野村芳太郎「砂の器」(1974) | It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

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スキー大好き、ゴルフ、読書、映画、演劇、音楽、絵画、旅行と他の遊びも大好き、元々仕事程々だったが、もっとスキーが真剣にやりたくて、会社辞めちまった爺の大冒険?


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【粗筋】

1971年(昭和46年)6月24日早朝、東京の国鉄蒲田操車場で推定年齢50~60歳で身元不詳の男の撲殺死体が発見される。

男は死ぬ数時間前に近くのキャバレーに若い男と一緒にいて、その時被害者は東北訛りで「カメダ」と何度も言っていた事が判明した。

ヴェテラン刑事の今西栄太郎(丹波哲郎)は「カメダ」が人の名前ではなく地名でないかと睨み、若手刑事の吉村(森田健作)と秋田県の亀田に調査に行ったが、何ら収穫は得られなかった。

吉村は被害者と一緒にいた男が白いスポーツシャツを着ていたというホステスの証言を聞き、そのシャツに返り血がついたのなら処分したはずだと考えた。

ある日新聞のコラムで中央線の列車の窓から白い紙吹雪を撒いていた女の話を読んだ吉村は、その紙切れとは布だったのではないかと思い、新聞社に問い合わせるとその女が銀座のクラブのホステス高木理恵子(島田陽子)だと教えられる。

吉村が銀座のクラブを訪ねると、高木理恵子はコラムの女であることを否定し、行方をくらましてしまう。

そのクラブには新進気鋭の天才ピアニストで作曲家の和賀英良(加藤剛)と、その婚約者で前大蔵大臣 田所重喜の娘の佐知子(山口果林)の姿があった。

8月9日、被害者の身元が、岡山の雑貨商 三木謙一であることが判明する。お伊勢参りに行くと言って旅に出たきり連絡がないので、家族が捜索願を出していたのだ。

ところが三木の養子 彰吉(松山省二)は、三木は温厚な人柄で人の恨みを買うようなことはなく、東北弁を使わないし「カメダ」という言葉にも心当たりがないと言う。

今西の捜査は万策尽きた様に思えたが・・・




【感想】

この映画は数十年前、随分若い時に観たのだが、その時は正直あまりピンと来なかった。

しかし、今回再見してみて、映画のドラマ、組立・構成が良く出来ていて、映画ならではのクライマックスに物語が収斂する様に作られていたことが、良く判った。

自分は、映画を観た後、松本清張の原作も読んだが、松本清張が、「映画のクライマックスに向けての構成と盛り上げは、小説では出来ない」と褒めていた意味が納得出来る。

前半は地味な描写の積み重ねで、捜査も右往左往し、ある意味退屈しかけていたところに、映画の後ろ1/3で一気に、音楽と映像と、捜査会議の芝居が渾然一体となってエンディングになだれ込む、非常に映画的映画であった。






監督:野村芳太郎
脚本:橋本忍、山田洋次
原作:松本清張の同名小説(1961年)
音楽監督:芥川也寸志
作曲・ヒアノ演奏:菅野光亮
演奏:東京交響楽団
撮影:川又昂

キャスト:
今西栄太郎(警視庁捜査一課警部補):丹波哲郎
吉村弘(西蒲田警察署刑事課巡査):森田健作
和賀英良(ピアニスト、作曲家、指揮者):加藤剛
高木理恵子(蒲田のクラブ「ボヌール」のホステス、和賀の愛人):島田陽子
田所佐知子(前大蔵大臣 田所重喜の令嬢、和賀と婚約予定):山口果林
田所重喜(前大蔵大臣):佐分利信
三木謙一(元亀嵩駐在所巡査、何者かに蒲田操車場で撲殺される):緒形拳
三木彰吉(三木謙一の養子):松山省二
元浦千代吉(秀夫の父):加藤嘉
元浦秀夫(少年期):春田和秀
伊勢の映画館「ひかり座」支配人:渥美清(友情出演)

上映時間:2時間23分
日本公開:1974年10月19日
キネマ旬報ベストテン:日本映画第2位、脚本賞
鑑賞日:2016年12月12日
場所:TOHOシネマズ新宿





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