【更新】技術的な誤りがあったため、一部訂正しました。(8Kや4Kに関する部分) 3/25

 

去る3月17日。

「planetarian ~ちいさなほしのゆめ~」のプラネタリウム特別版の上映を観に郡山を訪れた。

場所は、郡山駅から降りてすぐ。

郡山ビックアイ最上階にあるプラネタリウム「宇宙劇場」だ。

 

まず申し上げると、このプラネタリウム上映はとても画期的である。

もともとプラネタリウムの映像作品といえば、ファミリー向けがメインだ。

例を挙げるとコナンとかゾロリとか妖怪ウオッチがある。小学生以下を対象とした家族で見られるコンテンツが多かったのだ。

そこに美少女ゲームが原作である、配信アニメがプラネタリウム版としてリメイクされて唐突に乱入。

プラネタリウムが作品内容に深く関わっているとは言っても、関係者の熟慮がどれほどの物だったかは想像に難くない。ビジネス的に成り立つのか、そもそも一般のお客様も来場するプラネタリウムの上映に適当なのか、等々…

制作に至る経緯は、以下の記事が詳しい。作品の概要と合わせてぜひ参照いただきたい。

 

・「planetarian」あの感動を"プラネタリウム"の全天映像で… プラネタリウム化を果たした制作スタッフが魅力を語る

http://animeanime.jp/article/2017/03/03/32796.html

 

福島行きは鈍行を使った。

東武線からJRに乗り換えて計4時間あまり掛けて郡山市に向った。

地元である浜松に4時間半掛けて帰省している筆者にしてみれば、この程度は余裕である。

黒磯駅でボーッとしていたら、折り返しで宇都宮に向う寸前だったなんてそんなトラブルはない。決して無い。 ←

 

行きは東北本線で郡山まで。(黒磯駅より)

 

駅前。まず東北の冷え込みにビビった。東京と比べて思ったより寒暖差がある。特に夜は寒い!

 

郡山ビックアイ。地上24階建て。建物の上部に入っている丸い物体がプラネタリウム。

 

少し早めに着いた筆者は、まず一般番組を堪能。

光学式プラネタリウム スーパーヘリオスによる星空を楽しんだ。

オーロラーを全天映像向けに撮影した「オーロラ旅行」がメインテーマ。

4Kで撮影された超美麗なオーロラのゆらぎと、現地に居る人々の歓声が生々しかった。

 

 

佐藤解説員の穏やかな声に耳を傾けながら、長旅で疲れた身体をゆっくり休めることができた。

これから訪れるファンは、光学式プラネタリウムの星空を楽しめる一般番組も合わせて見ておくことを強くオススメしたい。

 

 

五藤光学製のスーパーヘリオスはとても高精細だ。

ちょっと駆動音(排熱ファン)が大きめなのが気になるが、ギリギリ許容範囲といえよう。

宇宙劇場に導入されているシステムは「スーパーヘリオス・ハイブリッド」となっており、写真手前にあるJVC製の4Kプロジェクターを2台使用し、4Kクラスの全天ドーム映像を投影することができる(バーチャリウム2)。

なお、8Kクラスの全天映像を投影する場合は、同プロジェクターが8台必要になるそうだ。

スクリーンがシネマ向けのアスペクト比とは違う1:1であるため、設備も特別な組み合わせが必要になる。

 

各種オペレートを行なう操作盤。”星の人”も基本ここで解説を行なう。

 

ふれあい科学館のプラネタリウム「宇宙劇場」は、とあるギネス記録を保持している。

このパネルが科学館のどこかに掲示してあるから探してみて欲しい。

 

一般番組を見終えたら、planetarian 上映までしばらく時間が空いたので物販コーナーを見てみる。

 

 

planetarian のグッズが陳列されていた!

