4.5畳の恋人。 -3ページ目

夏子に最後まで尽くさなきゃ感


睡眠……いや、難眠

釈然としないまま毎日を過ごす俺。

それもそのはず、突然別れを言い渡され、
同棲していた家をすぐに出て行けというのだから……。
ダメ押しで、夏子が2か月前から別の男と
デートを重ねていた事実……。


俺が悪い部分だってある。
突然タイで働きたいといったりしたし。
でも、俺はまっっっったく納得いかないし、
どんなにワガママな夏子でも、
いまだに夏子ことが大好きだ。

……とりあえず12月まで同棲ならぬ
同居できることになったけど……。
それはそれで辛いものがある。

特に夜は!!


夏子 「ねえ……」

「……ん?」

夏子 「ちょっと布団を占領しすぎなんだけど

「あ、ごめん……寝てて気が付かなかった」

夏子 「……もっとそっちいってよ」

「夏子と俺で、スペースは半分半分じゃん」

夏子 「は?」

「なんですか(´Д`)」


夏子 「いま、権力的に勇太郎はかなり下なのよ?

俺 「け、権力ってなんだよ(´Д`)



夏子 「もうちょっと謙虚になってよ」

「意味が……(´Д`)」


夏子家にいて申し訳ない感出してよ!!
……(´Д`)






夏子 「“夏子に最後まで尽くさなきゃ感”も足りないわよね
俺 「最後までってオイ(´Д`)





夏子 「夏子は勇太郎じゃない人と寝たいのに……」

「よくもまあ、急にそんな心変わりできたなあ」

夏子 「急じゃない!! 2か月前からずっと思ってたの!!」

「W杯に俺のおこずかいで行ったときから?」

夏子 「……まあ…………話を濁さないで!!」


俺 「いま夏子が濁したぞ(´Д`)


夏子 「とにかく、もっと謙虚になってよね!!」

「……」

夏子 「夏子の家で寝られるから雨風しのげるんだから」

「浮気して、突然出てけって変だろ」

夏子 「『皇帝ペンギン』観たでしょ?」

「はい? 観たけど……」


夏子 「ペンギンなんかすごく寒いのに外で生活してるのよ

俺 「じょ、情操教育ありがとう(´Д`)



……30分ほど経過。



夏子 「……狭い!!


俺 「4.5畳のうち、人がいられるのは2畳以下のスペース
夏子 「……だから?


俺 「そこにフトンしいて、ふたりで寝てるわけだし
夏子 「……だから?


俺 「さらに物だらけで収納できてないし
夏子 「……勇太郎が言いたいことわかった!!


「ナ、ナニ!?」


夏子 「勇太郎が部屋を整理してくれるのネ♪
俺 「い、いま夜中の3時だぞ!!


夏子 「整理すれば布団からハミ出てもスペースあるでしょ」

「は、ハミ出るって何が?」


夏子 「勇太郎が♪
俺 「(´Д`)



ふてね


えっ『4.5畳の恋人。』について

発酵以上、納豆未満


間取図

<俺が夏子に払う生活費>

家賃:夏子に25,000円渡す
食費:夏子に20,000円渡す
交友費:夏子に20,000円渡す
光熱費:夏子と折半
通信費:夏子に2,000円渡す


俺 「納得いかない部分、つついてもいいですか?

夏子 「納得する必要ないでしょ




「……(´Д`)」



夏子 「文句あるの?」

「ある」

夏子 「……何?」


俺 「交友費って、なんで俺が夏子に払うの?


夏子 「ないと夏子が誰とも遊べなくなるでしょ」

「でも、別れた俺からもらうわけ?」

夏子 「夏子はお金がないの!」

「じ、じゃあ、俺じゃなくて彼氏からもらったら?」

夏子 「……」

「普通は交友費なんて自分で稼ぐものだけど……」

夏子 「……」

「俺からもらうより先に、彼氏にお願いするのが順序じゃない?」

夏子 「……あのね、ハッキリ言っとくけど……」

「う、うん……」

夏子 「その人2か月前からデートしてるけど……」

「うん……」


夏子 「私に一度もアプローチしてこないのよ!
俺 「……(´Д`)


夏子 「こっちからモーションかけても反応ないの!
俺 「それって、付き合ってないんじゃない?





