ついに夏子の○○宣言 | 4.5畳の恋人。

ついに夏子の○○宣言


間取図

8月上旬、ついに運命の大イベントがやってきた。

宮崎県へ一泊二日の会社の研修旅行。
でも、運命の大イベントとは研修旅行のことではない。
旅行のあとに待ち構えていた……夏子のあの……

宮崎の夜、鶏南蛮の美味しい店にて……。
同僚の天然系石川県人・長柄(♀)と俺。


長柄 「彼女とは最近どうなの? ヒャハハ!!


「まあ、普通かなあ」

長柄 「まだ4.5畳なんでしょ?」

「うん、まだ同棲してるよ」


長柄 「これからどうすんの? 結婚とか? ヒャハ!

「いや、結婚よりも広い部屋に引越しが先だね(笑)」

長柄 「また同棲?」

「うん。でも、自分の夢も追いかけたいんだよなあ」

長柄 「夢って何?」

「タイが好きだから、タイ関連の仕事したいなあ」


長柄 「タイ関連って漠然としすぎやん。カレー屋とか? ヒャハ♪

「うん、本当に夢。目標とかもまだないくらいの夢」

長柄 「でも、彼女さんはそれOKなん?」

「なんだかんだ言っても、彼女は応援してくれると思う」


長柄 「うわーーー!! でた!! ラブラブやん!! ヒャハハ♪


「長柄さんなら、彼氏が海外で働くって言ったらどうする?」


長柄 「どうぞ一人で行ってらっしゃいって言う


俺 「えええええええええ!!

長柄 「私の人生まで巻き込まないでって言う


「……まじ?」


長柄 「まじ。ヒャハハハハ! その場で終わりやね♪

俺 「……(´Д`)


長柄 「でも、勇太郎さんの彼女は理解してくれるんでしょう?」

「……じ、自信なくなってきた(´Д`)」

長柄 「まだその夢は言ってないの?」

「うん、ハッキリとは言ってない。タイが好きなのは言ってある」



長柄 「彼女信じて夢を語るしかないね♪ ヒャハハ!



「うん、……東京に帰ったら話してみようかな」



長柄 「私だったらマジ勘弁だけど、頑張って!
俺 「……(´Д`)



そして翌日の夜……
東京・麻布十番駅 改札口



夏子 「勇太郎~♪

「おー!! 待っててくれてありがとう」

夏子 「汗だくだね」

「あー、お土産買いまくったから荷物重くなって」

夏子 「何を買ってきたの?」

「宮崎の冷汁とか、牛肉とか!!」

夏子 「わーーーい♪ 帰ったら牛肉焼いて焼いて!」

「焼く焼く~。それより俺がいなくて寂しくなかった?」


夏子 「なんで? 寂しくないよ
俺 「……そ、そう(´Д`)



夏子 「いま、夏子が映画のお手伝いしているの知っているでしょう?」

「ああ、友だちが映画の仕事してて、その手伝いだっけ」

夏子 「うん。だから、設計のほかにもやることあるのよね」

「昨日も今日も、忙しかったわけだ」

夏子 「うん。あまり認知度がない映画だから、広報活動手伝ってるの」

「へぇー」

夏子 「お腹すいた~」


俺 「おれ、夏子に夢の話、言ったことあったっけ?」
夏子 「ないかも」


「俺さ、タイが好きだから、タイ関係の仕事したいんだよね」

夏子 「タイってどんな仕事できるかしら」

「タイの物を日本で売るとか」

夏子 「ああ、それならできそうね」

「タイの観光スポットを発掘してコーディネートするとか」

夏子 「旅行会社相手の仕事ね。楽しそう!」

「そう思う!? 楽しそうでしょう♪」


夏子 「思う思う!! あたたかい国だし、リゾート気分!!







俺 「夏子と一緒にタイでいろいろやってみたいなあ♪
夏子 「それは無理








俺 「え?



夏子 「夏子、建築士として日本でやりたいの」

「そ、そう。まあ、俺の単なる夢だから」




夏子 「もう、勇太郎と別れるしかないかも
俺 「はい?




夏子 「夏子は日本、勇太郎はタイ
俺 「いや、だからそれは単なる漠然とした夢で……




夏子 「夢は追い求めるものでしょう?
俺 「……そうだけど




夏子 「なら将来的に無理じゃない
俺 「夏子には話し合いとか、歩み寄りとかないわけ?





夏子 「もう決めたの。勇太郎とは無理
(´Д`)

こ、ここからが、
本当に書きたかった『4.5畳の恋人』本編です。

……つづく


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