特に注目なのは、作品に登場した投影機であるイエナさん(「ツァイス・イエナユニバーサル23/3型」)を有する明石市立天文科学館のオリジナルグッズが販売されていること。これは暁光である。

 

ちゃんと「イエナさん」と表記してくれている。ファンとして喜びと感謝を覚えずにはいられない。

 

 

当日の投影スケジュール。一際異彩を放つplanetarian。

平日にもかかわらず、何人ものファンと思わしき男性を目撃した。

17時からの上映には、男性だけではなく成人女性や女子高生もいて驚いた。男女比は6:4くらい。

アニメはネット配信という形態を取ったことや普遍的なテーマを扱う作品性が評価されているのだろう。

 

開場直前は、10人程度の待機列。

観覧記念のオリジナルポストカードを受け取り中へ。

 

BGMはもちろんplanetarian 。

ドームには、各種お知らせが流れていた。

 

 

 

まず、上映開始前にニコ生にも出演された安藤解説員による挨拶。

作品の紹介やプラネタリウムならではのアナウンスがあった。

 

作品上映をスタートする前にスーパーヘリオスを使った星空投影が行なわれた。

光学式プラネタリウムによる星空が見られる貴重なパートだ。

BGMは安藤さんセレクトによる、「遥か空へ(星の舟 より)」

完璧な選曲センス!早くも筆者の涙腺は崩壊し、小粒の涙が零れる。

まだ作品が始まってもいないのに!

やるな、ふれあい科学館!

 

数分の星空投影の後、いよいよ本編上映。

スーパーヘリオスはお休み。

ここからはバーチャリウム2による4K相当の上映へと進む。

 

制作会社からHDDにて納品された映像データーは、あらかじめプラネタリウム用に「スライス」という工程を経る。

元になるデータは、「ドームマスター」と呼ばれる全天周180度の範囲を魚眼レンズで撮影したように平面上に展開した画像だ。(詳しくはここここを参照)

スライスされたデーターを8台のPCに取込んで同期再生を行なっている。

また、制作側の音響スタッフを公開直前に招いていっしょに音響調整も行なったらしい。

 

音声は、ドームのスクリーン内に仕込まれた全10個のスピーカーを効果的に使用していた。

雨音はきちんとリアサラウンドスピーカーから聴こえてくるし、セリフはセンタースピーカーから明瞭に再生され、

作品内の投影シーンはほぼ天井に位置するスピーカーから声が聴こえてくる。

そのどれもが適切なバランス、クリアな再生音で驚いた。

シネコンでは音が歪んでいたり、音場の透明感がイマイチな劇場が少なくないが、郡山の宇宙劇場は安心して楽しめるクオリティーだと感じた。(ちなみに筆者はオーディオライター、音響エンジニアである)

 

本編上映が始まると、全天投影とセンター投影の使い分けが見事なことに気付く。

(全天投影:360°見渡す限りの投影。シーンによっては後方の一部に映像がないときもある。 

センター投影:映画と同じような16:9の映像が目の前に適度な大きさで投影。目線を動かさなくてもよい画角)

全天投影は基本引きのカットのみ。顔の表情のアップは必ずセンター投影を使用している。

あまり目まぐるしく全天とセンターを切り替えてしまうと酔ってしまうので、絶妙なバランスで切り替えをしていた。

全天投影の際、画面が横にパンするシーンは、テレビや映画に比べて残像感がすごい。

これは視力の限界なのか、投影機材の性能の問題なのか分からなかった。ここは唯一惜しかった点だ。

 

ネタバレになるので、ストーリーの展開やどのシーンをカットして短くまとめたのかはここでは割愛する。

個人的には、よくあの時間でギリギリ矛盾なく物語をまとめてくれたと感動した。

屑屋の心境の変化などちょっと無理があるのは否定できないが、作品本編をフルで見たくなる上々の仕上がりだ。

特にゆめみ役の声優すずきけいこさんによる新録部分は、本編のあるシーンを一部差し替える形で披露される。

新録部分の使われ方は本編と調和しており、まったく違和感がなかった。実に見事だった。

その真相は、ぜひ宇宙劇場で確かめて欲しい。

春夏秋冬4編の新録を行なった理由もきっと理解できるだろう。

 

上映後は、安藤解説員としばし立ち話をした。

いろいろこぼれ話を伺いつつ、激励の言葉も掛けることができた。

あと数週間だが、残りの期間もステキな解説で上映を盛り上げてほしい。

 

 