夏子 「前にも言ったでしょ! 付き合ってないの!」

「っていうか……脈ナシなんじゃない?」

夏子 「……」

「……こんなこと聞くのも嫌だけど……チューしたの?」

夏子 「……まだ」

俺 「……そ、そうか(ちょっとホッとしてる自分)


夏子 「そんな人にお金欲しいなんて言えないでしょ!」

「そうだけど……」

夏子 「デートだって折半なんだから。一度もおごられたことはないわ」


俺 「夏子がおごる事は?
夏子 「……たまにある





俺 「いま、どういう状態なの? その人とは

夏子 「……友だち以上、恋人未満かなあ


俺 「……友だち以上っていうか、普通の友だちじゃないの?
夏子 「夏子の気持ちでは友だち以上なの!




「……き、気持ちが大切だよね」

夏子 「そう。気持ちがあるの。好きなの」

「……夏子にとって、いま俺とはどういう状態なの?」



夏子 「……発酵以上、納豆未満ね
俺 「なんだよそれ(´Д`)



夏子 「発酵してるけど、中途半端。納豆になりきれてないってこと」

「は?」



夏子 「つまり、夏子の恋人になりきれてないの
俺 「意味がわかんねえ(´Д`)



夏子 「勇太郎からもらった交友費でデートすると思ってるんでしょ?」

「するんでしょ?」

夏子 「デート以外にも使うの! 仕事の打ち合わせとか」



俺 「つまりそれ、デートにも使うってことだよな(´Д`)



夏子 「お金は生きてくために必要でしょ!」

「俺は、お金のことより気持ちの問題を話しているの」


夏子 「勇太郎に、私の恋愛の邪魔してほしくないの
俺 「……(´Д`)



『4.5畳の恋人。』について

同棲からルームメイトへ


間取図

とても狭い4.5畳の部屋。
普通、旅から帰ってきたら「やっぱり家がいちばん!」って
思うのだろうけど……。

今回ばかりは、旅の疲れに追い討ちをかけて
さらに疲れがドッと出てきた感じです……。

……別れ話を突然出されて。



「でさ……なんで突然そんなこと言うの?」

夏子 「タイなんか行けないもの」

「それはわかった。でもそれは夢を口にしただけだよ」

夏子 「その夢に私は一緒についていけないの

「夢は夢であって、愛する人のためなら方向転換できるでしょう?」

夏子 「……」

「なんかほかに理由があるなら言ってよ。おかしすぎる」


夏子 「ほかに好きな人ができたの!
俺 「(´Д`)……いつから?



夏子 2か月くらい前から
そんなに前からかよ(´Д`)





夏子 「……」

「も、もう付き合ってるの?」

夏子 「……付き合ってはいない」



俺 「一緒にデートとかしてたの?
夏子 「……たまに




「……まじか(´Д`)」

夏子 「……」

「どんな人なの?」

夏子 「……映画の仕事している人」

「映画の仕事の手伝いをしてて知り合ったの?」

夏子 「……うん」

「浮気してたのか……(´Д`)」


夏子 「浮気なんかしてない!!
俺 「2か月前からデートしてたんでしょう? (´Д`)


夏子 「そうだけど……」

「それって浮気じゃん(´Д`)」


夏子 浮気じゃなくて本気なの!
稀にみる迷言が出たな(´Д`)



夏子 「夏子はいつも本気。いつもそうしてきたの
俺 「歴代の彼氏たち、かわいそうに(´Д`)






夏子 「自分でも困ってるの!いつも途中で好きな人ができちゃう」

「……前の恋愛も不倫だったもんね」

夏子 「不倫でも本気なの!」

「……世間はそう思わないぞ」


夏子 「夏子は夏子、夏子なの!

