森谷司郎 「首」 (1968) | It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

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スキー大好き、ゴルフ、読書、映画、演劇、音楽、絵画、旅行と他の遊びも大好き、元々仕事程々だったが、もっとスキーが真剣にやりたくて、会社辞めちまった爺の大冒険?





【あらすじ:映画.comよりの引用(→)】

昭和18年(1943年)の冬、茨城県の炭鉱のある村で、ひとりの鉱夫が警察で死んだ。死因に疑いがあるということで、弁護士の正木ひろし(小林桂樹)が遺族から調査を依頼された。

正木は死亡診断書に死因が、脳溢血とあるのを怪しんだが、警察や検事は死体を見せようともしなかった。正木は、そこに拷問死の臭いをかぎ、いかに戦時下とはいえ、官憲の横暴、残虐さに激しい怒りを覚え、この事件を徹底的に調査しようと決心したのである。

調査するうちに、脳溢血という診断が、明らかに偽証であることがはっきりした。しかし、死体はすでに埋葬され、いかに弁護士とはいえ、警察の許可なくしてそれを掘り返すことは出来なかったし、警察が自らの不正を暴露するようなことを許すはずもなかった。

正木は東大で法医学の専門家の福畑教授(佐々木孝丸)に相談してみた。福畑は、遺体はいらない、死因を調べるには首だけあれば充分だと言う。

一瞬、驚いた正木だったが、首切り作業の適任者として紹介された東大雇員の中原(大久保正信)と共に、死体が埋葬されている茨城県蒼竜寺に向った。極秘裏に死体から首を切り離し、それを医学部教授の福畑に見せて死因を調べて貰おうというのだ。

【以下結末までの記述あり!   映画未見の方は次の感想欄まで飛んで下さい。】

風が唸り、粉雪の舞う墓地で、この作業が行なわれた。死んだ男の仲間の鉱夫が見張りに立っていた。ついに中原は首を切り落した。

早速、正木はその首を隠し持って東京行きの列車に乗り込んだ。しかし、戦時中のヤミ物資の所持・移送・販売の摘発のために、警察官が列車内で所持品検査をやっていた。この危険を脱することが出来たのは、中原の機転のお蔭だった。

やがて、研究室に持ち込まれた首は福畑教授等によって綿密に調べられ、死因が脳溢血ではなく、激しい殴打によるものと断定された。

昭和19年(1944年)2月から30年(1955年)末まで、前後12年間にわたって裁判を重ねた「首なし事件」の最終的な決め手は、正木弁護士が持ち帰った首の診断書だったのである。



【感想】

反骨の弁護士 正木ひろしが、実際に自分が関与した「首なし事件」について記した著作を脚本化したのは、「生きる」(1952)、「七人の侍」(1954)、蜘蛛巣城」(1957)、「」(1965)、「上意討ち 拝領妻始末」(1967)等の橋本忍
監督は「日本沈没」(1973)、「砂の器(1974)、「八甲田山」(1977)等の森谷司郎。
正木ひろしを演じるのは、小林桂樹。

この四者が、がっぷり組んで生まれた傑作映画。ミステリーとしても、サスペンスとしても一級品である。敢えて白黒撮影としたのも、好効果。厳しく過酷な戦中の時代の雰囲気が良く表現されている。

正木ひろし(小林桂樹)の、一歩間違えば狂気にも陥りかねない、一徹な正義感が、画面からはみ出さんばかりに迫って来て、見る者を圧倒する。




【スタッフ、キャスト等】

監督:森谷司郎
脚本:橋本忍
原作:正木ひろし「弁護士」(1964)
音楽:佐藤勝
撮影:中井朝一
美術:阿久根巌
製作:田中友幸
キャスト:
正木ひろし(小林桂樹)
滝田静江(南風洋子)
岸本正治(下川辰平)
田代検事(神山繁)
室田(大滝秀治)
福畑教授(佐々木孝丸)
中原(大久保正信)

上映時間:1時間40分
日本公開:1968年6月8日
キネマ旬報ベストテン:日本映画第5位
鑑賞日:2018年9月5日
場所:新文芸坐(池袋)



【橋本忍脚本映画リスト】

・題名の前の氏名は監督
・題名の後の氏名は、共同脚本執筆者  氏名記載無き場合は、橋本忍単独脚本

(01)黒澤明「羅生門」(1950)黒澤明
(03)黒澤明「生きる」(1952)黒澤明、小國英雄
(10)黒澤明「七人の侍」(1954)黒澤明、小國英雄
(19)黒澤明「蜘蛛巣城」(1957)黒澤明、小國英雄、菊島隆三
(29)黒澤明「隠し砦の三悪人」(1958)黒澤明、小國英雄、菊島隆三
(47)岡本喜八「」(1965)
(53)小林正樹「上意討ち 拝領妻始末」(1967)
(55)森谷司郎「首」(1968)
(60)黒澤明「どですかでん」(1970)黒澤明、小國英雄
(65)森谷司郎「日本沈没」(1973)
(66)野村芳太郎「砂の器」(1974)山田洋次
(69)森谷司郎「八甲田山」(1977)






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