あまりの余韻にしばらくエントランスで夜景を眺める。

なんだか名残惜しい気持ちになってしまった。

帰りの新幹線までおよそ40分。

今回の小旅行は駅前のアーケードくらいしか観光することができなかった。

松屋の店員(おばちゃん)がとても愛想良かったり、和菓子屋の店員がおまけで1個試食を袋に入れてくれたり、心温まる一幕もあった。

またいつかじっくり観光で訪れたい。

 

planetarian のプラネタリウム特別版。

初回上映の郡山は、客入りも好調だと伺っている。

ただ正直申し上げるならば、もっと盛り上がってもいいように思う。土日満席とか。

理由は一つ。第2、第3の上映館拡大へと続いて欲しいからだ。

何より我が地元、かつplanetarianの聖地である浜松科学館でやらないのはあり得ない。

(同科学館のプラネタリウムは4K上映システムなので、planetarianは上映可能なはず!  デジタルシステムはSKYMAX DSⅡ-R2)

 

planetarian のファンはもちろん、しばらくプラネタリウムを見ていないアニメ好きの方にはぜひ現地に足を運んでいただきたい。

最新のテクノロジーで進化したプラネタリウムは想像以上だ。

とっておきの非日常感を味わえることだろう。

 

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どうも、ハイレゾ音楽制作ユニットBeagle Kickの総合Pをやっております橋爪です。
フュージョンやニューエイジを中心に生演奏特盛りでM3や配信サイトで頒布中です。

ときどきフリーで音声関係の音響エンジニアをやってます。
WEBラジオや公開録音・トークライブなどで活動させてもらっています。


オーディオライターとして活動しています。
CDジャーナル2月号3月号ポタ音スタイル2017

DigiFi(デジファイ)No.2324でMQAの特集。来月頭に発売のNo.25でも取材記事が載ります。

 

ありがたいことにオーディオのお仕事が途切れずに続いており、なかなかBlogを更新することができません。

 

それでもハイレゾアニソンの感想は、どうしても続けたい。

理由はアニソンファンにいい音で音楽を楽しんで欲しいという一心です。

オーディオが素晴らしいから聴いて欲しいのではなく、いい音で聴くことは「大好きな音楽にもっと近づける文化的行為」だと信じているからです。

実用性や利便性が価値となるパソコンなどと比べ、オーディオは文化的な価値を内包していると思います。時代が変わっても滅びることがないのはこの一点に尽きます。

だから「手軽さもいいけど、良い音もね!」って言えるんだと思うのです。


では、楽曲紹介!

【楽曲紹介】
シングル名:
イシュカン・コミュニケーション

曲名:イシュカン・コミュニケーション
アーティスト:ちょろゴンず




フォーマット:96kHz/24bit or 32bit(FLAC/WAV)

 

fhánaの佐藤純一氏が作曲を手がける小林さんちのメイドラゴンEDテーマ。

声優が歌うテーマソングは、ハイレゾが登場するはるか以前から存在していたが、こんなにもいい音で楽しめる時代が来たことに幸せを感じる。

打ち込みによるデジタルポップチューンは特に低域の厚みと量感がリッチ。

96kHzによるボーカルのリアルさはさすがであり、コーラスも耳をくすぐるようだ。

声の躍動感は声優による豊かな表現力故だが、その熱演を余すことなく楽しめるのはハイレゾだからこそ。



【楽曲紹介】
シングル名:
ワタシノセカイ

曲名:ワタシノセカイ
アーティスト:中島 愛



フォーマット:48kHz/24bit(WAV/FLAC)

 

中島愛、約三年ぶりの復帰シングル。

フルバンドを引っさげて鮮烈なる復活を遂げた。これは聴かないわけにはいくまい。(キラッ☆!)

ボーカルがこの手のバンド曲では驚くほど生々しい。思わず音量を上げたくなるダイナミクスだ。

全てのパートが前へ前と押し出すようなサウンドメイキング。

まるでライブハウスで演奏されているようなグルーブが聴く者の高揚感を煽る。

96kHz制作だったらもっと良かったと思う。少し惜しい。

瀬尾公治氏の歌詞は、今一度音楽へと踏み出す彼女とリンクしていて実に尊い。

今度は疲れることなく、辛くなることもなく、“ワタシ”らしく音楽を続けて欲しいと願う。

 

 

【楽曲紹介】
シングル名:
Climber's High!

曲名:Climber's High!
アーティスト:沼倉 愛美



フォーマット:48kHz/24bit(WAV/FLAC)

 

熱い!熱すぎるロックだ!