俺 「……そ、そうだな(´Д`)



夏子 「でさ……勇太郎」

「……なに?」


夏子 「いつこの部屋から出てく?
俺 「おいおい(´Д`)


夏子 「別れたら一緒にいるのおかしいでしょう?」

「おかしいけど、急に言われても困るって(´Д`)」

夏子 「じゃあいつ出てってくれる?」

「……いつって言われても(´Д`)」

夏子 「決めて! 鍵ももう渡さない!!」

「少なくとも12月のボーナスまで待ってよ」

夏子 「まだまだ先じゃないのよ!! 無理!!」

「無理言ってるのそっち! 引越しはお金かかるんだよ(´Д`)」


夏子 「来週なら大丈夫?
俺 「俺の話、聞いてないでしょ(´Д`)



夏子 「別れてもこの部屋に一緒にいるということは……」

「……」


夏子 「別れても一緒に寝るの!?
俺 「ま、まあ、この狭さじゃ仕方ないな


夏子 「彼をここに呼べないじゃない!
俺 「……俺が隠れられる場所なんてないしな



夏子 「彼との電話も聞かれるわけ?
俺 「いままではどうしてたのよ


夏子 「外で電話してた



「……じ、じゃあそうすれば?」

夏子 「なんで私が勇太郎に遠慮しなきゃなんないのよ!」

「……あのさ」

夏子 「……鍵はもう渡さないよ」

「ここはお互い、あいこなんじゃない?」

夏子 「なんで?」

「まだ納得はいかないよ。でも、争いたくないから言うね」

夏子 「うん。でもなんであいこなの?」





俺 「夏子は俺に内緒で浮気してた

夏子 「内緒にしてない!! 話すと傷つくと思ったの!
俺 「同情するなら鍵をクレ(´Д`)





夏子 「なんでわからないの? 黙っているのは優しさなの」

「……まあ、それはいいとして、浮気してたのは事実」

夏子 「……」

「そのうえ、突然出てっていうのは、不条理じゃない?」

夏子 「……どうしたいの?」

「だから、俺が出て行くのは12月まで待ってよ」

夏子 「……それまで一緒なの?」


俺 「そ、そうなるな。俺のこと嫌いなの?
夏子 「嫌いじゃない



「なら、いままで一緒にいれたし、12月まで待てるでしょ?」

夏子 「……ほかに好きな人ができたのに?」

「うん」

夏子 「……食費、出してくれる?

俺 「……だ、出す(´Д`)




夏子 「お小遣いも出してくれる?
俺 「ちょっとまて!!




夏子 「?」

俺 「いままで俺が夏子のお小遣い出してきたよな
※夏子の負担と勇太郎の負担についてはこちらのエピソード を参照。

夏子 「うん。でも返さないよ」

「返さなくてもいいけど(´Д`)」

夏子 「……なによ」

「その金で浮気してたわけだよな(´Д`)」

夏子 「……夏子のこといじめてるの?






俺 「もうあれだ! 重い話なし!
夏子 「これ、重い話なの?





「どうせ12月までいるなら、楽しくいこう!」

夏子 「今日から同棲じゃなくてルームメイトね♪
俺 「(´Д`)



冷静に話しているように思えますが……
頭のなかは混乱しまくっています。

……次回、4.5畳の共同生活ルール。



『4.5畳の恋人。』について

ついに夏子の○○宣言


間取図

8月上旬、ついに運命の大イベントがやってきた。

宮崎県へ一泊二日の会社の研修旅行。
でも、運命の大イベントとは研修旅行のことではない。
旅行のあとに待ち構えていた……夏子のあの……

宮崎の夜、鶏南蛮の美味しい店にて……。
同僚の天然系石川県人・長柄(♀)と俺。


長柄 「彼女とは最近どうなの? ヒャハハ!!


「まあ、普通かなあ」

長柄 「まだ4.5畳なんでしょ?」

「うん、まだ同棲してるよ」


長柄 「これからどうすんの? 結婚とか? ヒャハ!

