野村芳太郎 「ゼロの焦点」 (1961) | It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

スキー大好き、ゴルフ、読書、映画、演劇、音楽、絵画、旅行と他の遊びも大好き、元々仕事程々だったが、もっとスキーが真剣にやりたくて、会社辞めちまった爺の大冒険?







【あらすじ:映画.comよりの引用(→)】

禎子(久我美子)は新婚7日目に、社用で金沢へ旅立つ夫 鵜原憲一(南原宏治)を上野駅まで送っていった。しかし、それが、禎子が夫の姿を見た最後になってしまった。

憲一はある広告社の金沢出張所長だったが、結婚を機会に東京本社に栄転となり、今度は後任の本多(穂積隆信)と事務引継ぎをするための金沢行きだった。予定の12日を過ぎても憲一は帰ってこなかった。11日の夜金沢を発ったということなのに。

会社で憲一の同僚を事情調査に金沢へ派遣することになったので、禎子も同行することにした。しかし、憲一が金沢在任中に暮らしていたはずの下宿の所在さえ分らなかった。

憲一が親しかったという室田耐火煉瓦の社長 室田儀作(加藤嘉)を訪ねた。室田も、夫人の佐知子(高千穂ひづる)も禎子を慰めてくれるだけで憲一の失踪については心当りがないと言う。手がかりが掴めないので、禎子は一旦帰京した。後のことは義兄の宗太郎(西村晃)が金沢へ来たので任せることにした。

東京で禎子は憲一のことを色々と調べるうちに、憲一が広告社に勤める前のに1年半程、立川署の巡査をしていたのを知った。憲一の担当は風紀係としての、パンパン(米兵相手の売春婦)の取締りだった。禎子にはすべてが初耳だった。

そこへ、金沢にいた宗太郎が殺されたと言う報せが入った。青酸カリによる中毒死だった。禎子は宗太郎が殺されたことが、憲一の失踪に関係があると思った。犯人がパンパン風の女だということは、憲一が風紀係だったことに結びつく。

禎子は室田の会社を訪ねた時、受付にいた女がパンパン独特の癖のある英語を使っていたことを思い出した。室田の会社へ行ったが、その女 田沼久子(有馬稲子)は3日ばかり前から休んでいるということだった。久子には曽根益三郎という内縁の夫があったが、12月12日に死亡しているという。憲一が失踪した日だった。

【以下結末までの記述あり。 映画未見/小説未読の方は、次の感想欄まで飛んで下さい!】

曽根の生前の住所は能登の高浜町であった。禎子は高浜の町へ赴いた。曽根とは他ならない憲一であった。憲一は佐知子の秘密を握っているために殺されたのだ。佐知子は憲一が風紀係をしていた頃パンパンをやっていたのだ。

今は土地の名士、社長夫人となった彼女は、秘密を知る憲一を、秘密をかぎつけた宗太郎を殺し、パンパン仲間だった久子までも死に至らしめたのだ。禎子と佐知子は能登金剛の断崖で対決した・・・




【感想】

原作:松本清張、脚本:橋本忍・山田洋次、監督:野村芳太郎。後に名作砂の器」(1974)を産み出すことになる黄金のトリオが「砂の器」に先立つこと13年前に作った作品である。

映画ラストの能登金剛ヤセの断崖は、その後TVの火曜サスペンス劇場等で多用されることになった主人公が真犯人を追い詰めるシーンの原型になったのだそう。それだけ、後世のミステリー/サスペンス ドラマに与えた影響も大きい。

戦後の闇歴史を引きずっている人物に絡んで事件が起きるのは、いかにも松本清張の世界であるが、それを視覚化・映画化する装置としての脚本の力を感じる。描かれている世界は暗く悲しいが、観客にとって、松本清張原作、橋本忍脚本というのは、鉄板の組合せで、観客を飽きさせない。

なお、本作品で高千穂ひづるという女優を初めて知った。1964年に結婚して事実上引退してしまったので、出演作を殆ど観る機会がなかったためだが、この映画は高千穂ひづる演じる室田佐知子の物語である。主人公の久我美子を完全に食ってしまっているし、有馬稲子に至っては、ずいぶん損な役回りである。




【スタッフ、キャスト等】

監督:野村芳太郎
脚本:橋本忍、山田洋次
原作:松本清張の同名小説(1959)
音楽:芥川也寸志
撮影:川又昴
美術:宇野耕司
キャスト:
鵜原禎子(久我美子)
室田佐知子(高千穂ひづる)
田沼久子(有馬稲子)
鵜原憲一(南原宏治)
鵜原宗太郎(西村晃)
室田儀作(加藤嘉)
本多(穂積隆信)

上映時間:1時間35分
日本公開:1961年3月19日
鑑賞日:2018年9月6日
場所:新文芸坐(池袋)



【橋本忍脚本映画リスト】

・題名の前の氏名は監督
・題名の後の氏名は、共同脚本執筆者  氏名記載無き場合は、橋本忍単独脚本

(01)黒澤明「羅生門」(1950)黒澤明
(03)黒澤明「生きる」(1952)黒澤明、小國英雄
(10)黒澤明「七人の侍」(1954)黒澤明、小國英雄
(19)黒澤明「蜘蛛巣城」(1957)黒澤明、小國英雄、菊島隆三
(29)黒澤明「隠し砦の三悪人」(1958)黒澤明、小國英雄、菊島隆三
(35)中村登「いろはにほへと」(1960)国弘威雄
(40)野村芳太郎「ゼロの焦点」(1961)山田洋次
(47)岡本喜八「」(1965)
(49)山田洋次「霧の旗」(1965)
(53)小林正樹「上意討ち 拝領妻始末」(1967)
(55)森谷司郎「」(1968)
(60)黒澤明「どですかでん」(1970)黒澤明、小國英雄
(65)森谷司郎「日本沈没」(1973)
(66)野村芳太郎「砂の器」(1974)山田洋次
(69)森谷司郎「八甲田山」(1977)






No.9535    Day 3362