フュージョンやニューエイジを中心に生演奏特盛りでM3や配信サイトで頒布中です。
ときどきフリーで音声関係の音響エンジニアをやってます。
WEBラジオや公開録音・トークライブなどで活動させてもらっています。
オーディオライターとして活動を始めました。
直近ではこちらです。
音楽出版社刊の「ポタ音スタイル2016」にてBeagle Kickの対談掲載、記事執筆
OTOTOYにて『Little Donuts / HAPPY TALK SESSION @ TAGO STUDIO TAKASAKI DSD11.2MHz録り下ろし音源』の試聴レビューを執筆
突然ですが、ジャパンファインスチール(株)ってご存じですか?
半導体にはなくてはならないシリコンをウエハー状に切断するためのワイヤ等を作っている金属加工メーカーです。
同社は金属ワイヤを何種類も作っていて、その素材は加工の難しいマグネシウムにも及んでいます。
今回、ジャパンファインスチールがオーディオ業界に参入したというニュースを見つけたので読んでみると、第一号はスピーカーケーブルだといいます。ケーブルの中でも音質にダイレクトに影響する、とても評価の厳しい分野ではありませんか。
その構造や素材に興味をそそられた私は、矢も盾もたまらず同社に連絡しました。何度かのやり取りがあって、発売直後のたいへんな時期にモニターケーブルの提供を受けることができました。
丁寧にご対応いただいた担当の水野さんにこの場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございました!
そのため本記事は、個人的な感想ではありますが、メーカー様の協力と公認を得て書かせていただく特別なものになります。
そしておそらくWEB上では世界初となるSIN-KAI(MS227C)のレビューとなるでしょう。
さて、早速ケーブルの概要を説明していきましょう。
詳しいことは、発表当時の記事を参照していただくとして、私が特に気になる点は以下の3つ。
・世界初のオーディオ専用導体として評価の高いPC-TripleCを使用
・絶縁材には、伝送特性に優れるポリエチレンを使用
・ストランドジャンプ現象による歪みや付帯音を減少させた撚線構造
マグネシウムについては、私もAVアンプの脚にMgスペーサーを使用しており、その効果は実感していましたので、一定の信頼は感じていました。
MS227Cは、発売直後の1/29に我が家に到着しました。
ケーブルは端末処理こそセルフサービスでしたが、バイワイヤ用に計4本もの新品を融通していただきました。(ありがたすぎて泣きそうです)

梱包時の箱 ブランドロゴがカッコいい!
色は、深みのあるマリンブルー。いわゆる群青色です。
落ち着いた色調のため室内に溶け込み生活感を壊しません。
形は、いわゆるVVFケーブルのようなフラット形状となっています。
手で曲げるとスムーズに曲がり、曲げ癖はすぐに記憶します。オーディオケーブルとしては、扱いやすい部類と言えるでしょう。

ケーブル外観

こんな風に曲げても、自然には戻りません。ちゃんと形状記憶してくれます。
開梱後はすぐに端末処理に取りかかりました。
平行構造のケーブルなので、真ん中からシースを切ってみます。
高校・専門と使っていた電工ナイフは処分したため、やむなくハサミで切断。
中間のポリエチレンパイプに邪魔されて少し切りにくいですが、慣れればどうってことありません。うっかり滑って絶縁材を傷つけることもありませんでした。
一番外側の軟質PVCシースはハサミとプラモ用ニッパーで楽々カット。
PVCはオーディオ的な特性が良くないので、ハイエンド版ではこれもポリエチレンにして欲しいところです。

シースを難なく剥ぎ取って、中空パイプを切り落とします。
ポリエチレン絶縁材は、「ベッセルの撚り線用ワイヤーストリッパーで一発や!」、と思ったらうまくできません。
それもそのはず。マグネシウム芯材を中心とした撚線構造のため、表面積が一般的ではないのです。
無理矢理剥くとケーブル芯線に傷を付けかねません。いったんストリッパーの2φで絶縁材に切り込みを入れたあと引っ張って抜きました。
ちなみにポリエチレンよりもさらに伝送特性に優れるテフロン(フッ素樹脂)は、ぜひハイエンドケーブルを作るときに採用して欲しいところです。

絶縁材を剥いた状態
感心したのは、芯線の撚り方が非常に巧みでちょっと芯線を触ったり曲げたりしたくらいでは、線材同士がほどけないことでした。
今まで試した撚り線ケーブルは簡単にほどけてしまい、結線時に難儀するものが多かっただけに、この強固な撚り構造は音質も期待できると思いました。

スピーカーに結線 背面スペースが狭いため、上からドロップハンドルのように接続

アンプ側は2本ずつの結線が困難で接触面積も小さくなってしまうため、RBN-1を使用
(RBN-1は音への色付けが少なく、接点が増えるにも関わらず定位や空間表現力が向上するアイテムのため、今回は特別に併用しました)
【試聴システム】
NAS:RockDiskNext
BDユニバーサルプレイヤー:BDP-103DJP
AVアンプ:AVR-X4100W
スピーカー:MENTOR2
試聴は、ネットワークオーディオによるハイレゾを中心とした音楽ソースで行いました。
芯のある音と、開放感のあるサウンドが特徴です。
低域の量感に不足はなく、中域はスッキリとしていて、高域には煌びやかなアクセントが付加されています。
適度なスピード感と立ち上がりの良さを備え、音場の見通しも悪くありません。
劇伴などのファンタジックな楽曲は没入感が高いです。適度にまろやかなサウンド傾向が寄与しているようです。
ロックはソリッドな雰囲気がより高まり、突き刺さるような高域やビートの鋭さが特徴的です。
ポップスはまとまりが良く、曲の特徴が実に良く伝わります。
なお、マグネシウム素材固有の音と思われるピークが数kHz付近に表れていました。
煌びやかな高域は、本ケーブル最大の個性となっていますが、ありとあらゆる楽器音に乗ってきますので、好みが分かれるかも知れません。
また、中域の量感が相対的にやや不足していると感じました。それは低域における上の方の帯域にも同様の傾向が見られます。いわゆる中低域は、音楽において説得力やニュアンスを伝える重要な部分となります。ここの扱いをどうするか、一考の価値はあるかと思われます。
そして、音像の輪郭はさらに鮮明にしてほしいと感じました。決して悪くはありませんが、ややぼやけて滲んでいるため、さらなる改善の余地はあると思います。
MS227Cは同社初のオーディオケーブルであります。
今後もオーディオケーブルの開発は続けると発表されています。
さらにブラッシュアップしたSIN-KAIの登場に期待せずにはいられません。
初参入とは思えないハイクオリティーなケーブルを低価格で実現した音響ブランド「JFSounds」。
今後の展開を注視していきたいと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
以上です。
いかがでしたか?
これは私の主観的な感想ですので、全ての人に「このように感じられるはずだ」というモノではありません。
じっくりと聞き込み、確かに感じたことのみを記事にしています。
日々精進中の身ですので、一つの参考意見として捉えてもらえたらと思います。