を使っています。

②サウンドの安定

たまに当たり外れもありますが、ある程度のレベルの弦なら、セットの中で1弦はokで4弦はダメ、みたいなばらつきもないし、死ぬときは、みんな一緒に死んでくれるので、この点からも、自分は一定レベル以上の弦を使うようにしています。安い弦をこまめに、ということもアリなのでしょうが、張った瞬間に死んだり、テンションがマチマチだったりと、いいことがありません。この点からも、ダダリオはどれを使ってもハズレがなく、扱いやすいです。DRも好きですけどね。

③入手のしやすさ

楽器とのトータルバランスを考慮して同じ弦を使い続けたいとなると、入手容易性も大きなポイントになってきます。ということで、本当はDRを使いたいのですが、どこでも入手可能、ということでダダリオに・・・

④価格

一定レベルを満たした上で低価格、ということでダダリオ・・・

別にダダリオの回し者でも何でもありませんが、こんなんで、結局はダダリオEXL170-6です。本当は、どこでも入手可能で同じレベルの価格ならDR Lo-Riderを使いたいと思っています。DRは、硬さがなく、ムチがしなるような独特のテンション感があって自分は好きなのですが、いかんせん高いし、特に6弦となると、どこでも入手可能というわけでもない。また、(自分がヘタクソで弾き方が悪いと思いますが)DRはいつも張って一週間くらいで1間を切ってしまう。なので、最近はもっぱらダダリオです。いろんな条件をトータルで相応のレベルで満たしていると思います。

ちなみに交換頻度ですが、基本的にライブの都度にしてます。なので、3ヶ月以上使う場合もあれば、1ヶ月も経たないうちに交換することもあります。結構ハデにスラップをやるので、1ステージ使っただけで、高音弦が切れる確率が高くなるので、これを回避するという観点からそうしています。

それにしてもベースの消耗品=弦って、高いですよね。なんとかならないものかのいつも思ってます。

弦について : その1

ベーシストに限らず弦楽器奏者の永遠のテーマである「弦」について、お話するというよりは、皆さんの状況を是非教えて頂きたい、という気持ちで問題提起をさせていただきます。

ご存知のように、ベースにとって弦はもっとも交換サイクルの早い消耗品であり、弦の振動と、その振動をトリガーとした様々な物理的な動きが、PUというマイクを経由して電気信号になり、音波として出力される訳です。弦楽器以外にも、消耗品が本体の特性に決定的な影響を与えるもの、たとえばクルマやバイクのタイヤがそうであるように、弦も、楽器本体と相まって、そのキャラクターに多大なる影響を与えます。そんなこともあり、今回はちょっと弦について考えてみたいと思いました。

まずは、弦に関連して、サウンド全体の構築や演奏性に影響を与えそうなファクターを片っ端から拾ってみましょう。

①材質

代表的なのが、ステンレスとニッケル、クローム。比較論で言うと、ステンレスはブライトで長寿命、ニッケルはパンチーでステンと比較すると若干死ぬのが早い、クロームはその中間あたりでしょうか。あとは、5年ほど前からコーティングされた弦が出回っています。これは寿命・触り心地のみならず、音にも影響を与えていて、やはりノンコートに比べると、張りたての時の新鮮な感じがありません。ただ、弦の素材だけでキャラガ決まるものではなく、ナットやフレットの材質も、これに影響してきます。特にスラップの場合は、弦をフレットに叩きつける訳ですから、フレットと弦の材質の相性がとても重要なファクターになってきます。また、すべからく弦は純粋な素材で出来ている訳ではなく、ステンレスやニッケル、クロームといった材質を基材として、様々な材のハイブリッドです、音に対する影響もさることながら、フレットへの攻撃性・侵食性にも留意が必要でしょう。

②ゲージ

これは、演奏性にもとても大きな影響を与えるファクターと言えます。6弦を前提として、0.の部分を省略すると、ミディアム:30-45-65-85-105-125、これを挟む形で、べヴィ:32-50-70-90-110-130、ライト:28-40-60-80-100-120という感じになりますが、6弦ベースでこのゲージのセットというのはほとんどなく、メーカーによって高音弦と低音弦のゲージの組み合わせが様々であり、いろいろと個性が出てくる部分です。演奏性という部分では、ゲージが細いとテンションがやわらかくなるので、指へのフィジカルな負担が少なく早弾きに向いていると言われます。べヴィゲージは逆に、太い分、サウンドも骨太になるということのようです。ただ、自分は、この僅かな違いを指で感じ取ることはできますが、音が細い・太い、という部分にはそれほど影響があるとは思っていなくて、材質と相まって、テンションの緩急によって音の細い・太いが決まるような気がします。

