ついに夏子の○○宣言
![間取図](https://stat.ameba.jp/user_images/98/e8/10010834082_s.jpg?caw=800)
8月上旬、ついに運命の大イベントがやってきた。
宮崎県へ一泊二日の会社の研修旅行。
でも、運命の大イベントとは研修旅行のことではない。
旅行のあとに待ち構えていた……夏子のあの……。
宮崎の夜、鶏南蛮の美味しい店にて……。
同僚の天然系石川県人・長柄(♀)と俺。
長柄 「彼女とは最近どうなの? ヒャハハ!!」
俺 「まあ、普通かなあ」
長柄 「まだ4.5畳なんでしょ?」
俺 「うん、まだ同棲してるよ」
長柄 「これからどうすんの? 結婚とか? ヒャハ!」
俺 「いや、結婚よりも広い部屋に引越しが先だね(笑)」
長柄 「また同棲?」
俺 「うん。でも、自分の夢も追いかけたいんだよなあ」
長柄 「夢って何?」
俺 「タイが好きだから、タイ関連の仕事したいなあ」
長柄 「タイ関連って漠然としすぎやん。カレー屋とか? ヒャハ♪」
俺 「うん、本当に夢。目標とかもまだないくらいの夢」
長柄 「でも、彼女さんはそれOKなん?」
俺 「なんだかんだ言っても、彼女は応援してくれると思う」
長柄 「うわーーー!! でた!! ラブラブやん!! ヒャハハ♪」
俺 「長柄さんなら、彼氏が海外で働くって言ったらどうする?」
長柄 「どうぞ一人で行ってらっしゃいって言う」
俺 「えええええええええ!!」
長柄 「私の人生まで巻き込まないでって言う」
俺 「……まじ?」
長柄 「まじ。ヒャハハハハ! その場で終わりやね♪」
俺 「……(´Д`)」
長柄 「でも、勇太郎さんの彼女は理解してくれるんでしょう?」
俺 「……じ、自信なくなってきた(´Д`)」
長柄 「まだその夢は言ってないの?」
俺 「うん、ハッキリとは言ってない。タイが好きなのは言ってある」
長柄 「彼女信じて夢を語るしかないね♪ ヒャハハ!」
俺 「うん、……東京に帰ったら話してみようかな」
長柄 「私だったらマジ勘弁だけど、頑張って!」
俺 「……(´Д`)」
そして翌日の夜……
東京・麻布十番駅 改札口
夏子 「勇太郎~♪」
俺 「おー!! 待っててくれてありがとう」
夏子 「汗だくだね」
俺 「あー、お土産買いまくったから荷物重くなって」
夏子 「何を買ってきたの?」
俺 「宮崎の冷汁とか、牛肉とか!!」
夏子 「わーーーい♪ 帰ったら牛肉焼いて焼いて!」
俺 「焼く焼く~。それより俺がいなくて寂しくなかった?」
夏子 「なんで? 寂しくないよ」
俺 「……そ、そう(´Д`)」
夏子 「いま、夏子が映画のお手伝いしているの知っているでしょう?」
俺 「ああ、友だちが映画の仕事してて、その手伝いだっけ」
夏子 「うん。だから、設計のほかにもやることあるのよね」
俺 「昨日も今日も、忙しかったわけだ」
夏子 「うん。あまり認知度がない映画だから、広報活動手伝ってるの」
俺 「へぇー」
夏子 「お腹すいた~」
俺 「おれ、夏子に夢の話、言ったことあったっけ?」
夏子 「ないかも」
俺 「俺さ、タイが好きだから、タイ関係の仕事したいんだよね」
夏子 「タイってどんな仕事できるかしら」
俺 「タイの物を日本で売るとか」
夏子 「ああ、それならできそうね」
俺 「タイの観光スポットを発掘してコーディネートするとか」
夏子 「旅行会社相手の仕事ね。楽しそう!」
俺 「そう思う!? 楽しそうでしょう♪」
夏子 「思う思う!! あたたかい国だし、リゾート気分!!」
俺 「夏子と一緒にタイでいろいろやってみたいなあ♪」
夏子 「それは無理」
俺 「え?」
夏子 「夏子、建築士として日本でやりたいの」
俺 「そ、そう。まあ、俺の単なる夢だから」
夏子 「もう、勇太郎と別れるしかないかも」
俺 「はい?」
夏子 「夏子は日本、勇太郎はタイ」
俺 「いや、だからそれは単なる漠然とした夢で……」
夏子 「夢は追い求めるものでしょう?」
俺 「……そうだけど」
夏子 「なら将来的に無理じゃない」
俺 「夏子には話し合いとか、歩み寄りとかないわけ?」
夏子 「もう決めたの。勇太郎とは無理」
(´Д`)
こ、ここからが、
本当に書きたかった『4.5畳の恋人』本編です。
……つづく
●『4.5畳の恋人。』について