どうも、ハイレゾ音楽制作サークルBeagle KickのサウンドPをやっております橋爪です。
フュージョンやニューエイジを中心に生演奏特盛りでM3や配信サイトで頒布中です。

ときどきフリーで音声関係の音響エンジニアをやってます。
WEBラジオや公開録音・トークライブなどで活動させてもらっています。


現在までのアニメ系ハイレゾ感想記事はこちら……

のうりん挿入歌「コードレス☆照れ☆PHONE
ガルパンED Enter Enter MISSION!と1PLDK
「すぱそにっ♥(はぁと)」
「そにアニ オリジナルサウンドトラック」
「ハローグッバイ」歌:榊原ゆい
『「星刻の竜騎士」OP「聖剣なんていらない」/(榊原ゆい)』
『Anison Strings~弦楽四重奏で聴くランティスの歴史』
『僕らは今のなかで』『きっと青春が聞こえる』ラブライブ!
『「英雄伝説 閃の軌跡」サウンドトラック・オリジナルマスター』 前編後編
『閃光の行方 「英雄伝説 閃の軌跡Ⅱ」オープニングテーマ』
『軌跡 jdk アクースティックス』前編後編
『Beyond the Sky (日本語版)』
『「英雄伝説 閃の軌跡II」サウンドトラック・オリジナルマスター』
深窓音楽演奏会其ノ壱


アニソン界隈から96kHz/24bitネイティブ制作の音源(96/32bit-floatも含む)がリリースされることは、まだまだ珍しいのではないだろうか。
このブログでもたびたび書いているとおり、96/24ネイティブの音源は圧倒的なリアリティー(情報量)と空間表現のレベルの高さが特徴である。
高域と低域のナチュラルさ、違和感のなさも素晴らしい。

思わず目をつぶって聴きたくなる再生音楽。私の感覚では96/24以上から感じることが多い。
DSDでは、2.8MHzの段階で既にその域に達していると思うが、まだまだアニソンファンが楽しめる音源は少ない。
そういった意味でも、96kHz/24bitネイティブ制作の音源はとても貴重であり、「これぞ、ハイレゾ!」という満足感が得られるタイトルが多いのだ。

【96kHz/24bitネイティブ制作の音源について】
録音から配信まで96kHz/24bit同一フォーマットでの制作が行われている音源のことと本ブログでは定義したい。
最近では、録音からミックスダウン・マスタリングまでは96kHz/32bit-floatで行い、配信用のマスターを96kHz/24bitで書き出すというケースもある。
おそらく96kHzを選択する現場(選択できる現場)では、ほぼ全て32bit-floatでProtoolsのセッションも作られていると思う。
自分も音声の録音では96kHz/32bit-floatを選択している。(我が家はCPUネイティブなのでレイテンシーは凄いことになる)


《参考ページ》
・ハイレゾで注目の「32bit-float」で、オーディオの常識が変わる?
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/dal/20131125_624971.html

・32bit Floatは0dBを超えてもクリップしない
http://genxbeats.com/post/id/32bit-float



今回紹介する作品は、テレビアニメ「天体のメソッド」イメージアルバムだ。

イメージアルバムとは何ぞや?
アニメに詳しくないオーディオファンのために解説をしよう。
メンバーには、主題歌を担当するアーティストや音楽制作を担当するレーベルにゆかりのあるアーティストが名前を連ねることが多い。
作品の世界観を歌やインストで表現し、収録された楽曲は基本書下ろしが多いが、挿入歌で使われたりすることもある。
テレビドラマや映画ではあまりみられない、アニメ独特の作品形態といえるだろう。
オリジナルサウンドトラックやキャラクターソングともまた別の扱いになることに注意したい。

天体のメソッドの作品紹介は公式ホームページを見てもらうとして、
ソナタとインターリュードはEDを担当するfhánaと劇伴を担当する加藤達也氏の共作である。


では、楽曲情報だ!

アルバム名:ソナタとインターリュード
アーティスト:fhána/加藤達也



販売:e-onkyo/mora
フォーマット:96kHz/24bit FLAC/WAV



続いて、ハイレゾ版を聴いた感想だ!


