どうも、ハイレゾ音楽制作サークルBeagle Kickの総合Pをやっております橋爪です。
フュージョンやニューエイジを中心に生演奏特盛りでM3や配信サイトで頒布中です。

ときどきフリーで音声関係の音響エンジニアをやってます。
WEBラジオや公開録音・トークライブなどで活動させてもらっています。

オーディオライターとして活動を始めました。
直近ではこちらです。

音楽出版社刊の「ポタ音スタイル2016」にてBeagle Kickの対談掲載、記事執筆

OTOTOYにて『Little Donuts / HAPPY TALK SESSION @ TAGO STUDIO TAKASAKI DSD11.2MHz録り下ろし音源』の試聴レビューを執筆


突然ですが、ジャパンファインスチール(株)ってご存じですか?
半導体にはなくてはならないシリコンをウエハー状に切断するためのワイヤ等を作っている金属加工メーカーです。
同社は金属ワイヤを何種類も作っていて、その素材は加工の難しいマグネシウムにも及んでいます。

今回、ジャパンファインスチールがオーディオ業界に参入したというニュースを見つけたので読んでみると、第一号はスピーカーケーブルだといいます。ケーブルの中でも音質にダイレクトに影響する、とても評価の厳しい分野ではありませんか。
その構造や素材に興味をそそられた私は、矢も盾もたまらず同社に連絡しました。何度かのやり取りがあって、発売直後のたいへんな時期にモニターケーブルの提供を受けることができました。
丁寧にご対応いただいた担当の水野さんにこの場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございました!

そのため本記事は、個人的な感想ではありますが、メーカー様の協力と公認を得て書かせていただく特別なものになります。
そしておそらくWEB上では世界初となるSIN-KAI(MS227C)のレビューとなるでしょう。

さて、早速ケーブルの概要を説明していきましょう。
詳しいことは、発表当時の記事を参照していただくとして、私が特に気になる点は以下の3つ。

・世界初のオーディオ専用導体として評価の高いPC-TripleCを使用
・絶縁材には、伝送特性に優れるポリエチレンを使用
・ストランドジャンプ現象による歪みや付帯音を減少させた撚線構造


マグネシウムについては、私もAVアンプの脚にMgスペーサーを使用しており、その効果は実感していましたので、一定の信頼は感じていました。


MS227Cは、発売直後の1/29に我が家に到着しました。
ケーブルは端末処理こそセルフサービスでしたが、バイワイヤ用に計4本もの新品を融通していただきました。(ありがたすぎて泣きそうです)


梱包時の箱 ブランドロゴがカッコいい!

色は、深みのあるマリンブルー。いわゆる群青色です。
落ち着いた色調のため室内に溶け込み生活感を壊しません。

形は、いわゆるVVFケーブルのようなフラット形状となっています。
手で曲げるとスムーズに曲がり、曲げ癖はすぐに記憶します。オーディオケーブルとしては、扱いやすい部類と言えるでしょう。



ケーブル外観


こんな風に曲げても、自然には戻りません。ちゃんと形状記憶してくれます。


開梱後はすぐに端末処理に取りかかりました。
平行構造のケーブルなので、真ん中からシースを切ってみます。
高校・専門と使っていた電工ナイフは処分したため、やむなくハサミで切断。
中間のポリエチレンパイプに邪魔されて少し切りにくいですが、慣れればどうってことありません。うっかり滑って絶縁材を傷つけることもありませんでした。
一番外側の軟質PVCシースはハサミとプラモ用ニッパーで楽々カット。
PVCはオーディオ的な特性が良くないので、ハイエンド版ではこれもポリエチレンにして欲しいところです。


シースを難なく剥ぎ取って、中空パイプを切り落とします。


ポリエチレン絶縁材は、「ベッセルの撚り線用ワイヤーストリッパーで一発や!」、と思ったらうまくできません。
それもそのはず。マグネシウム芯材を中心とした撚線構造のため、表面積が一般的ではないのです。
無理矢理剥くとケーブル芯線に傷を付けかねません。いったんストリッパーの2φで絶縁材に切り込みを入れたあと引っ張って抜きました。
ちなみにポリエチレンよりもさらに伝送特性に優れるテフロン(フッ素樹脂)は、ぜひハイエンドケーブルを作るときに採用して欲しいところです。