「いや、結婚よりも広い部屋に引越しが先だね(笑)」

長柄 「また同棲?」

「うん。でも、自分の夢も追いかけたいんだよなあ」

長柄 「夢って何?」

「タイが好きだから、タイ関連の仕事したいなあ」


長柄 「タイ関連って漠然としすぎやん。カレー屋とか? ヒャハ♪

「うん、本当に夢。目標とかもまだないくらいの夢」

長柄 「でも、彼女さんはそれOKなん?」

「なんだかんだ言っても、彼女は応援してくれると思う」


長柄 「うわーーー!! でた!! ラブラブやん!! ヒャハハ♪


「長柄さんなら、彼氏が海外で働くって言ったらどうする?」


長柄 「どうぞ一人で行ってらっしゃいって言う


俺 「えええええええええ!!

長柄 「私の人生まで巻き込まないでって言う


「……まじ?」


長柄 「まじ。ヒャハハハハ! その場で終わりやね♪

俺 「……(´Д`)


長柄 「でも、勇太郎さんの彼女は理解してくれるんでしょう?」

「……じ、自信なくなってきた(´Д`)」

長柄 「まだその夢は言ってないの?」

「うん、ハッキリとは言ってない。タイが好きなのは言ってある」



長柄 「彼女信じて夢を語るしかないね♪ ヒャハハ!



「うん、……東京に帰ったら話してみようかな」



長柄 「私だったらマジ勘弁だけど、頑張って!
俺 「……(´Д`)



そして翌日の夜……
東京・麻布十番駅 改札口



夏子 「勇太郎~♪

「おー!! 待っててくれてありがとう」

夏子 「汗だくだね」

「あー、お土産買いまくったから荷物重くなって」

夏子 「何を買ってきたの?」

「宮崎の冷汁とか、牛肉とか!!」

夏子 「わーーーい♪ 帰ったら牛肉焼いて焼いて!」

「焼く焼く~。それより俺がいなくて寂しくなかった?」


夏子 「なんで? 寂しくないよ
俺 「……そ、そう(´Д`)



夏子 「いま、夏子が映画のお手伝いしているの知っているでしょう?」

「ああ、友だちが映画の仕事してて、その手伝いだっけ」

夏子 「うん。だから、設計のほかにもやることあるのよね」

「昨日も今日も、忙しかったわけだ」

夏子 「うん。あまり認知度がない映画だから、広報活動手伝ってるの」

「へぇー」

夏子 「お腹すいた~」


俺 「おれ、夏子に夢の話、言ったことあったっけ?」
夏子 「ないかも」


「俺さ、タイが好きだから、タイ関係の仕事したいんだよね」

夏子 「タイってどんな仕事できるかしら」

「タイの物を日本で売るとか」

夏子 「ああ、それならできそうね」

「タイの観光スポットを発掘してコーディネートするとか」

夏子 「旅行会社相手の仕事ね。楽しそう!」

「そう思う!? 楽しそうでしょう♪」


夏子 「思う思う!! あたたかい国だし、リゾート気分!!







俺 「夏子と一緒にタイでいろいろやってみたいなあ♪
夏子 「それは無理








俺 「え?



夏子 「夏子、建築士として日本でやりたいの」

「そ、そう。まあ、俺の単なる夢だから」




夏子 「もう、勇太郎と別れるしかないかも
俺 「はい?




夏子 「夏子は日本、勇太郎はタイ
俺 「いや、だからそれは単なる漠然とした夢で……




夏子 「夢は追い求めるものでしょう?
俺 「……そうだけど




夏子 「なら将来的に無理じゃない
俺 「夏子には話し合いとか、歩み寄りとかないわけ?





夏子 「もう決めたの。勇太郎とは無理
(´Д`)

こ、ここからが、
本当に書きたかった『4.5畳の恋人』本編です。

……つづく


『4.5畳の恋人。』について

4.5畳にふたりで住むということは?