③形状

形状といっても、いろんな部分の形状があります。まずはコアのピアノ線。これは一般的に円形とhexa(正6角形)があります。音に与える影響は、自分的には未知数ですが、一般的には全て機械(自動・手動はありますが)で作られるため、hexa芯の方が丸芯に比較して外巻線を巻いた際の食いつきが良く、ピッチが安定すると言わているようです。また、hexa芯の方が丸芯に比較してテンションがやわらかめといわれることもあるようですが、これは太さの問題のような気もしますが、計測をした訳ではないので詳細は不明です。また、形状の範疇に入るものとして、外巻線の形状もあります。断面が丸い外巻線を巻いたものはラウンドワウンド、フェットゥチーネのような外巻線を巻いたものはフラットワウンドと呼ばれます。フレッテッドはラウンド、フレットレスはフラットを使うのが一般的ですが、フレットレスでよりエア感を演出するためにラウンドを使う方もいますし、よりメロウな音を求めてフレッテッドにフラットを使う方もいます。また、ROTO(だったかな?)は、ラウンドとフラットの中間的な特性を狙って、外巻線が半円形で半円部分が芯線側にして直径部分が外側を向いた巻かれたハーフワウンドなんていうものも作っています。

④スケール

一般的には、ベースのスケールに合わせて長さのバラエティがあります。ショート・ミディアム・ロング・スーパーロングといったところでしょうか。ベースの世界ではFENDERスケールがデファクトスタンダード的な部分もあるので、ロングスケールが一般的です。ただ、長短によって、材質や芯線の太さ等が変わる訳ではないのに、出荷量の少ないロングスケール以外は、若干高値で流通してます。スーパーロングについては、ペグ配列によっては、ロングでは長さが不足する可能性があるので注意が必要ですが、ショート・ミディアムは一般的にはゲージさえ好みがあえば、ロングを代用することで事足りるケースが多いようです。

⑤触感

材質あるいはコーティングに起因するものですが、自分にとってはとても大きなポイントです。弦の上で指をスライドさせた場合、引っかかりが気になるところですが、あまり抵抗がなさ過ぎるもの使いづらい部分があります。弦を張った方向への摩擦抵抗は、ニッケルはやや滑らかでステンレスはちょっと強め、コーティングはすべすべという感じでしょうか。ここも大きく好みが分かれるところです。また、相対的に、新しい弦の方が摩擦抵抗は大きく、使うに従いこなれてきます。

⑥張り方

これは、弦そのものではなく、張り方の問題です。ペグのポスト部分にまき付けるバッファ部分が多ければ多いほど、同じゲージでもテンションが高くなるといわれています。逆も、しかり。よって緩めのテンションが好みの場合は、ポストへの巻き量を極力減らして、ポストから外れない程度のギリギリまで短くして張るのが良いようです。また、ヴィジュアル的な効果を狙ってか、インテンショナルに先端をハネさせて無造作に張るケースもありますが、この場合は視覚効果と引き換えに、チューニング精度が落ちることを覚悟する必要があるようです。

⑦ブランド・価格

これも様々です。日本の除くアジア圏で低価格で製造されるものもあれば、欧米でハンドクラフトされているものもあります。ハンドクラフトものといっても、職人が芯線に手巻きしている訳ではなく、機械操作をコンピュータに任せて自動とするか、人間が確認しながら手動でやるか、の違いです。弦と言う単純なものでも、ハンドメイドにはハンドメイドの良さがやはりあるようですが、自動で作られたものの精度も格段に上がってきていますので、人件費をかけた分だけよいものが作れるか、というと、必ずしもこの辺は比例関係にはないようです。ブランドとしては有名プレーヤーを上手くエンドースメントしたマーケティング展開が昨今盛んに思います。特に、新興ブランドは、品質もさることながら、この辺のマーケティング戦略でのし上がってきた部分は否定できません。価格もまさに様々で、価格と品質が必ずしも比例関係にはないことは言えますが、やはり4弦セットで千円を切るようなものは、寿命、ピッチ安定性、質感、品質のばらつき分布の面で不具合を生じるケースが多いと感じます。

⑧その他

まあ、まだまだいろいろあります。バブルボールエンド、両端の保護糸の有無、ブリッジ部分の芯線の露出有無、太弦を主としたテーパー形状等々・・・


とにかく、いろいろとあって、弦の選択は迷いに迷った挙句、いまだにコレ、という決定打が見出せずにいる、と言うのが現状です。現在、メインのサムに張ってあるのはDR HI-BEAM mid、サブのIBANEZに張ってあるのはELIXIR Nanoweb。当然、最高に満足している訳ではなく、たまたま今それを使っている、というだけです。