絶縁材を剥いた状態

感心したのは、芯線の撚り方が非常に巧みでちょっと芯線を触ったり曲げたりしたくらいでは、線材同士がほどけないことでした。
今まで試した撚り線ケーブルは簡単にほどけてしまい、結線時に難儀するものが多かっただけに、この強固な撚り構造は音質も期待できると思いました。


スピーカーに結線 背面スペースが狭いため、上からドロップハンドルのように接続


アンプ側は2本ずつの結線が困難で接触面積も小さくなってしまうため、RBN-1を使用
(RBN-1は音への色付けが少なく、接点が増えるにも関わらず定位や空間表現力が向上するアイテムのため、今回は特別に併用しました)

【試聴システム】
NAS:RockDiskNext
BDユニバーサルプレイヤー:BDP-103DJP
AVアンプ:AVR-X4100W
スピーカー:MENTOR2


試聴は、ネットワークオーディオによるハイレゾを中心とした音楽ソースで行いました。

芯のある音と、開放感のあるサウンドが特徴です。
低域の量感に不足はなく、中域はスッキリとしていて、高域には煌びやかなアクセントが付加されています。
適度なスピード感と立ち上がりの良さを備え、音場の見通しも悪くありません。

劇伴などのファンタジックな楽曲は没入感が高いです。適度にまろやかなサウンド傾向が寄与しているようです。
ロックはソリッドな雰囲気がより高まり、突き刺さるような高域やビートの鋭さが特徴的です。
ポップスはまとまりが良く、曲の特徴が実に良く伝わります。

なお、マグネシウム素材固有の音と思われるピークが数kHz付近に表れていました。
煌びやかな高域は、本ケーブル最大の個性となっていますが、ありとあらゆる楽器音に乗ってきますので、好みが分かれるかも知れません。
また、中域の量感が相対的にやや不足していると感じました。それは低域における上の方の帯域にも同様の傾向が見られます。いわゆる中低域は、音楽において説得力やニュアンスを伝える重要な部分となります。ここの扱いをどうするか、一考の価値はあるかと思われます。
そして、音像の輪郭はさらに鮮明にしてほしいと感じました。決して悪くはありませんが、ややぼやけて滲んでいるため、さらなる改善の余地はあると思います。

MS227Cは同社初のオーディオケーブルであります。
今後もオーディオケーブルの開発は続けると発表されています。

さらにブラッシュアップしたSIN-KAIの登場に期待せずにはいられません。
初参入とは思えないハイクオリティーなケーブルを低価格で実現した音響ブランド「JFSounds」。
今後の展開を注視していきたいと思います。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!


以上です。

いかがでしたか?

これは私の主観的な感想ですので、全ての人に「このように感じられるはずだ」というモノではありません。
じっくりと聞き込み、確かに感じたことのみを記事にしています。
日々精進中の身ですので、一つの参考意見として捉えてもらえたらと思います。
どうも、ハイレゾ音楽制作サークルBeagle KickのサウンドPをやっております橋爪です。
フュージョンやニューエイジを中心に生演奏特盛りでM3や配信サイトで頒布中です。

ときどきフリーで音声関係の音響エンジニアをやってます。
WEBラジオや公開録音・トークライブなどで活動させてもらっています。

オーディオライターとして活動を始めました。
直近ではこちらです。

音楽出版社刊の「ポタ音スタイル2016」にてBeagle Kickの対談掲載、記事執筆

OTOTOYにて『Little Donuts / HAPPY TALK SESSION @ TAGO STUDIO TAKASAKI DSD11.2MHz録り下ろし音源』の試聴レビューを執筆


先月発売された、オーディオ系ムック本 ポタ音スタイル2016。
こちらの雑誌で巻末の企画を担当しました。

Beagle Kickの和田さんと私が対談して、ハイレゾを手軽に楽しめる便利なアイテムを紹介してます!
音楽制作のプロである和田とオーディオや音響で活動する私、この二人の視点が合わさることで多角的に機器をレビューできました! 
自分で言うのも何ですが、かなり面白い対談になってますw

さらに言えば、ポータブルオーディオを取り上げた雑誌で「スピーカーで聴くのもいいよ!」という記事を担当しているのは私だけ!
孤軍奮闘?いやいや、大事なページを任せて頂いたと思いますw

ハイレゾはポータブルで楽しむ人が多いと思いますが、スピーカーで楽しむと新しい魅力が発見できます。
「何から揃えたらいいか分からない」なんて方もこれを読めば、体験してみたい製品が見つかるかもです。
ぜひ、書店で手に取ってみて下さい。

音楽出版社刊の「ポタ音スタイル2016



それでは、毎度お馴染みアニソンハイレゾ感想のお時間です。

今回の楽曲は?