攻撃的なミックス。荒ぶるドラム。しかし、マスタリングは生楽器の質感を残す仕上げとなっている。

特にギターアンプからマイクで録ったエレキの音は、空気感にゾクゾクすること必至。これが最終的な仕上げで殺されてしまう音源は少なくない。

沼倉愛美のソウルフルなボーカルを真のクオリティーで楽しむならハイレゾで聴くべし!

熱いビートに魂を持って行かれるだろう。

 

 

【楽曲紹介】
シングル名:
フェアリーテイル-Complete ver.-

曲名:フェアリーテイル

アーティスト:三月のパンタシア



フォーマット:96kHz/24bit(WAV/FLAC)

 

生ドラムの質感がとても豊かだ。バスドラのふくよかさは神がかっている。

キーボードとの合わせ技で音の厚みがとてつもない。音数の少なさにまったく負けていない。

みあのボーカルは透明感に溢れ、倍音成分も豊かだ。

平坦な歌い方のようでいて、静かに込められた感情が胸を打つ。

みあは声質を楽しむタイプのボーカリストだと感じた。

同人音楽が好きな方は、みあのような歌い手にハマってる方も多いと思う。

ボーカルのコンプがキツメなのが惜しい。声量のせいかもしれないが、少し残念。

3月には初のフルアルバムの発売が控えているそうだ。音質も含め期待したい。

 

 

【楽曲紹介】
シングル名:
Shiny Ray
曲名:Shiny Ray

アーティスト:YURiKA



フォーマット:96kHz/24bit(WAV/FLAC)

 

とても豪華な楽曲だ。まさにジャパニーズアニソン。ザ・王道。

ストリングスと生バンドの共演。これはミックスが大変だったのではないだろうか。

生楽器が多いと、周波数帯域の被り対策(マスキング)や空間表現の整理(奥行きや定位)が難しくなり高い技術を必要とする。

本楽曲では96kHzの情報量を生かし、広大な空間に多数の生楽器が配置され舞い踊っている。

音圧はストリングスに合わせたのか、控え目。その恩恵もあってドラムの躍動感も際立っている。

疾走感溢れる楽曲は、無数のスイッチやブレイクを駆使した巧みなアレンジでリスナーをグイグイ作品の世界観に引き込んでくれる。

音の説得力はハイレゾでこそ真価を発揮しているのは間違いない。CD版のみのファンはぜひ体験して欲しい。

なお、劇場版の主題歌「Magic Parade」も合わせて聴いておきたい。こちらも実に音がいい。

同人音楽やゲーム音楽でも活躍するMANYO氏が作曲とアレンジを手がけており、独自の音楽性がリトルウィッチアカデミアのサウンドを決定付けている。

TVアニメ版「リトルウィッチアカデミア」も明らかにMANYO氏の楽曲を意識しており、Magic ParadeのC/Wで参加したアレンジャー吉田穣がShiny Rayのアレンジを担当しているのも偶然ではないだろう。

MANYOファンとしては、本人がTV版の主題歌を担当しなかったのは残念だが、その系譜を意識してくれたことに嬉しさと感謝を覚えた。

 

 

以上です。

いかがでしたか?

これは私の主観的な感想ですので、全ての人に「このように感じられるはずだ」というモノではありません。
じっくりと聞き込み、確かに感じたことのみを記事にしています。
日々精進中の身ですので、一つの参考意見として捉えてもらえたらと思います。


現在までのアニメ系ハイレゾ感想記事はこちら……

 

