あもる一人直木賞(第168回)選考会ー途中経過1ー
「おい直木賞選考会、やるのかやらないのかどっちなんだい!や~る~。ぱわー!」←2周遅れであもちゃんお気に入りのなかやまきんに君。今度こそ間に合わないんじゃないかと思ってる、そこのあなた、そしてそこのきみ。さほど順調でもないが(足をひっぱる作品が・・)、まあ安心してください、間に合い・・間に合わせますよ。『あもる一人直木賞(第168回)選考会ースタートー』2022年最後の日にこんな話題でいいのか・・という気もするが、追い込まれないと何もしない私らしいっちゃ私らしいってことで・・・芥川賞、直木賞候補作決まる 選…ameblo.jpでもでも聞いて聞いて〜。朗報〜。もう受賞作は決まってるの。私の中で。(・・・はい、そこ!前回も同じこと言ってたとか言わない。)頭を垂れて蹲え 平伏せよ。いよいよ再び(何年前?)、あもちゃんの真の実力を見せつけるときがやって来たのだ。今回の直木賞選考会も前回同様、特に読む順番も考えないまま(どうせ考えたって全部読むんだし)、以下のとおり手に取った順で読んでみた。(1)雫井脩介「クロコダイル・ティアーズ」(文芸春秋)(2)千早茜「しろがねの葉」(新潮社)(3)凪良(なぎら)ゆう「汝(なんじ)、星のごとく」(講談社)(4)一穂ミチ「光のとこにいてね」(文芸春秋)(5)小川哲「地図と拳(こぶし)」(集英社)特に読む順番も考えてないわりに、最後に大物(但し、重さ)を残したあたり、性格が出ている。嫌なことや気が重いことはギリギリまで手をつけない。それがあもちゃんの真骨頂!ただ読み進めているうちにちょっと思った。順位をつけるにはやっぱり読む順番は多少影響あるかもな〜。と。(M-1に限らず、コンクールなどでもトップバッターは多少不利と言われるし。)↓ピアノコンクールでトップバッターが不利・・と言われてたロシアの子。 ・・でも本戦に進んだよ!蜜蜂と遠雷(上) (幻冬舎文庫)Amazon(アマゾン)743円蜜蜂と遠雷(下) (幻冬舎文庫)Amazon(アマゾン)743円とはいえ、もう受賞作は決まってるし!大体、天下の直木賞を受賞しようかという候補作品が(そんなエバリンボウな賞ではないが)読む順番に左右されるようではいけません。あとは超重量級の大物だけじゃなく色々と残しているので(ザ・無計画!)、頑なになりすぎず粛々と読み進めていく。冒頭でも書いたが途中まで順調に読めていたのだが、中盤私の足・・ならぬページをめくる手を止める作品があり、結局最後の大物で日数的にかなり追い込まれそうな気もしなくもないが、前進あるのみ。ねらい外さず ねらい外さず(「トコトンヤレ節」より)※養蜂する蜜璃ちゃんも可愛いが、軍歌を歌う蜜璃ちゃんもこれまた可愛い。てなわけで順次発表してまいります。順位については読んだ時点でのもの。次の記事以降で順位は上下していきます。※全体的に作品の内容に詳しく触れています!!!(次回以降の記事も同様)1位 千早茜「しろがねの葉」(新潮社)2位 雫井脩介「クロコダイル・ティアーズ」(文芸春秋)3位 4位 5位 ◇◆クロコダイル・ティアーズ (文春e-book)Amazon(アマゾン)1,700円一番最初にこの作品を読んだことをちょっと後悔。なぜならこれが1位でもいいんじゃないかしら!?よっぽどのものが次に来ないと、この作品は超えられない気がする~。と思ったから。後に続く作品が大したことなければ、残り4作品を読むのもだる〜い←コラッとかとか思ったから。それほど今の時点で、はい優勝!と思っていたのだが、ただ他の作品と接戦だった場合、こちらの作品がトップバッターということで私の目が曇る。正しく選ぶことができるだろうか。何より3歩歩くと忘れる鳥頭あもちゃん、読後の点数を読んだそばから忘れていく。選考委員として致命的。・・てな感じで、この次に来る作品(千早作品)が「よっぽどのもの」であることをわかっていない段階でいきなり一人で苦悩しておりました。