次回は弦の選択に当たって自分が重要視するファクターについてお話したいと思います。

ピック : Jim Dunlop stubby 1.5mm

今日はちょっと趣向を変えて、ピックのお話をしたいと思います。

ベースって、いろいろな奏法がありますよね。自分は、まず入り口は、いわゆる「指弾き」(2フィンガー)でした。そこから、見よう見まねで「チョッパー/スラップ」をはじめ、コントラバス・チェロでは「弓弾き」・・・ といったところで、ずっとやってました。なので、つい最近まで「ピック」で弾く、ということをしたことがありませんでした。

でも、①サムベースとの出会い、②ロックとのめぐり合わせがあり、それこそ「30の手習い」でピックと向き合うことになりました。

①のサムベースは、単純にピックで弾くと、とてつもなく良い音がするから。これは、いろいろな要素があるのですが、

・極力ブリッジ寄りで弾く
・比較的テンションの高い弦(自分的にはダダリオ等)を使う
・指で強く曲げようとすると、曲がるか曲がらないかくらいの固めのピックを使う

これらが合わさると、めちゃめちゃ良い音がします。

②のロックというのは、8ビートロックは、やっぱりピックがカッコいい、という単純なもので、自分のプレイの幅を広げる意味でも、ピックにチャレンジしてみよう、ということで練習を開始しました。

これが結構大変でした。指やスラップで簡単にできることが、ピックでやろうとすると全然できないんです。これには参りました。ピック弾きを甘く見ていたようです。手持ちのピックで一生懸命練習して、ようやく何とか形になりました。

次に、いよいよピック選びです。主なポイントは「質感」「しなり具合」「音色」。楽器店で15枚くらい買い込んで、試しまくりました。(楽器店で試すことが出来ないのが痛いですね・・・)その中から自分が選択したのが、

○Jim Dunlop stubby 1.5mm厚

まず、形。ベースで弾くときは、親・人差し・中の3本の指でしっかりとホールドできることが重要。このstubbyはセンターにくぼみがあるので、そこに親指を固定することができ、ホールド感が良い、というメリットがあります。質感も、ハードな樹脂を使っていて、弦にピックが当たる瞬間のカチッという音がしょぼくなり過ぎず、良い感じです。あと、しなり具合。指でギュッってすると、曲がるか曲がらないかくらいの硬さ。2.0mmは全くしならないので弾いていると手が痛くなる。1.0mmはしなり過ぎて、ゴリッとした弾き心地にならない。ということで、1.5mmがベストな厚み。そんな感じで、今、ピックは、これを愛用しています。

でも、本当は1.3mm厚くらいがいいんですよね。でもそんなものはないので、1.5mm厚のやつを手当たり次第に触って、一番薄そうなヤツを選んでます。(だからってホントに薄い訳ではなく、気持ちの問題でしょうけどね・・・)ベーシストには、オススメのピックです。是非、一度お試しください。

コーラス : EBS Uni Chorus

久しぶりにエフェクターについて。先日のライブで、今まであまり登場の機会がなかったコーラスを使いました。EBS Uni Chorusです。ちなみにコイツは、バンド盟友BJさんもライブ直前に購入し、届くまで、自分がBJさんに貸していました。(置きベースの恩返しができた???)

今から15余年ほど前、特にスラップをやるベーシストを中心に、薄ーくコーラスorピッチモジュレーションをかけっぱなしにするスタイルが流行りました。ピッチモジュレーションの場合は、重ねる音がショートディレイを兼用するような形でした。一方、この時代の背景としては、デジタル物が低価格で普及してきた、という背景、そして、アクティブベース全盛時代という背景が絡み合っています。このようなバックグラウンドを想定すると、アクティブベースのきらびやかなサウンドを、より際立たせるためにデジタルコーラスが使われた、という事情もあろうかと思います。

そんな時代に、自分も流行りに流されて同じことをやっていましたが、それ故に、流行の後に「原音回帰」の思いがとても強くしたのも事実です。より位相を明確にドンと座ったベースの音への回帰への意を強くしました。そんなこともあり、コーラスは、今もほとんど使いません。

ただ、TPOをわきまえて使うととても効果があるのも事実で、今回のライブは、たったの8小節15秒程度の登場でしたが、バラードのイントロでアップライトに軽くフランジャーをかける、という使途で登場させました。こういうのって、客どころか、メンバーも気づかない場合がありますが、なくなるとわかる、という、この手のエフェクトの使い方が自分は気に入ってます(笑)。