のうりん挿入歌「コードレス☆照れ☆PHONE
ガルパンED Enter Enter MISSION!と1PLDK
「すぱそにっ♥(はぁと)」
「そにアニ オリジナルサウンドトラック」
「ハローグッバイ」歌:榊原ゆい
『「星刻の竜騎士」OP「聖剣なんていらない」/(榊原ゆい)』
『Anison Strings~弦楽四重奏で聴くランティスの歴史』
『僕らは今のなかで』『きっと青春が聞こえる』ラブライブ!
『「英雄伝説 閃の軌跡」サウンドトラック・オリジナルマスター』 前編後編
『閃光の行方 「英雄伝説 閃の軌跡Ⅱ」オープニングテーマ』
『軌跡 jdk アクースティックス』前編後編
『Beyond the Sky (日本語版)』
『「英雄伝説 閃の軌跡II」サウンドトラック・オリジナルマスター』
深窓音楽演奏会其ノ壱 
ソナタとインターリュード
UP↑ with Yuji Ohno & Lupintic Five
Aurora Days
いつかの、いくつかのきみとのせかい
『Blu-ray Audio版『Star!!』』
『『Wake Up, Best!』をワグナーと聴いてみた』
Hey World,恋は混沌の隷也,Go Fight!
DREAM SOLISTER,CANDY MAGIC
「英雄伝説空の軌跡FCEvolutionOST」「SAXES STREET」
Blu-ray Audio版『Shine!!
「Seize the day」「朝焼けのスターマイン」
「FIRST*MODE」
「BUONO!! BUONO!!」「ハルカナルトキノカナタへ」
ナイツ爆笑漫才スーパーベスト
「piece of youth」「『ガールズ&パンツァー 劇場版』OST」
「劇場版ラブライブ!OST」「I'll remember you」
MOMENT RING、虹を編めたら、Lovely Lovely Strawberry
「GOING PANZER WAY!」「和田貴史×NHK」
「Wake Up, Best!2」「サガオケ! 」
「ルンがピカッと光ったら」「うたたねサンシャイン 」
MQA版「GOING PANZER WAY! 」
「sunlight avenue」「GREEN ROAD」
「君の名は。」「イースVIII O.S.T」

「星の舟」「God Save The Girls」「サウンドスケープ」

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4月中旬の並みの暖かさに恵まれ、思わず上着を脱いだ2/17。
新宿バルト9にて、VvsS式ライブ上映による『COCOLORS(コカラス)』東京公演が行なわれた。
 
VvsS式ライブ上映とは、無声映画に声優とミュージシャンがその場で芝居と音楽を付けて観客に披露する上映方式である。
アニメーション制作会社の神風動画と声優事務所のマウスプロモーションが制作を担当する。
2016年10月9日徳島市で開催されたマチアソビvol.17にて1回限りの上映を行なったところ、大好評を博した。
そしてついに待望の東京公演(再演)が実現したわけだ。
 
キービジュアル
 
朗読劇でもない。舞台演劇でもない。
目の前で生の演技と演奏によって物語(ドラマ)が紡がれる。
しかし、映像はあらかじめ作られたアニメーション。
昨今では非常に珍しい上映方式だ。
朗読劇という音楽と生の俳優の芝居が織り成すステージがあるが、
COCOLORSは《演奏付き朗読映画》とでも言えばいいのか。
何とも形容しがたい催しである。
 
このCOCOLORS。
実は本Blogにも登場し、深いWUG愛を語ってくれた末弘由一氏が美術監督を務めている。
私は友人である末弘氏の活躍をひと目見るべく映画館に足を運んだ。
概要を振り返りつつ、音質面もレポートしたい。
 
COCOLORSは、人体を溶かす有害な灰が地上を覆ってしまった世界の物語。
人類は身体をマスクと防護服で覆い地下都市を造って暮らしている。
 
 
一見するとディストピア作品に見えるが、政治や環境問題へのメッセージは一切無く、ただそこで生きる人々を丁寧に描く。
物語が後半に進むに従って世界から色が失われていくのだが、最後に残った人々の行動や希望、切なる願いに「色」を感じられる。
そして、観客自身が己の心の「色」を再認識する。
少し哲学的な要素も込められた作品であった。
 
そもそも3DCGを多用した最新鋭のアニメ映画に、なぜこのようなアナログ要素が加わったのだろう。
生演奏と生芝居は、意図的に仕組まれたモノだったのか。
実はそうではない。
もともと昨年の徳島マチアソビで映像に音が間に合わなかったというのが発端だそうだ。
本来なら上映そのものがポシャるところだが、映像に生の演奏とお芝居を重ねて観客に披露したところ大変な好評を得た。
その後、関係各所の無理&無茶を乗り越える尽力により、東京公演に繋げることができたそうだ。
 
ポスターには当時の観客の絶賛と驚きの声が並ぶ
 
実際、ライブならではの化学反応は凄まじいものがあった。
芝居がこの場限りのキャッチボールなのはもちろんのこと、映像に合わせた演奏も芝居を盛り上げるように熱を帯び、さらに役者もそれを受けて魂を込める。
目立ったミスもなく、演奏・芝居共に完璧な東京初演を果たしてくれた。
 
