【あらすじ:映画.comよりの引用(→☆)】
禎子(久我美子)は新婚7日目に、社用で金沢へ旅立つ夫 鵜原憲一(南原宏治)を上野駅まで送っていった。しかし、それが、禎子が夫の姿を見た最後になってしまった。
憲一はある広告社の金沢出張所長だったが、結婚を機会に東京本社に栄転となり、今度は後任の本多(穂積隆信)と事務引継ぎをするための金沢行きだった。予定の12日を過ぎても憲一は帰ってこなかった。11日の夜金沢を発ったということなのに。
会社で憲一の同僚を事情調査に金沢へ派遣することになったので、禎子も同行することにした。しかし、憲一が金沢在任中に暮らしていたはずの下宿の所在さえ分らなかった。
手がかりが掴めないので、禎子は一旦帰京した。後のことは義兄の宗太郎(西村晃)が金沢へ来たので任せることにした。
禎子にはすべてが初耳だった。
映画ラストの能登金剛ヤセの断崖は、その後TVの火曜サスペンス劇場等で多用されることになった主人公が真犯人を追い詰めるシーンの原型になったのだそう。それだけ、後世のミステリー/サスペンス ドラマに与えた影響も大きい。
戦後の闇歴史を引きずっている人物に絡んで事件が起きるのは、いかにも松本清張の世界であるが、それを視覚化・映画化する装置としての脚本の力を感じる。描かれている世界は暗く悲しいが、観客にとって、松本清張原作、橋本忍脚本というのは、鉄板の組合せで、観客を飽きさせない。
なお、本作品で高千穂ひづるという女優を初めて知った。1964年に結婚して事実上引退してしまったので、出演作を殆ど観る機会がなかったためだが、この映画は高千穂ひづる演じる室田佐知子の物語である。主人公の久我美子を完全に食ってしまっているし、有馬稲子に至っては、ずいぶん損な役回りである。
【スタッフ、キャスト等】
監督:野村芳太郎
脚本:橋本忍、山田洋次
原作:松本清張の同名小説(1959)
音楽:芥川也寸志
撮影:川又昴
美術:宇野耕司
キャスト:
鵜原禎子(久我美子)
室田佐知子(高千穂ひづる)
田沼久子(有馬稲子)
鵜原憲一(南原宏治)
鵜原宗太郎(西村晃)
室田儀作(加藤嘉)
本多(穂積隆信)
上映時間:1時間35分
日本公開:1961年3月19日
鑑賞日:2018年9月6日
場所:新文芸坐(池袋)
【橋本忍脚本映画リスト】
・題名の後の氏名は、共同脚本執筆者 氏名記載無き場合は、橋本忍単独脚本
(01)黒澤明「羅生門」(1950)黒澤明
(03)黒澤明「生きる」(1952)黒澤明、小國英雄
(10)黒澤明「七人の侍」(1954)黒澤明、小國英雄
(19)黒澤明「蜘蛛巣城」(1957)黒澤明、小國英雄、菊島隆三
(29)黒澤明「隠し砦の三悪人」(1958)黒澤明、小國英雄、菊島隆三
(34)松林宗恵「ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐」(1960)国弘威雄
(35)中村登「いろはにほへと」(1960)国弘威雄
(40)野村芳太郎「ゼロの焦点」(1961)山田洋次
(47)岡本喜八「侍」(1965)
(49)山田洋次「霧の旗」(1965)
(53)小林正樹「上意討ち 拝領妻始末」(1967)
(55)森谷司郎「首」(1968)
(60)黒澤明「どですかでん」(1970)黒澤明、小國英雄
(65)森谷司郎「日本沈没」(1973)
(66)野村芳太郎「砂の器」(1974)山田洋次
(69)森谷司郎「八甲田山」(1977)
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