お名前はすでにあもちゃんの耳にも届いていたが、なにぶんミステリー初心者のあもちゃん、今回初めましての雫井さんであった。だが初めましてなのになかなかの好印象!読み終えた時のあのモヤモヤ感がめちゃくちゃ怖くて、うわ〜やられた~と雫井さんの技巧にまず舌を巻いた。結論は読者次第、どうとでもとれる、とあえて結論を有耶無耶にしている作品はこの世に多く存在するが、この作品における「結論」はちゃんと書いてある。なのに、読者はこれまでの経緯を延々と見て(読んで)きているので、その「結論」が俄かには信じられない。でもご本人はそう言ってるし、それ以上のことは書いてないし、その他の事象を考えても、一部アヤシイ点はあるけれど大まかにはそういうことだったのかもしれない・・・と思うも、やっぱり信じられないの〜〜〜><これは作者のあえての仕掛けなのか、それとも偶然の産物なのか。どういう構成かと言うと(バリバリ内容に触れて踏み込んでます!!)ある男性が殺された↓殺された男性の妻・想代子の元カレが容疑者として捕まり、粛々と裁判が始まり結審間際、容疑者が「いやいや、実は想代子から殺してくれって頼まれた」とか言い出す↓疑心暗鬼に駆られる被害者の両親、そして親戚たち。↓で、なんやかんや、想代子がアヤシ過ぎる!という事件が次々と起こる。但し、姑目線で。本当は息子を殺したのは嫁じゃないかって疑っている姑の目には、想代子の一挙手一投足が怪しく映る。という描写。これがすこぶる上手い。そして想代子の人物像が「捉えどころのない美人」であるため、芯が強いんだか、図々しいんだか、たおやかなのか、ただ鈍いのか・・読者も常にケムにまかれる状態。姑以外には舅の目線、姑の姉の目線から入れ替わり立ち替わり、想代子との絡みが語られるのだが、徹底して肝心の対象である想代子の心の内は描くことなく、そこにある事実とその周辺にいる人物の受け止め方と思いで物語が進んでいく。その辺もアヤシサ満点という感じで、舅は想代子に悪印象はそこまでなく、割と想代子の肩を持ってあげているのだが、それがまたアヤシイのだ。想代子が美人だからす〜ぐ男たちは想代子に甘い顔をすると女性陣が言っておりまして、私もそーだそーだ。きっと最後に痛い目に遭うんだから〜!と読者である私も完全に姑ら女性陣の視点から想代子を疑っておりました。だって〜そういう感じで書いてあるんだもん笑そして疑惑MAXになった頃、色々事件が起こり、最後にとうとう想代子の独白。今までアヤシイと疑われていた事象について、想代子が1つ1つ読者に説明してくる。結論から言うと想代子はシロ。・・なんですけどーー!・・ではあるんですけどーー!いや、それ、ほんと?私の中で、最後まで想代子への疑いは晴れることなかった。(なんなら今も疑ってます←しつこい笑)だって〜詳細は省くが、この事件で結果的に一番得したのは多分想代子。(世間から、殺害依頼をした、と疑われた点はキツイが。)実家から実母を呼びよせ、義実家の家族がいなくなった義実家に住み、親戚がやっていた店まで自分が入り込むことになったし、俗にいう背乗りってやつ?が成功した、とも見えるのだ。想代子は自身の幸せに長く耐えててよかった!とか思って作品は終わるのだが、ほんとだねー!頑張ったね!とかちっとも思えない、それがこの作品の最大の魅力であります。想代子が全てを仕組んだことだとしたら、こええ女。と思うし、想代子の言うことが100%本当だとしたら、やっぱり違う意味で、こええ女。(鈍いって大罪だと思う)と思うのである。最後の想代子の告白で、ニマリとか笑ってくれていたらあ〜やっぱり〜!!とか思うのに、そんなこと一切なくて、本当に恐ろしい事件だった・・・とか感慨深げに過去を振り返る。そんな姿もやっぱりアヤシイ。疑い出したらキリがないし、一生、これ、解決しない。じゃあ結局、あの殺人事件の真相って単純に元カレの逆恨み的犯行ってことでいいの!?いや〜嘘だ〜。くぅ〜。モヤモヤするぅ〜。そのモヤモヤが気持ちいい!!