間取図

新しい会社に入社して、数週間。
職場は前と同じく六本木。
少しずつ話しができる同僚も増えてきて……
同僚の高橋とはよく話す仲になった。

高橋 「麻布に住んでるんだって?」

「あ、うん」

高橋 「金持ちやな」

「えっ、いや、麻布でも安いとこは安いですよ」


高橋 「そんなこという人にかぎって金持ちなんや
俺 「……そ、そうかなあ(家賃5万円だし)


高橋 「よし今夜、勇太郎んちに行こか」

「待って待って!!」

高橋 「なんで? 見られちゃヤバイもんあるん?」

「いや、ないけど……(あるけど)」


高橋 「エロ本ばっか集めてるんやろ
俺 「ないない(4.5畳じゃエロ本を隠す場所はない)



高橋 「わかった!」

「何?」

高橋 「オンナやな」

「……まあ、同棲してるのは事実だ」

高橋 「ほらきた。当たった!」

「だから俺の家に人を呼べないのよ」


高橋 「気にしないでいいって

俺 「俺が気にする
(´Д`)


高橋 「徹夜して終電逃したら泊まってもいい?」

「いや、まずい。絶対に無理」

高橋 「なんでよ。自分をもっとオープンにしようよ」

「家、23区内でしょ? 歩いて帰ればいいじゃん」

高橋 「おれんち阿佐ヶ谷やで? 無理」

俺 「……俺の家、4.5畳なのよ
(´Д`)


高橋 「は? そこにふたりで住んでんの?」

「うん」

高橋 「俺だったらガマンできん生活や」

「……」

高橋 「でもあれやな、24時間イチャつくこともできるな」

俺 「最初はそういう夢もあったけど、もう消えたよ



高橋 「でもハッキリ言って……」

「ん?」


高橋 「拘留所の独房に
      ふたりで入っているようなもんやな


俺 「現実を見つめてしまうからやめて
(´Д`)


『4.5畳の恋人。』について

夏子ワールドカップから帰る


お土産

ドイツから帰ってきた夏子。
お土産は……。

「ドイツはどうだった?」

夏子 「良かったワァ~♪


「ソーセージとかビールは美味しかった?」


夏子 「美味しかったワァ~♪


「ホテルとかどうだったん?」

夏子 「経費削減するために、安い4人部屋の相部屋だったわ……」

「それは残念だったね……」

夏子 「は? なんで残念なの?

「いや、4人部屋だと落ち着かないしさ……」


夏子 「この部屋より広いから大満足だったわ♪
俺 「ああそう……(´Д`)



夏子 「勇太郎にお土産買ってきたよ!」

「な、何!? ドイツの食べ物? ビール?」


夏子 「はい、ピルケース!
俺 「ピ……ピルケース?



夏子 「うん」

「なぜドイツまで行ってピルケース……(´Д`)」

夏子 「勇太郎、ダイエットのサプリメント飲んでるでしょ?」

「あ、ああ。確かに飲んでるけど」


夏子 「それ入れりゃいーじゃん
俺 「……ありがとう(´Д`)



夏子 「なんでもっと喜べないの?」

「いや、どうしてドイツのお土産がピルケースなのかなって」


夏子 「ドイツで買ったら寿司でもドイツのお土産よ!
俺 「寿司はいろんな意味で無理だろ(´Д`)



夏子 「いやあ、お土産買いすぎちゃったわ」

「こうもお土産だらけじゃ、座る場所もないな……」

夏子 「お土産もらっといて何その発言」

「いや、でも、ピルケースだけって悲しいよ?」

夏子 「ピルケースふたつじゃ足りないってわけ?」

「数じゃないだろ(´Д`)」


夏子 「ソーセージとかビールとかドイツの民芸品とか欲しいわけ?
俺 「ほしいに決まってるじゃん!!



夏子 「だめ。これは別の人にあげるの」

「なんか俺、自分がかわいそうな気がしてきた」

夏子 「は? 私がドイツで楽しんできたとか思ってんの?」

「そ、そりゃ楽しんできたでしょう」

夏子 「貧乏旅行だから、ろくに食べ物だって食べなかったのよっ!!」

「え~!! お小遣いだってあげたじゃん!!」

夏子 「足りないわよ!!



「……それにさ、何か忘れてない?」

夏子 「忘れてない」

「いや、忘れてる!!」

夏子 「忘れてない!!」



俺 「俺、転職したの忘れてない?
夏子 「いつしたの?マジ?