前置きが長くなりましたが、EBS Uni Chorusの全体レビューです。音やせは皆無で、非常にキレイにかかります。イメージ的にはt.c.electronicsのコーラスのような質感です。コーラス・ピッチモジュレーション・フランジャーの3機能があるので使い分けをすれば相当使いでがあります。世間ではフランジャーの評価が上々のようで、自分も今回フランジャーとして使いましたが、納得しました。オラオラ、ジェットサウンド!!! のような使い方はできませんが、キレイ系のフランジングという表現ができると思います。とても美しいフランジングサウンドです。

また、Pich Modulationとchorusもとても秀逸です。これの前はデジタル物を使っていましたが、温かみと言うか、メロウな感じで、アナログの良さがちゃんと活かされた設計だと思います。

コントロールは表向き2ノブとモード選択スイッチのみに見えますが、ウラ蓋を開けると筐体内に生音/エフェクト音のバランサーノブ(+ドライバーで調整)があって、自分は生音7:エフェクト音3程度にしています。これが、このペダルのベストバランスかなと思います。

また、特にベースの場合はコーラスを使う場面はバラードや静かめのシチュエーションが多いため、ノイズは致命傷ですが、このペダルは「電池」あるいは「ちゃんとした電源」で使えは、全く問題なし。但し、DC駆動の場合は、レギュレータ付の電源じゃないと「ブーン」って、モノスゴイハムノイズが乗ります。要は、手を抜かずにちゃんとした電源環境で使ってください、っていうことなんでしょう。

いずれにしても、ベースでコーラスを使うときは、どういう場面で、どういう使われ方をするか、ということをちゃんと想定して、自分自身がベースを弾く開発者が、マジメに基本に立ち返って作った、という感じが伝わってくるgoodなペダルです。もちろん、ギターにもオススメです。ね、BJさん。

スタジオ練習の相棒たち : その3 IBANEZ SR406

今日は、現在のスタジオ練習機、IBANEZ SR406のご紹介です。買った経緯は前のコラムでご紹介した通り、メインがWARWICK Thumb Bass 6stになったあと、5弦ベースでは全く練習にならないことを痛感したため。以降、ネットでちょろちょろと検索していたのですが、たまたま出玉に恵まれず、そんな時、御茶ノ水をたまたま歩いていて、たまたま中古楽器店に入ったら、たまたま安くこれが置いてあり、IBANEZということもあり、購入しました。


試奏の時はセッティングが決まっていなくて(おそらく前のオーナーがピック弾きメインだったと推察します)、その場で店長と一緒にリセッティング。その際、ロッドが2本入っていることもあり、ネック状態をとても微妙なレベルで調整することができたので、音はさておき、良いかも、と思ったのが、第一印象。演奏性に優れ、価格も手ごろ、たまたま巡り合ったのも何かの縁、ということで購入に至りました。

ボディ材としては、比較的珍しいメイプルを採用しています。全体の重量は6弦ベースとしては標準的で、サムベースよりは軽めという印象です。一般にネックに使用するハードメイプルではなく、米産のソフトメイプルです。メイプルボディというと、GIBSONのリッパーベースRickenbacker、B.C.RICHのイーグルベースなどが有名ですが、いずれもどちらかというとピックでゴリゴリと弾くのが似合いそうなローファイ系。そのメイプルボディに、このクラスとしては珍しい3バンドアクティブEQ付きのサーキットを搭載すると、どういう音が出るんだろう、という印象でした。

ネックは3ピースメイプルローズウッド指板で、指板が結構厚めなので、出音に対する影響は結構あるのかも知れません。ネック形状はサムベースの6弦に比較的似ていて、フィニッシュもサテン系でサラサラしてて、汗っかきの自分でも引っかかることがないし、オイルフィニッシュのサムと感触が似てて、違和感がありません。そして、これまたこのクラスとしては珍しくトラスロッドが2本仕込まれています。薄い3ピースネックの補強の意味なのでしょうが、6弦ベースのネックにありがちなネジレも、2本のロッドを使って微調整できるため、まさにビシッと真っ直ぐな状態のネックに仕上げることができます。これはとても大きなメリットですね。フレットもちゃんと丁寧に打ち込んであり、浮きやヘンな波打ちは見られません。

ハードウェアは不明ですが、ブリッジは結構質量がありそうなものが使われています。ペグは動きに滑らかさがなく、ちょっとぎこちない部分がありますが、機能は充分に果たしています。ナット材は不明ですが、おそらくテフロン加工がしてあるカーボン系だと思います。なので、チューニング精度は良くちゃんと音程が落ち着きます。