ちょっと大袈裟に言うと、『藪の中』(芥川龍之介)的な感じ・・・はさすがに言い過ぎ&ちょっと違うが、ただ、この作品のモヤモヤはあの種のモヤモヤと似てると思ってもらえれば。構成は一人の男性の殺人事件、そしてその後の展開を、男性の父母、そして伯母からの視点で交互に書いてあるのだが、そのまま時系列に進んでいくのでさほど複雑な作りにはなっていない。なんならミステリーの割にシンプルすぎるほど。でもそれは全て最後の結末のためだったのかもしれない。この結末、作者はあえて仕掛けて書いたのだろうか。それとも意図せず、偶然こういう曖昧で怖い感じになったんだろうか。ミステリー初心者の私でも大変楽しめた作品であり、この時点で(1作品しか読んでないけど)私の中で第1位を獲得したのでありました!そしたらその評価を軽々と飛び越える作品が次に来ちゃってさ〜・・・いや、なんで私、そういう作品から読んじゃったかね><読んでみないとわからないとはいえ、もう少し考えてから読めばよかったよ〜◇◆しろがねの葉Amazon(アマゾン)1,870円千早さんってこんな野太い小説を書くようになったんだなあ・・とまぶしいものを見る思いであった。これまではこんな感じの作品を書いておりました↓『あとかた』あとかた/新潮社¥1,512Amazon.co.jp淡雪のごとくはかない読後感。(あらすじ)※帯、Amazonより結婚直前の女、家庭の危機に気づかない男、不倫…ameblo.jp『男ともだち』 男ともだち (文春文庫) 734円 Amazon (あらすじ)※Amazonより29歳のイラストレーター神名葵は関係の冷めた…ameblo.jpあとは面白かったのはコレ↓犬も食わない(新潮文庫)Amazon(アマゾン)624円そんな千早さんがこのたび書いたのは、戦国時代末期の石見銀山で生きる少女ウメのお話。読み始めた時、まさか千早さんが時代ものを書くとは思っておらず目を疑ってしまった。しかし私の驚きなんてなんのその、いきなり冒頭から読ませるんだ、これが。物語はウメを含む家族全員が、村の保存米を盗んで夜逃げするところから始まる。この夜逃げのシーンがまずいきなり壮絶。この迫力あるシーンで、千早さんの高い日本語力を駆使した表現の厚さにあもちゃんの心は鷲掴み。逃げる途中、ウメの母親が「ウメ!先に、いき!日の沈む方へいきんさい!」と叫ぶのだが、あ、広島が舞台か。←○○んさい、が広島。と、まだどういう内容かわかっていない状態で読んでいるときはそう思ったのだが(それまでの村人らの会話で、岡山か広島かな、とは思っていた)、その後石見銀山の話だと知り、へ〜島根も山陽と同じような方言使うんだ〜と、どうでもいいことを思いました。同じ中国地方だけど、よくよく考えたら島根・鳥取の方言ってよく知らない。(ついでに山口も)かまいたちの山内が島根出身だけど、島根弁しゃべってくれないしさ。その点千鳥の大悟は、岡山の実家の近所のジジイらが話してたような話し方するから、毎度望郷の念に駆られます笑そんな中国地方の話はいいとして、ウメは生きるためにとにかく必死であった。そしてウメには強さも賢さも、そして天性の感覚があった。幼いながらにそれらを駆使して力強く生きていくウメの姿は、全くスキのない、文句のつけようのない描写であった。また、ウメが女性である以上、必ずぶつかる事象が「生理」であり、心は拒んでも体は日々、女性の体になっていく。丸みを帯びる、というやつ。女性になっていく自分とどう折り合いをつけて、生きていくのか。そういう描写もいちいちが美しく、たくましかった。あと細かいなあ、と思ったのが、生理用品。昔の人ってパンツ履いてないって言うじゃないですか。男の人はわからないかもしれないが、パンツ履いてなくて、生理の時どうしてたの!?といっつも思っていた私。安心してください、この作品ではちゃ〜んと生理用品についても書いてあるの!すごい!芸が細かい。しかも男手で育てられているから、ウメは生理のことなんかわからなくて、ぎょえ〜ーー!