【楽曲紹介】
アルバム名:I'll remember you -リアル☆SPiKA
アーティスト:佐坂めぐみ/Falcom Sound Team jdk



フォーマット:96kHz/24bit(WAV/FLAC)



ファルコムのゲームではお馴染みになりつつある、現役高校生シンガー:佐坂めぐみさんによるソロシングルです。
これまで歌唱してきた楽曲と新たな新曲を加え、オール録り下ろしを敢行した記念すべき一枚。
18歳となった彼女は、その歌唱力はもちろん、艶っぽさ、色っぽさ、情感の込め方といった要素が大幅に進化しています。
より楽曲にあったニュアンスを緻密に表現し、いい意味での余裕が見られるような、実にたっぷりとした歌声。
佐坂さんの底知れぬ可能性をひしひしと感じる3曲になっていました。

ゲームの世界観に浸りながら楽しむもよし、曲単体で楽しむもよし、アニソン・ゲーソン好きには広く勧めていきたいです。
ファルコムの曲はとにかく「楽曲として魅力的」ですから!

以前からハイレゾ(音)にもこだわるファルコム。
なぜファルコムのゲーム音楽が強く人を惹き付けるのか。
私が書いたPhile-webの記事を合わせてお読み下さい。


《音質の感想》
同じ96/24でもここまで変わるのか。
閃の軌跡Ⅱの原曲と比べてその進化と方向性の違いに驚いた。
「I'll remember you」は、空間の使い方が実に巧みだ。奥行きは深く、音像はハッキリと定位する。一聴してその透明感の高さに耳を奪われる。
これは単に音数が少ないからという理由ではないだろう。より楽曲のアレンジを生かす方向で録音やミックスに気を配った証ではないだろうか。
アコギの音は純度が高く、ベースはハッキリとかつ色気をほのかに感じさせる。ボーカルは空気感を重視し、わずかなニュアンスの変化も逃さない写実的な仕上がりになっている。一貫していやらしさが無い。
ストリングスは全体の完成度の高さ故に、「生で録ってほしかった!」と思わせてくれた。
事実、生楽器の音は質感豊かで加工が最小限に抑えられている。まるでライブのようだ。
音像のディテールは緻密であり、何より歪みが圧倒的に少ない。
POPSにしてはダイナミクスが広くオーディオ的な味わいが深いのも聴き所だ。



お次はこちら。

【楽曲紹介】
アルバム名:劇場版「ラブライブ! The School Idol Movie」オリジナルサウンドトラック Notes of School Idol Days ~Curtain Call~
アーティスト:藤澤慶昌 他




フォーマット:96kHz/24bit(WAV/FLAC)



これはもう説明不要ですね!
みんな大好き「ラブライブ!」劇場映画のサントラです。
私も映画館で拝見しましたが、全8曲という「ミュージカルか!」と突っ込みたくなるほどの贅沢な新曲(歌)たちはファンサービスの域を超えて珠玉の仕上がりでした。
劇伴も大編成のストリングスやホーンセクションによってより魅力的になっていて大興奮。メインテーマなんて狂喜乱舞ですよ!
このアルバムで注目すべきは、シングル版とミックスの異なる「僕たちはひとつの光」と「SUNNY DAY SONG」がフルバージョンで入っていることです。
劇伴を聴く習慣が無い人もこの2曲のために買ってもいいのでは?!
そして劇伴にも目覚めて藤澤さんの曲を好きになってくれたら、ファンの僕も嬉しい!(←どうでもいい)


