夏子ワールドカップに行きたい 前編 | 4.5畳の恋人。

夏子ワールドカップに行きたい 前編


間取図



夏子 「夏子、W杯を観にドイツ行くんだけどさ

俺 「うんうん……って、もう確定かよ!!



夏子 「夏子がサッカー好きなの知ってるでしょう?」

俺 「いや、まあ、知ってるけど」

夏子 「サッカー好きなのにW杯の開催国に行かないのおかしくない?」


俺 「おかしくない

夏子 「おかしいって



俺 「いや、テレビあるし……」

夏子 「勇太郎、焼肉好きでしょ?」

俺 「う、うん……好きだけど」


夏子 「テレビに映った焼肉、食える?

俺 「はい?

夏子 「テレビに映った焼肉は食えないってこと!!




俺 「あたりまえじゃん」


夏子 「テレビに映ったW杯じゃダメってことよ!!

俺 「いやいやいや、それは違うだろ


夏子 「なに? 夏子のやりたいことさせてくれないの?」

俺 「そんなことないけど、あまりに突然だから……」

夏子 「じゃあ協力して♪」

俺 「……なにすればいいの?」


夏子 「勇太郎ができることは2つあるわ

俺 「新しい切り口だな



夏子 「まず、ひとつめ。W杯のチケット手に入れて」

俺 「この時期からもう無理だろ~!!」

夏子 「四の五の言わずに最後まで聞いてよ!!


俺 「は、はい。……ふたつめは?」


夏子 「夏子に旅行のお手当てちょうだい

俺 「言い方かえれば旅行代金出せってことね



夏子 「うふふ~~♪

俺 「皮肉に反論すらしなくなったか



夏子 「いいでしょ? 今しかないの!!」

俺 「4年後があるじゃん!!」

夏子 「バカ!! ドイツW杯はいましかないの!!」

俺 「それにしても、準備しなさすぎだよ。いまさら時期的に遅い」


夏子 「まずチケットだけど、どうやって手に入れようか

俺 「俺の話し聞いてないな



夏子 「ネットオークションが良くない?」

俺 「よくわかんないけど、それ違反じゃないの?」

夏子 「違反じゃないでしょ。それに……」

俺 「それに?」

夏子 「違反だのなんだの言ってる場合じゃないし」

俺 「いやいやいやいや、違反はだめだって」

夏子 「だから違反かどうかわかんないってば」

俺 「……旅行代理店は?」

夏子 「もうツアーとか無理みたい」

俺 「……」

夏子 「落札しなさいよ!!」

俺 「強制的だな……」

夏子 「それと、お小遣いは5万円でいいわ」

俺 「ええええええ~!!」

夏子 「5万円なんて1週間の残業代くらいでしょ?」

俺 「俺の労働力で夏子だけがドイツに行くわけだ

夏子 「男の中の男よね




俺 「……(´Д`)

……後半へ続く。



『4.5畳の恋人。』について