俺 「こんな狭い部屋にいて俺のことわからなかったの?
夏子 「覚えてたわよっ! 思い出させてくれてありがとう♪

俺 「それ、忘れてたっていうの(´Д`)



夏子 「何? 帰国そうそうケンカしたいの?」

「いや、悲しいだけだよ。だって、転職って大きいことでしょ?」

夏子 「あのさ……」

「うん」

夏子 「W杯っていう大イベントの前じゃ転職なんて小さなことは薄れるってものよっ!」

俺 「……小さなことって(´Д`)

夏子 「それよりさ、夏子のデジカメで撮影した画像、パソコンに取り込んでくれない?」

俺 「……はい(´Д`)



なんか……。



なんか夏子の撮った写真、食い物ばっかだな……。


『4.5畳の恋人。』について
(写真は、撮影した夏子が特定できないように写真を加工しました)

夏子ワールドカップに行きたい 後編


間取図

どうしてもドイツW杯の日本戦を現地で観たいという夏子。
熱狂的なサッカーファンということもあって説得は聞かず……
ネットオークションでチケットを入手することになった。

夏子はネットオークションのIDを持っていないので……


……俺が!!



夏子 「これを落札して!! 終了まで1時間!!」


残り時間:
約1時間前
商品名:
日本TSTカテゴリー3●日本VS.クロアチア●送料無料
現在価格:
34,500円


「すでに3万円超えてるよ……」


夏子 「5万円まで出すわ

俺 「誰が!!!!!!!!

夏子 「私が

俺 「……そ、そうか(安心)



残り時間:約30分前
商品名:日本TSTカテゴリー3●日本VS.クロアチア●送料無料
現在価格:57,500円


「どんどん値上がりしてるぞ」

夏子 「みんな終了間際に入札する作戦ね」

「もう夏子の予算、超えてるよ」


夏子 「大丈夫!!

俺 「俺が“頼みの綱”とかナシだぞ?



残り時間:約10分前
商品名:日本TSTカテゴリー3●日本VS.クロアチア●送料無料
現在価格:67,000円



「やめよ……もし落札しても、ドイツ行くお金なくなるよ」

夏子 「……どうしようどうしよう」

「選択肢はひとつ。あきらめよう!!」


夏子 「あきらめる以外の手を考えて!!

俺 「その考えが間違ってることに気がついてよ



残り時間:約5分前
商品名:日本TSTカテゴリー3●日本VS.クロアチア●送料無料
現在価格:88,000円



「夏子夏子、モニター見るの中止。もう買えないから」

夏子 「勇太郎」

「なに?」

夏子 「まだいける!!



「いけるって、何がいけるの!?」

夏子 「私の予算はまだいける!!」

「い、いくらまで出せるの?」


夏子 「10万円までOK!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

俺 「根拠もなく予算が倍になったぞ



夏子 「10万円までどんどん入札して!!」

「どこにそんなお金あるのよ。誰が出すの?」

夏子 「取引しましょう!!」

「は?」



夏子 「夏子のお小遣い2万円でいいから、落札金額の半分出して!!
俺 「それ、詐欺




残り時間:終了
商品名:日本TSTカテゴリー3●日本VS.クロアチア●送料無料
現在価格:102,000円

落札者:yutaro


「……」

夏子 「やったあああああああ!!」

<俺の出費>
お小遣い:20,000円
落札代金半分:51,000円
合計:71,000円


「……(´Д`)」

夏子 夏子、楽しんでくるね♪

「……(´Д`)」

その後、他の試合のチケットを親切な人より譲り受けて、
数試合を観戦。ドイツのほか、近隣諸国もついでに旅行をした夏子。
そのレポートは後日ご報告いたします……。


『4.5畳の恋人。』について

夏子ワールドカップに行きたい 前編


間取図



夏子 「夏子、W杯を観にドイツ行くんだけどさ

俺 「うんうん……って、もう確定かよ!!



