どうも、ハイレゾ音楽制作サークルBeagle KickのサウンドPをやっております橋爪です。
フュージョンやニューエイジを中心に生演奏特盛りでM3や配信サイトで頒布中です。

ときどきフリーで音声関係の音響エンジニアをやってます。
WEBラジオや公開録音・トークライブなどで活動させてもらっています。


現在までのアニメ系ハイレゾ感想記事はこちら……

のうりん挿入歌「コードレス☆照れ☆PHONE
ガルパンED Enter Enter MISSION!と1PLDK
「すぱそにっ♥(はぁと)」
「そにアニ オリジナルサウンドトラック」
「ハローグッバイ」歌:榊原ゆい
『「星刻の竜騎士」OP「聖剣なんていらない」/(榊原ゆい)』
『Anison Strings~弦楽四重奏で聴くランティスの歴史』
『僕らは今のなかで』『きっと青春が聞こえる』ラブライブ!


先日、アップした前半はいかがでしたでしょうか?

改めて打ち込み音源の判断の難しさを痛感しました。
生演奏主体の楽曲ですと、割とハイレゾとCDの差は分かり易いのですが、
今回は打ち込みの中でもゲームの世界観を壊さないよう制作されたBGMということで、けっこう難航しました。

それでも、DISC1~2を聴いてみて、だいたい共通して以下の3点が言えると思います。

①.周波数帯の広がりは高域で顕著である。低域も下に伸びているが、CD版との差は意外と小さい
②.平面的だった音場が三次元的な空間を感じられるように変化
③.一音一音が緻密で繊細で丁寧



低域については、CD版になると驚くほどカットされてしまっているケースがよくあります。
アニメのサントラなどで生演奏が多用されているソースでさえそうなのですから、アニソンなどは言うに及ばず。
超低域の出ないミニコンやCDラジオシステムなどでは差が分からないかもしれないのですが、なんか残念だなぁと。
だって、ハイレゾでもCDでも低域の再生周波数は下限20Hzで同じですから。
ミキシングのバランス上、CDでは低域を抑えるという話は聞いたことがありますね。
その観点では本作のCD版は、低域がある程度ちゃんと入ってるという印象でした。


さて、今回は後半ということでDISC3~4から6曲お送りします。

先に明言しておきます。
前回と同じような感想、言葉を使ってしまうことが多いと思います
しかし、できる限り該当の楽曲ならではの特別な違いを見つけられるようにがんばりました。

それでは、お読みくださいませ!



アルバム名:「英雄伝説 閃の軌跡」サウンドトラック・オリジナルマスター
Falcom Sound Team jdk[作曲]

販売:e-onkyo / mora
フォーマット:48kHz/24bit FLAC/WAV



Atrocious Raid
→列車砲の発射を阻止するために、仲間と力を合わせて要塞内を進む際に流れる楽曲だ。
緊迫感と同時に確かな希望も胸に熱くこみ上げる。情感を揺さぶる名曲。

・大幅に解像度が向上。それぞれの音が個別に立っており、音数の多さに負けていない
・空間の広がりが感じられる音場に変化。上下左右、かつ包囲感が加わった。リバーブの効果が忠実に再現できていると思われる
・ベースが引き締まり、クリアになって濁りも軽減されている


ダイニングバー《F》
→最初、Vitaで聞いたとき「全部生演奏!?」と思ってしまった。
実際は、生の質感を重視したサンプリング音源だったわけだが、ダイナミクスが広く、こういう曲がゲーム音楽に紛れているのはニクい演出だなとw
Theジャズバーという感じのクールで渋い楽曲だ。

・CD版で感じられた高域の頭打ち感がなくなり、劇的に空気感が改善した
・情報量が増えたことでサンプリングされた生楽器が実在感を増した
・生演奏っぽさが実際にはここまで作り込まれていたこと(特にドラムやギターの質感向上)には驚いた


Exceed!
→リィンが秘めたる力を初めて作中で解放するシーンで流れるバトル曲。
あまりのカッコよさに、セーブポイントを残しておき、何度も同じイベントを見ては楽曲だけをリピートして聴いていたのを思い出す。
とても熱い楽曲ではあるが、リィンの辛さや葛藤、激情といった複数の感情が同時に入り乱れているような奥の深さを表現しているように思う。

・生ギターのディテールが緻密でかつピュアに蘇った
・CD版の全体的に痩せたような音が肉厚で存在感を主張するエキサイティングな音に変化
・見通しの良さが改善したことで、ベースとバスドラの音が埋もれずにくっきりと定位し聴き取れる