《音質の感想》
本作はラブライブ!のサウンドトラックにおいて、初めてネイティブ96kHz制作による配信が行われた。
藤澤氏の劇伴においても初めてであり、ファンにとっても待望の一枚になったことは間違いない。
「メインテーマ」を聴くとCD版からの化けっぷりに驚いた。
楽器の編成や人数、演奏の素晴らしさに対して、今ひとつ臨場感に欠けるCDの限界を悔やまずにはいられなかった。それが見事に解消されていたのだ。以下に詳細を述べる。
躍動感の向上は、金管や木管で顕著だ。立ち上がりが鋭く、引き締まっていてぶれが無い。
倍音が豊かで立体感もあり、人間が演奏していることが分かる。すなわち“楽器の息づかい”のようなニュアンスがストレートに伝わってくる。
ストリングスは、より繊細に幅広く目の前に展開し、演奏のスケール感を存分に味わえた。奥行きが深く、音場も狭苦しくない。
「それぞれの想い」では、本物のチェロが聴こえる。極端な言い方になるが、CD版ではチェロっぽい何かが鳴っていた。しかしハイレゾになると、極めてシャープで凜としたチェロがそこにいるのだ。まるで弦をこする弓の動きが見えるようだ。
「最高のライブへ!東西奔走!」では、とにかく音像が緻密で踊るように跳ね回る。分離も良好で、聴こえなかった音が聴こえてくるからすごい。

ボーカル曲は、あまりに良すぎて言葉にならない。
μ’sの歌声をネイティブ96kHzで聴けることがこんなにも幸せだなんて!
近い!生々しい!心をくすぐってくる!
ラブライブ!は、トラック数がたいへん多いため、これまで48kHzでの楽曲制作を行ってきたのは読者の方もご存じかと思う。(48kHz を採用していたのはそれだけが理由では無いだろうが)
ランティスのスタジオでは、ハイレゾ制作のためにPCの性能を上げてHDXカードを買い足すことによって、ミックスにおけるオーバーロードやフリーズを起こさないように環境を整えてくれたのかもしれない。
その結果がこれだ。もう聴くしかない。
情報量がうんぬんとか言ってる場合では無い!
聴いてその声に悩殺されるべし!理屈じゃない!(ヲイw

総じてマスタリングの方向性がナチュラルテイストで、極力生の質感を残していると感じた。
音量を上げてもあまりうるさくない。心地よい響きと生楽器の空気感に浸ることが出来る。
ぜひスピーカーでも聴いていただきたい。




以上です。

いかがでしたか?


これは私の主観的な感想ですので、全ての人に「このように感じられるはずだ」というモノではありません。
じっくりと聞き込み、確かに感じたことのみを記事にしています。
日々精進中の身ですので、一つの参考意見として捉えてもらえたらと思います。



現在までのアニメ系ハイレゾ感想記事はこちら……

のうりん挿入歌「コードレス☆照れ☆PHONE
ガルパンED Enter Enter MISSION!と1PLDK
「すぱそにっ♥(はぁと)」
「そにアニ オリジナルサウンドトラック」
「ハローグッバイ」歌:榊原ゆい
『「星刻の竜騎士」OP「聖剣なんていらない」/(榊原ゆい)』
『Anison Strings~弦楽四重奏で聴くランティスの歴史』
『僕らは今のなかで』『きっと青春が聞こえる』ラブライブ!
『「英雄伝説 閃の軌跡」サウンドトラック・オリジナルマスター』 前編後編
『閃光の行方 「英雄伝説 閃の軌跡Ⅱ」オープニングテーマ』
『軌跡 jdk アクースティックス』前編後編
『Beyond the Sky (日本語版)』
『「英雄伝説 閃の軌跡II」サウンドトラック・オリジナルマスター』
深窓音楽演奏会其ノ壱
ソナタとインターリュード
UP↑ with Yuji Ohno & Lupintic Five
Aurora Days
いつかの、いくつかのきみとのせかい
『Blu-ray Audio版『Star!!』』
『『Wake Up, Best!』をワグナーと聴いてみた』
Hey World,恋は混沌の隷也,Go Fight!
DREAM SOLISTER,CANDY MAGIC
「英雄伝説空の軌跡FCEvolutionOST」「SAXES STREET」
Blu-ray Audio版『Shine!!
「Seize the day」「朝焼けのスターマイン」
「FIRST*MODE」
「BUONO!! BUONO!!」「ハルカナルトキノカナタへ」
ナイツ爆笑漫才スーパーベスト
「piece of youth」「『ガールズ&パンツァー 劇場版』OST」