【音の傾向】 ※CD版未試聴
・ソナタとインターリュード (Instrumental)
空間の広がり(特に前後感)は、アルバム1枚の物語が始まる予感を増大させる。
ミックスの技術の高さとハイレゾならではの透明感・広がりの大きさで鳥肌が立ちそうになった。

・ホシノカケラ
音圧こそやや高めだが、ほどよいダイナミクスを感じさせるミキシングの工夫があるように思う。
アルバム全体にいえることだが、ボーカルを始めとして各パートに過剰なエフェクトを掛けておらず生の質感を大事にしている
ストリングスと打ち込みの親和性が非常に高いのはfhánaの持ち味だが、それをハイレゾで楽しめるのは幸せなことだ。

・約束のノクターン
towanaさんのコーラスは幻想的で音の粒子がとても緻密だ。
適度なツヤのあるストリングスは、キーボードとの調和もとれている。
高域がきつくなく耳に優しいナチュラル系。倍音が無理なく表現できているから違和感も少ない。
歌有りver'は生ドラムが入る。ベースとギター。本アルバム中、唯一のバンド編成だ。
空間表現にゴミゴミ感が無く、とてもすっきりとしている。CDだとのっぺりとしてしまいがちだ。
低音の引き締まってクリアな聴き心地は、96/24ネイティブならでは。結果としてうるさくなく聴き疲れが少ないのだ。

・春を待って ~Joyeux Noël!~。
打ち込みがグッと前に出て、ストリングスが後ろからを包むようにふわりと広がっている。約束のノクターンとはまた違った音作りだ。
歌有りver'では、打ち込みのリズム音が所狭しと舞い踊るが左右方向・奥行きともに窮屈さがなく、それぞれが独立してきちんと聞こえてくる。
ハイレゾになると打ち込み音は純度が上がり、音の形がよく見えるようになる。音場の広がりと合わせて立体的になるのだ。
これは聴いていて単純に楽しさが増す。フォーマットの違いが音楽の楽しさを増大させる。


・星屑のインターリュード
towanaさんのコーラスは声が可愛いのだが、幻想的な雰囲気も巧みに表現されていて驚かされる。
多重コーラスは解像感高く表現されており団子みたいにまとまっていない。適度に分離、しかしハーモニーは維持できている。
加えて前後感や密度の違いを駆使したミックスによって、より聞きやすくなっているのは見事である。
CDになると「どのくらい多重なのか」、あるいは「コーラス同士の前後感の違い」、といった要素までは描写しきれないこともある。
しかし、本ハイレゾ版では音楽の本来の意図を余裕を持って伝えてくれるのだ。


・天体のメソッド ~Quote from Stardust Interlude~
まず、歌詞が違う。
11話を見終えたあとに流れる専用EDであるこの曲は、
乃々香の思い、もっと広い意味では5人のノエルへの思いが表現されていて涙を誘う。
別れが辛くても大切な人を思う。自分たちの願いの次は貴方の願いの番だと、5人が葛藤や衝突の上にたどり着いた総意。
12話以降は、のえるの存在があまりにも大きかった乃々香(と汐音)が行動に出るわけだが、ひとまず本楽曲では11話のラストを拾った上での中身となっている。

towanaさんのボーカルは、ファルセットでは無い表の声でほとんどの高域を出し切っているように感じる。
あるいはファルセットを使っても、通常の声と大きな差異が無いように制御している。
声が割れていないのはプロのシンガーとして当たり前としても、この破綻の無い高音ボイスは驚異的だ。
ハイレゾではCDよりもコンプレッションが浅めになっていると思われ、ピーク歌唱時も不自然に押し潰している感じが無くナチュラルだ。
だからこそtowanaさんのボーカルの質の高さが際立ち、聞き手の僕らはその超絶技巧に酔いしれることができる。



以上です。

いかがでしたか?


これは私の主観的な感想ですので、全ての人に「このように感じられるはずだ」というモノではありません。
じっくりと聞き込み、確かに感じたことのみを記事にしています。
日々精進中の身ですので、一つの参考意見として捉えてもらえたらと思います。


ともあれ、ハイレゾ音楽の面白さが伝われば嬉しいです。

ハイレゾ再生は、対応ポータブルプレイヤーからはじまり、
ネットワーク対応のミニコンポ、専用ポータブルプレイヤー、対応AVアンプなどドンドン広がっています。
スマホにいくつか機材をくっつけることでそのクオリティーを手軽に楽しめるようにもなりました。対応スマホも続々発表されています。

パソコンにUSB-DACを付けてヘッドフォンやスピーカーで聴くというスタンダードな方法から、やはりオーディオはオーディオとして独立させたいという願いにも答えることができます。

ぜひ、音高音質音源の再生にチャレンジしてみてください!
音楽生活がもっと豊かに楽しくなることでしょう。