ピックアップはDX6という、おそらくはオリジナルのもの。ハムバッキングタイプのように思われますが正体は不明。ノイズは少なく、出力は低めの設定。結構クリアな出音です。サーキットは、ぱっと見あまり機能美を感じるものではない雑然とした感じ。それでも、3バンドのイコライザーは効き過ぎるくらい、きちんと効きます。それ以外のコントロールは、マスターヴォリュームとピックアップバランサー。アクティブの王道的な仕様です。

肝心の出音ですが、本当に、なかなかのものです。昨日もスタジオで使用しましたが、組み合わせたアンプはSWR 350X + GOLIATHⅢの10'×4。特に、ピックアップの前後バランスを4:6で後ろよりにした時の指とピックの音が良いです。スラップの音は、メイプルボディのベースでスラップをやると、きっとこんな感じだろうな、という音。アッシュでもない、アルダーでもない、エキゾティックハードウッドでもない、メイプルの音、と言う感じ。バスウッドに近い印象もあります。

ま、練習用ベースなので、そこまで厳密にはこだわりませんが、指弾き、ピック弾きのゴリゴリしたパワー感はとても良いし、好みはありますがルックスもまずまず。肩にかけた時のバランスもとてもよくて、弾きやすいです。ピックアップやサーキットを載せ替えるともっと良くなりそうな感じです。baltoriniのブライトタイプのものを載せるととても良いかも知れません。これから、練習の度に、もうちょっと使い込んで研究していきたいと思います。とりあえず、Welcome IBANEZ!

5弦ベースと6弦ベースは延長線上にあるか?

今回は、自分の実体験を通じて、多弦ベースに対する認識についてお話をさせていただきます。

自分がエレキベースを始めて手にしたのは、それこそ今から23年も前のことです。無論、当時はFENDERのコピーモデルのパッシブ4弦という、バリバリの王道。でも、5弦にスイッチしたのは意外と早く、ベースを始めて4年の時でした。リリース間もないIBANEZの廉価版5弦モデル(それでも高校生にとっては高価)でした。

でも、4弦→5弦(Low-B)のコンバートは、正直言ってほとんど違和感がありませんでした。機種にもよりますが、弦間ピッチが若干狭くなったり、重量が重くなったり、ネック形状が変わったり、いろいろと細かい違いはありますが、根本の部分では最低音域が下に4度広がるのみ、というイメージで、自身のプレイスタイルの基本は全く変わりませんでした。

ところが今年の年明けに5弦(Low-B)→6弦へのコンバートし、当初はただ単に弦が1本増えて高域側に4度音域が広がるだけだろう、と思っていましたが、弾き込めば弾き込むほど、このコンバートは4→5のコンバートとは全く異質のものであることを思い知らされています。

まずは、4弦→5/6/7弦(多弦)のコンバートにより、プレイヤーが受ける影響を大別すると2つに集約されると思っています。

①演奏性

弦が増えたり、弦間が狭くなったり、ネック幅が広がったりすることによって、フィンガリングに影響が出たり、スラップで間違った弦を叩いたり、G弦を思い切りプルできなくなったり・・・ という物理的な相違による影響です。

②インスピレーション

新しい道具に接し、最初は前に持ってた道具の延長線上で使おうとするが、そうするうちに、何かのきっかけで、前の道具との違いを利用して、前の道具ではできなかった、あるいは現実的に困難であった、何か新しいことをやってみよう、というインスピレーションをプレイヤーに与えることによる影響。

①の演奏性に関しては、自分のケースでは5弦(Low-B)が当てはまります。人間は慣れる動物で、個人差はあるものの、この類の相違にはすぐに慣れてしまいます。下4度が広がった、ということで、浅はかにもテーマ部でLow-B弦のみをやたらと使うベースラインを作ったことがありますが、これはインスピレーションという類のものではなく、単なる悪趣味ですね(笑)

ところが②のインスピレーションについては、自分の6弦ベースへのスイッチが、まさにこのケースに当てはまると思っています。もちろん5弦同様、上に1弦増えてスラップがやりにくいな、と最初は思いましたが、こんなものは30分で慣れてきます。慣れてくると、今度は、フィンガリングの容易性を活かして、5弦だと難しかったフレージングが6弦だとやりやすいことに気づいてきます。ここまでは5弦でも、無理をすれば物理的に何とかこなせます。

そして次に、このHi-C弦を活かすためにはどういうプレイをすべきなのか、と考える訳です。Hi-Cのハイフレットは、テナー・ピッコロの領域に入って行きまので(しかもサムベースは26フレット)、結果は明らかで、ベースの役割を拡大解釈して、他のパートとぶつからない範囲で、よりメロディアスな要素を求めることになります。自分は元来ベーシストであることもあり、この"ウタゴコロ"が不足しているところが、これからの大きな課題ですが、同時に新しいことにチャレンジする大きな楽しみもあります。

