先の京都旅行。
俵屋宗達の杉戸絵がある養源院とともに楽しみにしていたのが、
東本願寺「大寝殿」と「白書院」特別公開。
特に前者には、竹内栖鳳の障壁画があります。
養源院の杉戸絵同様、美術館では絶対に見られない、その場所だからこそ
生きる作品です。
驚いたことに、特別公開では写真撮影OKでした。
そういえば2日目に行った朝の御勤めも、写真撮影なんて当然ご法度だろうと
スマホを置いていったら、最後に撮影はどうぞ存分に、と。
無料でPRしてくれる媒体としてSNSが侮れない存在になりつつあるということか。
大寝殿奥にそれはありました。
右から「風竹野雀図」「歓喜図」「古柳眠鷺図」。
お寺の障壁画を描くぞ、といった力みは感じられず、
肩ひじ張らず、竹内栖鳳らしい自然に寄り添う優しい筆致でした。
一見ナチュラルな動植物画のように見えましたが説明を聞いて納得。
煩悩から浄土までストーリー性をもたせた内容になっていました。
「風竹野雀図」
強風で竹林が激しく揺れるさまが描かれます。よく見ると、左下には二羽の雀の姿。
障壁画は、右から左へと煩悩がなくなっていく様が描かれます。
最初のこちらには、強風で枝がしなう竹林の中、二羽の雀が飛翔しながら闘争する姿が描かれ、
現世の闘争と煩悩がの表現といいます。
一番左の障壁画の静かな鷺と対照をなす図柄です。
保護用のガラスが前面にあるので、なかなか見づらいですが。
防護用ガラスから出ている上の部分。
中央の障壁画。
両側の水墨花鳥図に挟まれたこちらは、墨使いはなく着色画。
あたたかなひだまりでえさをついばむ雀があちこちに好き勝手に飛び交うさまが描かれます。
解説によるとこれは遇法、つまり出会いの喜びを表す、と。
そして最後は、繊細なタッチと速く大胆な筆致が混ざり合う鷺図「古柳眠鷺図」。
ガイドの方いわく、こちらは浄土のイメージ、と。
鷺というのは警戒心が強い鳥。
それがのんびり休んでいるところに注目、とのこと。
壁画の手前の解説は以下のとおり:
「雪景色に生いたつ柳の古木の上で静かに休む白鷺の姿が
ほかの2つに対して静態表現で描かれている。
今にも折れてしまいそうな柳の枝先に白鷺が休んでいる姿を通して
浄土の静寂が表現されている。」
竹内栖鳳の筆跡。
近づくと、羽の表現は上部が重ね塗り、下部は筆跡を大胆に残すやり方。
煩悩が描かれた右の壁画
浄土を表す左の壁画
東本願寺に竹内栖鳳の絵があることは、
3月の京都特別公開一覧パンフレットを眺めていて初めて知りました。
それで即刻申し込み。
但し、ご住職のガイド付きコースは募集数が少なくて、すでに満杯。
一般の特別公開見学コースになったけれど、ところどころボランティアガイドが入り、格天井の場所ごとの違いなどの説明もありました。
西本願寺の見学は短期だったので、滞在前にイベント終了。残念でした。
最後に、風格ある菊門。
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