今井正 「仇討」 (1964) | It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

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スキー大好き、ゴルフ、読書、映画、演劇、音楽、絵画、旅行と他の遊びも大好き、元々仕事程々だったが、もっとスキーが真剣にやりたくて、会社辞めちまった爺の大冒険?





【あらすじ:映画.comよりの引用(→)】

徳川幕府の治世下、播州脇坂藩竜野城で恒例の武器倉庫点検が行われていた。丁度通りかかった奏者番 奥野孫太夫(神山繁)は槍の穂先の曇りを見つけ、皮肉な言葉でなじった。これを聞きとがめた江崎新八(萬屋(中村)錦之助)は、孫太夫と口論した。無役軽輩から侮辱された孫太夫は、新八に果し状をつきつけたが、結果は孫太夫が斬殺された。

私闘と厳禁の掟を破った2人を、新八の兄馬廻り役 江崎重兵衛(田村高廣)と孫太夫の伯父 丹羽伝兵衛(加藤嘉)は協議の末、乱心しての私闘届け出、新八は城下遠隔の地にある感応寺に預けられた。

憤懣やるかたない新八であったが家名尊重のためと言いきかされ、いつか感応寺住職 光悦(進藤英太郎)との静かな生活は、新八の気持を変えていった。

一方、奥野家では兄を殺されて、家督は継いだものの、弟 主馬(丹波哲郎)の心境は怒りに震えていた。神蔭一刀流免許皆伝の腕をもつ主馬は、兄の仇をとろうと時を待ち、感応寺へ向った。心ならずも相対する新八に、主馬は運悪く刀を取られ斬られた。

この噂は藩内に広まり、公儀の沙汰として仇討を認めた藩は、奥野家の末弟 辰之助(石立鉄男)に新八を斬らせねばならなかった。家を守るために弟を死に追いやらねばならぬ重兵衛は新八に藩命を告げた。

武家の理不尽な掟に心では反抗しながらも、兄の苦衷を察した新八だったが、光悦は他藩へ逃亡して人間として生きる様に促した。しかし、新八は太刀の刃引きをして、幼友達の辰之助に斬られる覚悟を決めた。

【以下、結末までの記述あり。 映画未見の方は、次の感想欄まで飛んで下さい!】

城下、桔梗ケ原に竹矢来が組まれ、新八と辰之助は当日を迎えた。国家老 片貝頼母(三津田健)の合図で仇討は開始された。一瞬、辰之助を間に6人の助太刀が飛び出し、死を覚悟していた新八の心は変わった。

死にもの狂いで6人に立ち向かった新八は、血みどろで斬りかかっていった。しかし、素手で立ちはだかった重兵衛の姿に戸惑うところを、一藩士の槍が新八の胸を刺した。

夕闇の立ちこめる竹矢来の中に、新八の死骸に重って重兵衛の切腹したむくろが、重っていた・・・




【感想】

実は個人的には、萬屋(中村)錦之助という役者があまり好きではない。男としては妙に甲高い声で、歌舞伎出身者らしい仰々しい台詞回しと、目を向いて見栄を切る様な所作等が、どうも苦手である。

しかし、この映画ではそれらが良い方向に働いている。最後の集団殺陣シーンでも、ギラギラしてカッと開かれて、どこか狂気を帯びている萬屋錦之助の目が、映画に異様な悲壮感と、迫力を添えている。

ストーリーは、切腹」(1962)や上意討ち 拝領妻始末」(1967)同様、橋本忍による武士道残酷物語であるが、萬屋錦之助が主演すると、仲代達矢、三船敏郎主演の上記の映画とは一味違った雰囲気になる。表現が繰返しになるが、狂気にも似た凄みが加わるのだ。だから、映画を観ている最中、観客側も殆ど気を抜くことが出来ない。

そんな中、本作本で、唯一ほっとするのは、進藤英太郎演じる感応寺住職の光悦が新八(萬屋錦之助)を相談に乗ったり、忠告したり、諭したりするシーンである。この和尚の人徳が武士の悲惨で理不尽な掟に対するアンチテーゼとなっている様だ。




【スタッフ、キャスト等】

監督:今井正
脚本:橋本忍
音楽:黛敏郎
撮影:中尾駿一郎
美術:鈴木孝俊
キャスト:
江崎新八(萬屋(中村)錦之助)
江崎重兵衛(田村高廣)
光悦(進藤英太郎)
奥野主馬(丹波哲郎)
丹羽伝兵衛(加藤嘉)
奥野辰之助(石立鉄男)
りつ(三田佳子)
奥野孫太夫(神山繁)
片貝頼母(三津田健)

上映時間:1時間43分
日本公開:1964年11月1日
キネマ旬報ベストテン:日本映画第9位
鑑賞日:2018年9月8日
場所:新文芸坐(池袋)



【橋本忍脚本映画リスト】

・題名の前の氏名は監督
・題名の後の氏名は、共同脚本執筆者  氏名記載無き場合は、橋本忍単独脚本

(01)黒澤明「羅生門」(1950)黒澤明
(03)黒澤明「生きる」(1952)黒澤明、小國英雄
(10)黒澤明「七人の侍」(1954)黒澤明、小國英雄
(19)黒澤明「蜘蛛巣城」(1957)黒澤明、小國英雄、菊島隆三
(29)黒澤明「隠し砦の三悪人」(1958)黒澤明、小國英雄、菊島隆三
(35)中村登「いろはにほへと」(1960)国弘威雄
(40)野村芳太郎「ゼロの焦点」(1961)山田洋次
(42)小林正樹「切腹」(1962)
(45)今井正「仇討」(1964)
(47)岡本喜八「」(1965)
(49)山田洋次「霧の旗」(1965)
(53)小林正樹「上意討ち 拝領妻始末」(1967)
(55)森谷司郎「」(1968)
(60)黒澤明「どですかでん」(1970)黒澤明、小國英雄
(65)森谷司郎「日本沈没」(1973)
(66)野村芳太郎「砂の器」(1974)山田洋次
(69)森谷司郎「八甲田山」(1977)






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