自分の場合は買った後に気づいた訳ですが、まあ、一言で言うと、6弦以上の多弦は、Low-B5弦とはまたちょっと違ったアプローチで臨む必要があり、それを意識すれば、必ず前進がありそうだし、逆に、新しい目的意識がないとせっかくの多弦の意味が半減してしまう、という風に思う次第です。

もちろん4弦であっても、多弦ベースがプレイヤーに与えてくれるインスピレーション要素を難なく取り入れて弾きこなしている方も多くいます。でも、自分のような凡人プレイヤーの場合は、少なからず、楽器から受けるインスピレーションに頼らざるを得ない部分もある訳で、6弦ベースは、自分のプレイの可能性を広げてくれるインスピレーションを、確実に与えてくれています。音域が広がったという物理的なメリットのみならず、何か、別のものを一緒に持ってきてくれている気がします。これに応えるべく、もっともっと弾き込まないと・・・

スタジオ練習の相棒たち : その2

エレクトリック・アップライト、Stud B Customについては先日既にご紹介をしましたので、6弦にスイッチして、現在はもう手もとにはありませんが、今回は5弦エレキベース練習機として長きに渡って活躍してくれた、HOHNER B2Ⅴ licensed by steinbergerをご紹介します。

ヘッドレスベースについては、当ブログの読者さんでいらっしゃる、う”H”お~ねさんともだいぶ以前から盛り上がっていますが、今回は改めて、当方の練習機として紹介します。

HOHNER B2Ⅴは、スタインバーガーライセンスの5弦ヘッドレスベース。過去に数多あったコピーモデルとは一線を画し、真正licensed by steinbergerです。

このB2シリーズにはボルトオンタイプとスルー(orセット)ネックタイプのボディがあり、スルーのモデルにはパッシブとアクティブの2種類のサーキットが用意されていたと記憶しています。但し、5弦モデルであるこのHOHNER B2Ⅴはパッシブのみの設定。PUはハムバッカー×2、コントロールは2Volumev・1Toneの極めてトラディショナルなサーキット。スタインバーガーライセンスとは言え、本家とは別物で、材はボディ・ネック共にオールメイプルで指板はローズ。何気に重量があります。ライセンス物の特徴であるチューニングシステムレッグレスト等のハードウェアはlicensedの刻印が入ったものですが、これも本家と比較して、デチューンされている部分があります。特に、オクターブチューニングで駒を前後させる機能は相当デチューンされてます。ちょっとやり過ぎと思いましたが・・・  フレットは(たぶん)ステンレス合金でなかり固め。サウンドキャラクターの形成にも一役買っていると思いますが、これまた、打ち方が相当雑です。自分の個体は、いわゆるフレット浮きのような症状はないのですが、ネック表面を、ブリッジからヘッド(無いけど)方向に見ると、左右にかなりガタガタに波打っているのが明確にわかります。上下方向ではないので演奏そのものには影響しないのですが、手を抜けるところでキチッと抜いていることが良くわかります。

あと特徴的なのは、木製なので、本家にはない「トラスロッド」が入っています。トラスロッドは良く効きます。またスタインバーガーの特徴であるナットではなく0フレット仕様であるため、Low-B/Hi-Cのコンバートもらくらく。トラスロッドの僅かな調整でどちらも難なくこなしてくれます。

あと、パッシブサーキットであったため、自分はトーンコントロールのコンデンサを米製のorange dropに替えました。

次にサウンドです。純正PUはあまり良いものではありませんでしたが、それでも、かなり良い感じの音を出してくれました。スラッピングの音は正直言って、全く好みではありませんでしたが、アンサンブルでの音抜けを無視すれば、ミッドカットでそれなりの音になります。特筆すべきは指弾き&ピック弾き。フロントPUをちょっと絞り気味にして、リアを強めに、出過ぎる低域を若干絞って、ハイミッドをちょっとだけカットして、ハイを上げ気味、と言った具合の調整をすると、サムベースっぽく聞こえなくもない、ゴリゴリっとした感触のタイトサウンドが出てきます。

いろいろと考えると、この楽器のサウンドの基礎になっているのは、

・ボディの一部として、丸太っぽく太めに作ってあるネック
・硬質なジャンボタイプのフレット


この辺がキャラクターを決定付けているように思います。故に、本家STEINBERGERと全然違う訳ですが、これはこれで、なかなか良いと思いますし、PUをEMGハムに替えると、もっともっと輪郭のはっきりしたクリーンな音が期待できると思います。ホントはそこまでやってみたかったのですが、そこまでやると、全体に占めるPUの割合がコストワイズでかなりの部分を占めることになるので・・・  でも1本持っていて、損はないと思いますよ。そんな楽器です。

ライブ告知!