夏子 「夏子がサッカー好きなの知ってるでしょう?」

俺 「いや、まあ、知ってるけど」

夏子 「サッカー好きなのにW杯の開催国に行かないのおかしくない?」


俺 「おかしくない

夏子 「おかしいって



俺 「いや、テレビあるし……」

夏子 「勇太郎、焼肉好きでしょ?」

俺 「う、うん……好きだけど」


夏子 「テレビに映った焼肉、食える?

俺 「はい?

夏子 「テレビに映った焼肉は食えないってこと!!




俺 「あたりまえじゃん」


夏子 「テレビに映ったW杯じゃダメってことよ!!

俺 「いやいやいや、それは違うだろ


夏子 「なに? 夏子のやりたいことさせてくれないの?」

俺 「そんなことないけど、あまりに突然だから……」

夏子 「じゃあ協力して♪」

俺 「……なにすればいいの?」


夏子 「勇太郎ができることは2つあるわ

俺 「新しい切り口だな



夏子 「まず、ひとつめ。W杯のチケット手に入れて」

俺 「この時期からもう無理だろ~!!」

夏子 「四の五の言わずに最後まで聞いてよ!!


俺 「は、はい。……ふたつめは?」


夏子 「夏子に旅行のお手当てちょうだい

俺 「言い方かえれば旅行代金出せってことね



夏子 「うふふ~~♪

俺 「皮肉に反論すらしなくなったか



夏子 「いいでしょ? 今しかないの!!」

俺 「4年後があるじゃん!!」

夏子 「バカ!! ドイツW杯はいましかないの!!」

俺 「それにしても、準備しなさすぎだよ。いまさら時期的に遅い」


夏子 「まずチケットだけど、どうやって手に入れようか

俺 「俺の話し聞いてないな



夏子 「ネットオークションが良くない?」

俺 「よくわかんないけど、それ違反じゃないの?」

夏子 「違反じゃないでしょ。それに……」

俺 「それに?」

夏子 「違反だのなんだの言ってる場合じゃないし」

俺 「いやいやいやいや、違反はだめだって」

夏子 「だから違反かどうかわかんないってば」

俺 「……旅行代理店は?」

夏子 「もうツアーとか無理みたい」

俺 「……」

夏子 「落札しなさいよ!!」

俺 「強制的だな……」

夏子 「それと、お小遣いは5万円でいいわ」

俺 「ええええええ~!!」

夏子 「5万円なんて1週間の残業代くらいでしょ?」

俺 「俺の労働力で夏子だけがドイツに行くわけだ

夏子 「男の中の男よね




俺 「……(´Д`)

……後半へ続く。



『4.5畳の恋人。』について


狭いとウイルス共同体


間取図


そういえば2006年12月現在、ノロウイルスが流行っていますね。
幸い私は感染していないのですが、ちょうど今年の1月、
夏子がノロウイルス(?)に感染しました……。


「ただいま~」

夏子 「……おかえり」

「外すげー寒いよ!!」

夏子 「……うん」

「どうした? 元気ないね」


夏子 「……お腹痛い
俺 「ええっ!! 何か変なもの食べた!?



夏子 「……ううん、スーパーで買ったおにぎり食べただけ」

「熱は?」

夏子 「あるっぽい」

「……風邪かな」

夏子 「下痢もすごい」

「……風邪だよそれ」

夏子 「……嘔吐もすごいの」

「……それさ」


夏子 「……ノロウイルスかも
俺 「!!!!!!!!!!!!!!!


夏子 「……うわぁ~どんどん気持ち悪くなってく」

「……病院に行こう。点滴打ってもらおう」

夏子 「でも、もう夜中だし……」

「救急病院あるよ。ここらへんだと……」

夏子 「広尾の日赤病院」

「じゃあ、そこ行こう!!」


夏子 「でも……めんどい
俺 「いや、めんどいとかじゃなくてさ……



夏子 「行くのかったるいじゃない?」

「ハァ? 病気だよ!? ノロウイルスだったらどうすんの!!」

夏子 「ノロじゃないかもしれないじゃん」

「自分でもノロかもしれないって言ってたじゃん!!」



夏子 「よく考えるとノロじゃないかも
俺 「どう考えた結果だよ(´Д`)




夏子 「病院行くの面倒なの!!!!