どうも、ハイレゾ音楽制作サークルBeagle KickのサウンドPをやっております橋爪です。
フュージョンやニューエイジを中心に生演奏特盛りでM3や配信サイトで頒布中です。

ときどきフリーで音声関係の音響エンジニアをやってます。
WEBラジオや公開録音・トークライブなどで活動させてもらっています。

オーディオライターとして活動を始めました。
直近ではこちらです。

音楽出版社刊の「ポタ音スタイル2016」にてBeagle Kickの対談掲載、記事執筆

OTOTOYにて『Little Donuts / HAPPY TALK SESSION @ TAGO STUDIO TAKASAKI DSD11.2MHz録り下ろし音源』の試聴レビューを執筆

日本ファルコムのアクションRPG「東亰ザナドゥ」の音楽についてPhile-webに記事執筆


さあ、今日もやってきました。ハイレゾアニソン試聴感想!
もはや当ブログのレギュラー記事になりつつあります。

基本的にdisらないことをポリシーにやっておりまして、
まだハイレゾを試していない人に楽しんで欲しい一心で書いています。
誰からも頼まれていませんし、お金をもらっていませんから、「ここが惜しい!」と思ったら正直に書きます。
でも、やっぱり貶めない、批判しない、という原則は守りたいなと思います。


さて、楽曲紹介!

【楽曲紹介】
曲名:piece of youth
アーティスト:ChouCho



フォーマット:96kHz/24bit(WAV/FLAC


ガルパン劇場版の主題歌です。
映画は予想通りの大ヒットとなっています。それもそのはず。
散々待ちましたが、ファンの期待を裏切らない大サービスの内容で「お前ら待たせたな!ありがとな!これでどうよ!?」とスタッフに言われている気がしました。
1回目は展開を追うので精一杯でしたが、2回目以降はちょっとウルッとくるシーンもあり、ドラマに入り込めましたね。
まだの方はぜひ劇場で見て欲しいです。


《音質の感想》
本曲の一番の肝は低域である。打ち込み部分は量感たっぷり。
生のベースは温度感やムードに加え色気がわずかに添えられており、奏者のニュアンスをより伝えてくれる。
低域の純度や質感はハイレゾの大きなアドバンテージだ。
ボーカルはオケの中にスッとたたずみ、立体感を帯びて聴き心地良い。
打ち込みトラックの音の粒子がきめ細かく煌びやかだ。
映画館を超える高音質を堪能すると、劇場での感動が蘇ってすっかり浸ってしまった。




【楽曲紹介】
アルバム名:『ガールズ&パンツァー 劇場版』オリジナルサウンドトラック
アーティスト:浜口史郎 他



フォーマット:96kHz/24bit(WAV/FLAC)


同作の劇場版サントラです。
TV版は48kHz/24bitでしたが、ついにネイティブ96kHzで制作されました。
大編成のストリングに迫力のホーンセクション。意外な民俗楽器。
TVシリーズでお馴染みの楽曲もスケール感をアップさせてリアレンジ。
聴き応えのある名盤になっています。


《音質の感想》
TV版に比べて空間の広がりが顕著だ。
時間あたりの情報の多さは楽器の実在感を大幅に改善してくれた。
96kならではの余裕のようなものが感じられる。
ストリングスの人数が増えスケールが大きくなった反面、音場の飽和が心配になるが、決して混濁せず緻密に聴かせる。
「みんなの想いは一つです」のような音数の少ない曲は、ハイレゾならではのリアルを特に実感した。
「希望の光は絶対に消えません!」は、特定のシーンに当てて書かれた曲でよりドラマチックな楽曲構成になっている。映画館を超える情報量で聴ける幸せを噛みしめた。
低域の再現度で最も印象に残ったのは「待ち伏せします!」。大太鼓の説得力たるや、息をのむ迫力だ。太鼓の皮がふるえるときの立ち上がりや余韻のリアリティーが尋常では無い。
カンテレをフューチャーした「Sakkijarven polkka」。
最も生の質感が残っているこちらの楽曲は、カンテレの癒やし系の音色と色気のあるベースを存分に楽しめる。