今週末、2月20日(日)に、相模湖の先の街「藤野」で、コンサートイベントがありそこで演奏します。(電車:中央線藤野駅から送迎バスあり、車:中央道/相模湖東・藤野インター)

場所:藤野芸術の家 クリエーションホールhttp://www.din.or.jp/~fart/
時間:2月20日日曜日午後1時から
イベント名:藤野DEコンサート

行き方:http://www.din.or.jp/~fart/koutuu-ann.html

・vo+g+bの3ピースアコースティックユニット"TRIAD"
・ロックバンド"Bel_A"

2つのユニットで出場します。入場は無料です。

藤野町は「芸術の町」としてクラスターを形成しています。コンサートももちろんですが、当日は、ガラス工芸・木工・ペイント等々、リーズナブルにいろいろと体験できますので、是非! 

スタジオ練習の相棒たち : その1

先日、エレクトリック・アップライト"Stud B Custom"のご紹介をしましたが、このStud Bは基本的に「スタジオ練習専用機」で、よほどの事情がない限り、ステージには持っていかない機材です。なぜ「スタジオ練習専用機」が必要かというと、自分の本業はビジネスマンであり、平日のスタジオ練習があるときに、ビジネスの場に楽器を携帯するのはとても憚られるため、手ぶらでスタジオに行き、盟友であるBJさん(いつもありがとう!!!)に預かってもらっている「スタジオ練習専用機=置きベース」でスタジオ入りする、という具合です。

ところが、置きベースと言えどもバカにできません。本来は、やはり自分の楽器と機材を持って本番と同じ音で練習するのが理想であり、本質的には、そうでなければ"リハーサル"とはならない訳ですが、上記の通りなかなかそうもいきません。したがって「置きベース」という話になる訳ですが、スタジオ練習の場合は、本番使用の機材と練習用の機材の違いを自分でちゃんと認識・把握していることが重要で、どれでも良い、という訳ではありません。コストパフォーマンスが良い一方で、それなりにちゃんとしたサウンドを鳴らしてくれないと練習になりません。そして自分が一番気を使っているのがセッティングです。自分は、「セッティングの異なる同じ楽器」と、「セッティングコンセプトが同一だけど、違うブランドの楽器」では、後者の方が「似ている」と定義します。それほど、セッティングは自分にとって重要で、極論すれば、ぜんぜん異なる楽器でも、自分で、或いは自分の好みを知っている方にセッティングして頂いた楽器なら、同じフィーリングで演奏することができます。こんなところが、自分の「置きベース」選択のポイントです。

現在、自分はBJさんに預かってもらっている「置きベース」は以下の3本です。

①Stud B Custom (エレクトリック・アップライト)
②HOHNER B2Ⅴ (5弦ヘッドレスパッシブベース)
③IBANEZ SR406 (6弦アクティブベース)


①は先日ご紹介をしたヤツです。ちょっとtoo muchにローが出ますが、その迫力もあり、一度だけステージで使ったことがあります。②は、メインがサムベース5弦のときに大活躍してくれた愛器、HOHNER B2Ⅴです。残念ながら、メインが6弦になったに伴い、練習機としての役割を果たせなくなったため、現在YAHOO!オークションに出品しております。ご興味のある方は是非! ③は、先週購入したばかりnew練習用愛器です。6弦で自宅練習をして、いざスタジオで5弦を弾くと、フィンガリングだけではなく、全然違うフレージングをも強いられるということを改めて痛感、これでは練習にならないので、即探してget。多弦にしてはリーズナブル(当時の定価8万円と思います)な価格にもかかわらず、さすがはIBANEZという感じで、それなりにちゃんとしたサウンドを出力してくれます。この辺でIBANEZをチョイスするところに、自分がDoug WimbishやJohn Scofieldファンである片鱗がうかがえたりします。(笑)

ちなみにつまらないことに気づきましたが、練習用エレキはネック・ボディ共に両方ともオール・メイプルである一方、メイン機(サムベースの5弦、6弦)はいずれも、メイプルを全く使っていない楽器です。またアップライトも、Stud Bがアルダーで、NS Designはメイプル+エボニー。ちなみに練習用マシンの色は全てblackで、本番用マシンは全てnatural。色はさておき、素材やエクイップメントが異なるのに、練習機としての機能を果たしているのは、おそらくはセッティングの妙だと自負しています。唯一、Stud Bのセッティングがイマイチ決まらない。リセッティングしないと・・・

