夏子ワールドカップに行きたい 前編
![間取図](https://stat.ameba.jp/user_images/98/e8/10010834082_s.jpg?caw=800)
夏子 「夏子、W杯を観にドイツ行くんだけどさ」
俺 「うんうん……って、もう確定かよ!!」
夏子 「夏子がサッカー好きなの知ってるでしょう?」
俺 「いや、まあ、知ってるけど」
夏子 「サッカー好きなのにW杯の開催国に行かないのおかしくない?」
俺 「おかしくない」
夏子 「おかしいって」
俺 「いや、テレビあるし……」
夏子 「勇太郎、焼肉好きでしょ?」
俺 「う、うん……好きだけど」
夏子 「テレビに映った焼肉、食える?」
俺 「はい?」
夏子 「テレビに映った焼肉は食えないってこと!!」
俺 「あたりまえじゃん」
夏子 「テレビに映ったW杯じゃダメってことよ!!」
俺 「いやいやいや、それは違うだろ」
夏子 「なに? 夏子のやりたいことさせてくれないの?」
俺 「そんなことないけど、あまりに突然だから……」
夏子 「じゃあ協力して♪」
俺 「……なにすればいいの?」
夏子 「勇太郎ができることは2つあるわ」
俺 「新しい切り口だな」
夏子 「まず、ひとつめ。W杯のチケット手に入れて」
俺 「この時期からもう無理だろ~!!」
夏子 「四の五の言わずに最後まで聞いてよ!!」
俺 「は、はい。……ふたつめは?」
夏子 「夏子に旅行のお手当てちょうだい」
俺 「言い方かえれば“旅行代金出せ”ってことね」
夏子 「うふふ~~♪」
俺 「皮肉に反論すらしなくなったか」
夏子 「いいでしょ? 今しかないの!!」
俺 「4年後があるじゃん!!」
夏子 「バカ!! ドイツW杯はいましかないの!!」
俺 「それにしても、準備しなさすぎだよ。いまさら時期的に遅い」
夏子 「まずチケットだけど、どうやって手に入れようか」
俺 「俺の話し聞いてないな」
夏子 「ネットオークションが良くない?」
俺 「よくわかんないけど、それ違反じゃないの?」
夏子 「違反じゃないでしょ。それに……」
俺 「それに?」
夏子 「違反だのなんだの言ってる場合じゃないし」
俺 「いやいやいやいや、違反はだめだって」
夏子 「だから違反かどうかわかんないってば」
俺 「……旅行代理店は?」
夏子 「もうツアーとか無理みたい」
俺 「……」
夏子 「落札しなさいよ!!」
俺 「強制的だな……」
夏子 「それと、お小遣いは5万円でいいわ」
俺 「ええええええ~!!」
夏子 「5万円なんて1週間の残業代くらいでしょ?」
俺 「俺の労働力で夏子だけがドイツに行くわけだ」
夏子 「男の中の男よね」
俺 「……(´Д`)」
……後半へ続く。
●『4.5畳の恋人。』について