「ノロだったら悪化するよ?」

夏子 「……」


俺 「こんな狭い部屋なんだから、俺にも感染るかもしれない


夏子 「ハァァァァァァァァ!?」

「!?」



夏子 「自分がノロになりたくないから私を病院送りにしたいのね!?
病院送りの使い方間違ってる



夏子 「サイテーーーーーーーーーーー!!」

「誤解もはなはだしいよ……(´Д`)」



夏子 「夏子だけノロになれっての!?
俺 「おかしな話になってきたぞ(´Д`)




夏子 「そういうときは、家で看病でしょ?」

「……モチロン看病はするよ」

夏子 「なら看病してよ!!」

「でも病院で診察受けて薬もらったほうがいいって」



夏子 「夏子の側でご飯作ったりお茶入れたりしてよ
俺 「いつもの俺だよソレ(´Д`)




夏子 「夏子は病人をいたわってほしいだけなの」

「いたわってるから病院に行こうって言ってるの」

夏子 「……一緒に行ってくれる?」

「行くよ」


夏子 「……しかたないなあ
俺 「自分のことでしょ(´Д`)






……病院。





医者 「ウイルス性の腸炎ですね」

夏子 「へぇー」


やっぱりノロだ……(´Д`)







……翌々日






俺 「ヤバイ……また腹が
夏子 「夏子に伝染さないでね!!



「……っていうか夏子さん、突然実家に帰るんでしょ?」

夏子 「うん、ごめんねー」

俺 「あ、あきらかに逃げてない?

夏子 「最悪!! なに言ってんの!? お母さんに会うのよ!!」

「あ、そう……(´Д`)」


ということで、皆さんも
風邪とノロウイルスには気をつけてくださいね。



ブロガーインタビュー

『4.5畳の恋人。』について

4.5畳のゲーム事情


間取図


夏子と「最近のゲームってすごいよね~」という話になって、
年末にゆっくり遊ぼうということになり、俺の同僚から前年
プレイステーション2の『ドラゴンクエスト8』を借りました。


俺 「モンスターが強すぎる……。急いで先に進みすぎたなあ」

夏子 「……ちょっと。どこまで進んだのよ」

俺 「えーと……」

夏子 「ああああ!! やっぱり言わないで!!」

俺 「あ、そう」

夏子 「っていうかさ……」

俺 「なに?」



夏子 「夏子より先に進まないでよ
俺 「は?」


夏子 「夏子よりも先にストーリー進めないで




俺 「あ、あのさ、言ってる事おかしくない?」

夏子 「おかしくない」

俺 「……(´Д`)」



夏子 「こんな狭い部屋でゲームやられたら、ストーリー丸見えじゃない



俺 「で、でもここでやるしかないし……」


夏子 「まだ読んでない人の前で、推理小説を朗読しているようなもんよ
俺 「……(´Д`)


夏子 「それに、音が気になるからイヤフォンつけて」

俺 「……はい(´Д`)」



夏子 「夏子はまだ“ライドンの塔”なの。それより先に進まないで
俺 「……オレ、そこまで進んでませんが




夏子 「……」

俺 「……(´Д`)」


夏子 「タラタラ寄り道してるんでしょう?


俺 「いや、結構急いで進んだんだけど……」

夏子 「モンスター出ても逃げればいいのよ」

俺 「う、うん」

夏子「薬草ちゃんと持ってるの? 最低8個は持ちなさい」

俺 「オレのペースで遊ばせてくれ」




夏子 「馬になったお姫様の泉に行った?
俺 「……そのネタバレきっついわー
(´Д`)



夏子 「ラーミアのイベントになった?
俺 「……もう何もしゃべらないで(´Д`)





夏子 「狭い部屋なんだからネタバレ仕方ないでしょう!?」

俺 「……もうさ」

夏子 「ん?」

俺 「夏子がクリアして、あとでストーリー教えて(´Д`)



『4.5畳の恋人。』について