血が出てる〜!と慌てふためくのだ。そらそうだ。でもそういう、親がいない、とか親に大事にされなかった、とかそういう際の描写に「生理」を使うのってわりとあるあるなんですかね。「絞め殺しの樹」では、母親が自分が生きるのに必死で、娘に生理が来たことに気づけなかったシーンがありました。娘が生理で汚れた下着を押し入れに隠してたの。それを娘が亡くなった後に見つけて、母親は自分の至らなさに絶望。『絞め殺しの樹』絞め殺しの樹Amazon(アマゾン)1,980円(あらすじ)※Amazonよりあなたは、哀れでも可哀相でもないんですよ北海道根室で生まれ、新潟で育ったミサ…ameblo.jpちなみにこの千早作品に続く候補作でも、そういう生理の描写がある。娘の生理について気づけるかどうかってのは、家庭環境のバロメーターとも言えるかもしれない。生理用品の社会史 (角川ソフィア文庫)Amazon(アマゾン)715〜3,062円これ、なんかすごく興味ある!!それはともかく、シルバーラッシュに沸く戦国時代末期の石見銀山の話を描きながら、それと並行するように現代にも通じる女性の自立や多様性などの話題も上手に絡めて書いてあり、その絡めかたが実に上手く、時代小説でありながら石見銀山で働く女児、というそもそもの着眼点も面白く、その点も高く評価される予感。あとは全体的にすごく上手に書いてある。本当にそれが素晴らしい。直木賞、獲るんじゃないですかね。私はそう思いました!!!というか、この作品で千早さんに獲ってもらいたい!と強く願う。この作品のすごいところは、力強く生きる!とかそんな薄っぺらい話ではなく、1つ1つ、1文字1文字が常に重い。帯に「男たちは命を賭して穴を穿つ。山に、私の躰に」とあったが、千早さんは命を賭して1文字1文字を書き付けていったのだろう、そんな作者の荒い息遣いまでもが聞こえてきそうな作品なのだ。(書き付けたといっても、パソコンで1文字1文字入力していった、のかもしれんが・・・なんか味わいが落ちるのう・・とキーボードを叩きながら思う私〜笑)ウメの日常はいいことばかりではない女性として生きる辛さ、とかそういう軽いことから、本当に辛いことまで色々なことが起こる。時には残酷な事件も起こり、そして起こした。自分らしく生きるだなんてとうてい困難な時代に、ウメは自分の手で自分の人生の手綱を握る。周りの愛する人たちの命が次々にこぼれ落ちても、ウメは必死に生に食らいつく。ウメの旦那である隼人(命が消えつつある)が、ヨタヨタしながらも銀山で働く姿にわたしゃ思わず泣いてしまいました。その描写がとにかく圧巻。というか他のところもとにかく素晴らしい。強い!一言で言うと、それ。さらに追加するなら、太い!とにかく描写が力強くて、芯が太い。心理描写だけでなく、石見銀山から海に抜けていく情景描写もそれはそれは美しくて過酷。銀山の坑道の様子も手に取るようにわかるし、どこを切り取って読んでもスキがない。千早さんってこんな書き方もできる人だったんだ・・と、推し続けて良かった!と心から思った。あ、あもるの呪いがあるから、軽々しく推しとか口に出せないんですけど〜。出してるけど〜。ところでさっき挙げた帯なのだが。「男たちは命を賭して穴を穿つ。山に、私の躰に」どういうこっちゃ!?卑猥な意味にも受け取れるんですけど!!!!とか思うじゃないですか。・・そうなんです、そのままの意味でいいのだ。卑猥とかそういうことじゃなくて、本当にそういうことなの。帯に書いてあって心の準備はしてあっても、その10000倍はキッツイことが本文には書かれている。でも目が離せない。そして辛くない方の幸せな意味では、ウメは子供をたくさん出産しております。その子供たちも・・・それでもウメは長く生きていく。自分の手で自分の人生の手綱を握って、そういう人生の選択をしていく。もう一度言います!きっとこれが直木賞!・・・と今は、思っている笑次回、強敵作品&最下位作品(←決定済)が登場!というわけで次回に続く。