6800円というチケット代は、映画としては破格だ。
舞台を見るような感覚でチケットを購入し、おっかなびっくり観に行ってみたら実に贅沢な時間を堪能させて頂いた。
当然のことながら二度と同じステージはない。
役者と奏者が観客と同じ空間を共有し、映像に命を吹き込む。
一発本番の50分弱は、夢のような現実。
空想の作品世界にドップリと浸かって、ここが映画館であることを忘れさせてくれるエネルギーがあった。
これは新たにスタジオ録音をしてBlu-ray化したとしても、決して再現不可能な感動だ。
東京公演が実現したこと自体に関係各所の尽力と執念を感じるし、観に行った自分もプレミアムな一夜を過ごせたことに幸福を覚えた。
関わった全ての方々に感謝を伝えたい。
美術監督である末弘さんには、直接会って「マジでGJ!」と笑顔で讃えたい。
 
終演後のアフタートークでは、将来の展開として興味深い発言があった。
役者と奏者を日によって変えることで、ロングラン公演ができるかもしれないというものだ。
(一部を除いて)表情の見えないキャラなので、それは十分に可能であるし、むしろ面白いと思う。
演奏に関しては、尺さえ合えばアレンジが変わってもいいだろう。
 
まさに新次元のエンターテインメント。
COCOLORSは観客の心に消えない色を残して二度と無い2日間を駆け抜けた。
今回だけで終わることなく、この奇跡のステージがどこかでまた続いてくれることを願わずにはいられない。
 
入場特典の版画はこの板によって1枚1枚刷られた。
 
《音質・音響面の感想》
筆者はオーディオライターなので、音の面からもコメントさせて頂く。
まず響きは映画館のためデッド気味だ。音楽を聴く空間としては非常につまらない響きであった。
その分、PAは楽曲の意図を正確に伝えるために綿密な音作りをしていた印象だ。
エフェクトやミックスは、無駄なくシャープに没入感を効果的に高める方向性でまとめられている。
 
役者の音声は、ノイズ切りなどの処理をしていないのでやや荒いが、それをかき消すほどの演技の気迫があってほとんど気にならない。
一方、複数のキャストが同時に喋るシーンでは、音量差をもう少し配慮してほしかった。何を喋ってるのか全く分からなくなる。
人間の脳は雑踏の中でも目的の音を聴き分ける能力を持っているが、PAを通すと難しくなると感じた。
 
演奏のダイナミクスは圧倒的だ。
生音に負けないよう、観客に向けた外音(PAスピーカーからの音)はある程度音量を上げる必要がある。
それでも音楽ライブの爆音に比べたら適切な音圧であり、躍動感はまさに劇伴のそれを越えていた。
 
SEはフユの意志疎通に使った笛を除いて、ほぼ全てがマニピュレーターからの再生だった。
Macが2台あったのは音楽用とSE用かもしれない。
音楽用は生楽器以外のパートを再生し、SE用は映像と同期してずっと流し続けることになる。
SEはハイレゾで作ったものだろうか。演奏に比べて、いかにも録音音源なので気になった。
おそらく48kHz/24bitではないだろうか。
最低でも96kHz/24bitで制作したSEであれば、音声や演奏と比べても遜色ない臨場感があったと思う。この点は非常に惜しい。
おそらく業務用のライブラリは48kHzなので、この作品のために全てのSEを96kHzで制作するのはハードルが高いと思われる。次回作に期待したい。
 
COCOLORSのような公演をビデオカメラで撮ってBlu-rayにすることは不可能だ。
やっても意味が無いと思われる。
では、音声や音楽をスタジオ録音してBlu-rayにすればいいのかというと、正直意図から外れると言わざるを得ない。
96kHz/24bitなどのハイレゾフォーマットで丁寧に制作しても、ライブで味わった感動を家庭で再現しようと思ったら、かなりのハイエンドシステムを徹底したセッティングで、ルームアコースティックも考慮しながら鳴らさないといけない。
おそらく不可能だ。オーディオの専門家なのに白旗を揚げるのは不本意ではあるが(苦笑)
 
だから、COCOLORSはライブでこそ真価を発揮できる。
ライブしか真の面白さは味わえない。
新次元の「行くしかないエンターテインメント」だ!
 
 
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