THE SET-UP

ボクシングの試合で八百長が仕組まれた。マネージャは「負けは確実」と考えて選手に伝えなかった。


製作:1949年、脚本:アート・コーン、監督:ロバート・ワイズ


■ はじめに

◆ 登場人物

ストーカー・トンプソン(ロバート・ライアン) - ボクサー
ジュリー・トンプソン(オードリー・トッター) - ストーカーの妻
タイガー・ネルソン(ハル・フィーバーリング) - 対戦相手

◆ 補足

ロバート・ライアンはボクシングの学生チャンピオンだったらしい。

原題のSet-upは内容を正確に表現しているが邦題はおかしい。
 


■ あらすじ

ストーカーはかっては実力があり実績に輝いたボクサーであった。過去形。今では35歳になって、その面影はなくなった。負けが込んでいる。しかしまだ気力はあるようである。

さて今回の対戦相手はタイガー・ネルソン。23歳。バリバリ。

ストーカーはジュリーと一緒に近くのホテルに泊まっている。「ホテル」とは言ってもボロボロ。

今回の試合は(あるいは「今回の試合も」)客観的に見れば勝敗は明らかである。ジュリーは、ストーカーに引退してほしいと思っている。思っているだけではなく、しきりにそのことを言っている。試合の直前になっても言っている。何よりも夫の体が心配である。「二人が円満に暮らせたら、それで十分」。

しかしなぜかストーカーは「今夜は勝てる気がする」と言う。競馬やパチンコで過去のことを思い出して勝てるような気がするようなものかもしれない。

もし勝てば次には大きな試合が組まれておりファイトマネーも上がる。ジュリーの前でそんなことを口走っている。「150ドルは稼げるし、タイトルも取れるかも」。注、1948年なので、今の150ドルではない。

時間が迫ってきたのでストーカーは出て行った。ジュリーは手元の切符を眺めながら試合を見に行くべきか迷っている。ホテルを出て近くまで行くが足が止まり迷っている。けっきょく会場にはいかずに鉄橋の上で切符を破り捨てた。ホテルに戻った。

ボクシングの試合には賭けはつきものである。今回の試合でも賭けが行われている。

そして八百長が仕組まれている。第一・第二ラウンドは普通に戦い、第三ラウンドが始まったらストーカーがノックアウトされる。このように仕組まれている。

しかしストーカーのマネージャーは「負けは確実」と踏んで、ストーカーに渡す金を節約するために知らせていなかった。

試合が始まった。概ねタイガー優勢である。しかしストーカーも結構粘っている。ストーカーはダウンを取られたが立ち上がった。

第三ラウンドが始まった。タイガーとしては、ここでストーカーが倒れてくれるはずであるが、そうはならない。ストーカーはまたダウンするが、またしても立ち上がる。

第三ラウンドが終了。マネージャーはストーカーに「ダウンしろ、30ドルを出す」と言う。ここでストーカーは事情を理解した。逆にファイトが湧いてきた。タイガーのコーナーでは「俺たちは騙された」。

第四ラウンドが始まっても、ストーカーが何とか健闘するのでマネージャーは逃げ出した。ストーカーはまたダウンを取られたというものの、むしろ攻勢に立った。そしてタイガーがダウンした。そのまま立ち上がらず10カウント。2分58秒。

八百長の相手は大損をしてしまった。損は取り戻せないがストーカーに示しをつけておかなければならない。タイガーを含めて四人がストーカーを待ち構えている。

ストーカーはそれを察知し別の出口から逃げ出したが路地で捕まった。ストーカーはボクシングが二度とできないようにレンガで手をつぶされた。

路地からよろめきながら出てきたストーカーをジュリーが見つけて駆け寄った。

確かにストーカーはボクシングができなくはなったが、それはそれで踏ん切りがついて、次の道に行く覚悟ができたようである。ジュリーは「シガーバーを始めてもいいし、ボクサーを育ててもいい」と言う。
 


■ 出演作

◆ ロバート・ライアン
(1947)浜辺の女/The Woman on the Beach
(1947)十字砲火/Crossfire
(1949)魅せられて/Caught
(1952)危険な場所で/On Dangerous Ground
(1951)生まれながらの悪女/Born to Be Bad
(1953)地獄の対決/Inferno
(1950)暴力行為/Act Of Violence
(1959)拳銃の報酬/ODDS AGAINST TOMORROW
(1955)ビルマの逃亡劇/Escape To Burma
(1952)優しき殺人者、記憶が途切れる男/Beware, My Lovely
(1958)真昼の欲情/God's Little Acre
(1955)逞しき男たち/The Tall Men
(1953)裸の拍車/The Naked Spur


オードリー・トッター
(1947)湖中の女/The Lady In The Lake
(1955)暗黒の叫び/A BULLET FOR JOEY
(1947)高い壁/High Wall
(1946)郵便配達は二度ベルを鳴らす/The Postman Always Rings Twice
(1952)パリの記者とハンガリーのスパイ/Assignment - Paris
(1953)私刑される女/Woman They Almost Lynched
(1953)恐怖の町/Man in the Dark
(1951)FBIの女/FBI Girl
(1949)テンション/Tension