"生の質感"で一つ、意見を述べる。
映画用のミックスと、サントラ用のミックスは大幅に変えて欲しかった。
というのも、本作のミックスは「ホール演奏を意識した」とのことである。(コンサートパンフより)
そのためオーケストラ系の楽曲にホールリバーブを大胆に付加している。映画っぽい音作りを狙っているようでもある。
これがいわゆるプラグインによるデジタルリバーブなのか、アナログのアウトボードなのかは分からないが、正直ちょっとオーディオで楽しむにはくどい気がした。
生のオーケストラを毎月1回聴きに行く自分は、本当のホールトーンの素晴らしさが染みこんでいる。
どうしてもオーケストラに人工的なリバーブはチープに思えてしまうのだ。
もちろん適度ならいいが、過剰では生楽器の質感が損なわれてしまう。
スタジオのわずかな響きを生かし加工は最小限に抑える、という方法もなくはない。
アコースティック楽器を多用している本作において、唯一惜しいと思った点である。




【楽曲紹介】
アルバム名:The Sound of TIGER & BUNNY
曲名:HEROES N.C.1978/TIGER & BUNNY
アーティスト:池 頼広



フォーマット:96kHz/24bit(WAV/FLAC)


パシフィコ横浜で行われた同作のオーケストラコンサート。
演奏される曲目を新たにハイレゾマスタリングしたそうです。
おそらくリミックスもされているであろう、究極のベスト盤ですね。

黒子のバスケ2期~3期で炸裂した池節。アニメにおける原点はこのタイバニでしょう。
弦楽を担当するのは、レコーディングシーンで大活躍の小池ストリングス。
心を揺さぶる圧倒的な演奏は、劇伴ファンならぜひライブラリーに入れて欲しい一枚です。


《音質の感想》
これはハイレゾ版を聴くべき傑作だ。
CD版を聴いている自分にとって、たった2曲でも原音の完成度に度肝を抜かれてしまった。
まず、奥行きや広がり、生音ならではの空気感は抜群だ。
重心の低い上質な低域は厚みと迫力を兼ね備え満足感を高める。
CD版ではボヤついているだけだった最低域が引き締まり、臨場感もアップ。
グラン・カッサやティンパニの演奏が歪むことなく奏者の意図の通りに味わえるのは、なんという贅沢だろうか。
楽器のディテールが克明で、ストリングスの緻密さも段違いだ。
音圧は不思議と上がっているようだったが、躍動感が向上しているためまったく気にならなかった。




以上です。

いかがでしたか?


これは私の主観的な感想ですので、全ての人に「このように感じられるはずだ」というモノではありません。
じっくりと聞き込み、確かに感じたことのみを記事にしています。
日々精進中の身ですので、一つの参考意見として捉えてもらえたらと思います。



現在までのアニメ系ハイレゾ感想記事はこちら……

のうりん挿入歌「コードレス☆照れ☆PHONE
ガルパンED Enter Enter MISSION!と1PLDK
「すぱそにっ♥(はぁと)」
「そにアニ オリジナルサウンドトラック」
「ハローグッバイ」歌:榊原ゆい
『「星刻の竜騎士」OP「聖剣なんていらない」/(榊原ゆい)』
『Anison Strings~弦楽四重奏で聴くランティスの歴史』
『僕らは今のなかで』『きっと青春が聞こえる』ラブライブ!
『「英雄伝説 閃の軌跡」サウンドトラック・オリジナルマスター』 前編後編
『閃光の行方 「英雄伝説 閃の軌跡Ⅱ」オープニングテーマ』
『軌跡 jdk アクースティックス』前編後編
『Beyond the Sky (日本語版)』
『「英雄伝説 閃の軌跡II」サウンドトラック・オリジナルマスター』
深窓音楽演奏会其ノ壱
ソナタとインターリュード
UP↑ with Yuji Ohno & Lupintic Five
Aurora Days
いつかの、いくつかのきみとのせかい
『Blu-ray Audio版『Star!!』』
『『Wake Up, Best!』をワグナーと聴いてみた』
Hey World,恋は混沌の隷也,Go Fight!
DREAM SOLISTER,CANDY MAGIC
「英雄伝説空の軌跡FCEvolutionOST」「SAXES STREET」
Blu-ray Audio版『Shine!!
「Seize the day」「朝焼けのスターマイン」
「FIRST*MODE」
「BUONO!! BUONO!!」「ハルカナルトキノカナタへ」
ナイツ爆笑漫才スーパーベスト