明日を掴むために
→ラストダンジョンで流れる楽曲。ギターとバイオリンが生演奏だ。
生演奏が含まれる楽曲に多い特徴として、1ループがとても長い。
ダンジョンそのものが広大で探索に時間を要すだけに、何度聞いても飽きさせないドラマティックな構成になっている。

・生演奏の質感を残しているハイレゾ版は、一聴して素っ気ないように感じるが、
マスタリングを介さないピュアな音像はシリアス感や緊迫感を増大させているように思う
・音数の多さに抗うような解像度の高さと分離感でもって、ゴチャゴチャしたCD版を大きく超える緻密な音場を魅せてくれた
・奥行きが適切に表現されることで、ダンジョンの深さや広さを忠実に楽曲に反映させていることが分かった。よく聞くとそのバランスは絶妙!
CD版では奥行きがかなり曖昧であり、まるで前と後ろからぎゅっと圧縮されたようで、たいへんもったいない音場だった。


巨イナルチカラ
→事実上のラスボス曲。主人公たちは正体不明の黒い巨体と戦うことになる。
驚くべきことに、その巨体の正体は作中では明かされない。モンスターの名前からだいたい想像は付くのだが、投げっぱなしのEDは正直驚いた。
本物のソプラノコーラス(女性)・テナーコーラス(男性)は圧巻。
コーラスがゲーム音楽として打ち込みにマッチするようにミックスは細心の注意が払われているのが伺える。

コーラスの声がよりなめらかに、かつ緻密になった。高域側が特によく伸びており、ぼんやりとしていたCD版とは大きく説得力が向上
・分離感が高まり空間も広がったことで、壮大な音場を破綻無く描ききっている。CD版は、ある意味でオーバーフローしている印象だ
・多人数コーラスは、べったりと面になっていたCD版から音楽的な融合を残しつつも適度に分離し聞きやすく進化


I miss you
→衝撃のラストで流れるED主題歌。ギターのみ生演奏。
これはリィンに対しての思いを歌った曲だろうと思う。
誰か特定のキャラの心情というより、自分はⅦ組一人一人の気持ちなのではないかと解釈した。
この思いにリィンは閃の軌跡Ⅱでどう答えるのだろうか、楽しみで仕方ない。

・全体的に音場がスッキリとして、各楽器のディテールもより豊かになった。
・CD版は味気なくてまるで圧縮音源のよう。ハイレゾ版を聴くとその情報量の多さに思わずホッとしてしまった
・ボーカルは、息づかい、声の輪郭、情感、どれをとってもCD版とは比較にならないほどの再現度
・ボーカルのアタックと余韻が息を飲むくらい緻密に描写されており、まるで自分の部屋にコテカナが来てくれたよう!



終わりでございます!

ハイレゾ版の感想で前後編をやったのは初となります。
試聴にはとても時間が掛かりました。

だいたい夜10時以降はご近所様を考えて音量を出せないので、
昼間や夕方を選んでは試聴のたびに空調を止めて汗を溢れさせてやっておりました。

ぜひ読者の方には、打ち込みメインのゲーム音楽でもハイレゾの恩恵があることを知って欲しいです。
そして、ハイレゾ化により楽曲本来の音を楽しめる喜びを味わってもらいたいです。

CDでは抜け落ちている、あるいは曖昧になっている情報がそのままの形で聴ける。
それは時として、サウンドチームが楽曲に込めた制作意図まで気づかせてくれました

こんなに素晴らしいことはないじゃあ~りませんか。

末筆ながら、ファルコムのハイレゾ参入を心から祝いたいです。


以上です。

いかがでしたか?

これは私の主観的な感想ですので、全ての人に「このように感じられるはずだ」というモノではありません。
じっくりと聞き込み、確かに感じたことのみを記事にしています。
日々精進中の身ですので、一つの参考意見として捉えてもらえたらと思います。


ともあれ、ハイレゾ音楽の面白さが伝われば嬉しいです。


ハイレゾ再生は、対応ネットワークオーディオプレイヤーからはじまり、
ネットワーク対応のミニコンポ、専用ポータブルプレイヤー、対応AVアンプなどドンドン広がっています。
スマホにいくつか機材をくっつけることでそのクオリティーを手軽に楽しめるようにもなりました。対応スマホも続々発表されています。

パソコンにUSB-DACを付けてヘッドフォンやスピーカーで聴くというスタンダードな方法から、やはりオーディオはオーディオとして独立させたいという願いにも答えることができます。

ぜひ、音高音質音源の再生にチャレンジしてみてくださいね!
音楽生活がもっと豊かに楽しくなることでしょう。


ちなみにPCで聴くためのオススメソフトは、X-アプリです。
オーディオインターフェースやUSB-DACを付けたらWASAPI排他やASIOを「オーディオ出力設定」から忘れずに設定してくださいね!