アップライトベースのピックアップ考察

先日、エレクトリック・アップライト・サイレントベースについていろいろと書きましたが、今回は、そのサウンドを電気信号に変える要であるピックアップについて考えてみたいと思います。(写真は、ピエゾPUの定番、FISHMAN BP-100)今までに自分が使ってきたものに付いていたもの、使ったことがあるものを羅列すると、大きく分けて3つあります。

①ピエゾ

もはやアップライト・ウッドベース用PUの定番、圧電素子といわれるもので、振動・圧力を電気信号に変換するピックアップ。つける場所は様々で、駒のトップに圧着するもの(ex.FISHMAN)、駒のウィングに挟み込むもの(ex.UNDERWOOD)、駒の足の間に橋状につけるもの(ex.POLYTONE)、駒下に敷きボディと挟み込むもの(ex.Realist)、さまざまです。ただ1つ言えるのは、拾う場所によって音質が大きく変わり、それぞれがそれぞれの想定した場所につけることで最大パフォーマンスを発揮できるようにようにチューニングされています。

②マグネット

エレキベースでも使用されているPUの王様。弦がPU上の磁界を揺れ動いて発生する磁場の動きを電気信号に変換するピックアップです。当然、音はエレキっぽくなりますが、そのバランスの良さや音の作りこみのしやすさには一夕の長があります。ただ、磁力を使うものであるため、弦は金属弦に限定され、ナイロン・ガット等は基本的に使えません。

③マイク(コンデンサ)

ダイナミックとコンデンサがありますが、楽器用は一般的にはほとんどがコンデンサ。自分が使っていたSCHERTLERのように駒のウィング部の穴に挟み込むというスタイルはどちらかというと例外で、一般的にはサウンドホールのところに設置して、ホロウボディが鳴らす音をそのまま拾います。

製品によって特徴はマチマチですが、あくまでも一般論として、ピエゾは「高域型」、マグネットは「低域型」、コンデンサは「フルレンジ型」という分類ができると思います。

単体で使用されるケースでは、プリアンプの使用を前提としたピエゾ単体が圧倒的に多いです。最近ピエゾの性能がものすごく良くなってきていることもあると思いますが、あたかも上質なマイクで拾ったかのようなナチュラルな音を再生するものが出てきていますね。あと、楽器のボディ構造(ホロウ、ソリッド)との相性による違いもあり、一概にどれが良いとは言いにくいですが、ホロウ構造に限って言えば、アフター品ではRealistの評判が高いようです。また、単体品としては販売されていないと思いますが、NS DesignのPolarは、ピチカートとアルコの振動方向に合わせた拾い方の調整が出来るので、単体での販売が望まれるところです。いずれのPUも開発にNed Steinberger氏が絡んでいますので、その計り知れない才能に感服する次第です。尚、ピエゾは一般的に出力が低く、インピーダンスが高いという特性があるので、ゲインコントロールとインピーダンスマッチングという観点でプリアンプとの組み合わせ使用が必須といえます。

あとは単体使用ということでは、自身の経験から、SCHERTLERのコンデンサマイク+専用のAクラスプリアンプは絶品です。マイクなのでハウリング処理をする必要はありますが、全域に渡ってナチュラルに音を拾ってくれます。ピチカートでもアルコでもいけますが、ピチカートしかしない方にとっては、もうちょっとピチカートよりのセッティングにして欲しいと思われる部分もあるかも知れません。あと、ハイが若干絞り気味なのでピエゾと組み合わせると、その威力をもっと発揮するものと思われます。

複数ピックアップを組み合わせた使用では、ピエゾ+マグネットが一般に多いですね。ピエゾで弦のタッチ感とエアー感を拾って、不足する低域をマグネットで補うタイプ。ピエゾ+マイクは、マイクで全体のサウンドを作って、カチカチといったようなウルトラハイをピエゾで補うタイプ。マグネット+マイクというのは、見たことがありませんが、感覚的にセット使用のメリットがあまりなさそうです。

こんな感じで考えると、やはりPUを決める上でもっとも重要なのはボディの構造だと思います。最近はボディの構造も結構多様化してきていますので、あくまでも私見ですが、以下の組み合わせがベストプラクティスなんではないかと思います。

○ソリッドボディ → ピエゾ or ピエゾ+マグ
○ホロウボディ  → マイク or ピエゾ or マイク+ピエゾ


でも、ホントにこれは一般論で、ボディ構造・PU特性・好みによって千差万別だと思います。最終的には、とにかくいろいろと試して、試行錯誤することしかないんだと思います。これも、楽器を演奏する上での楽しみの1つですからね。