2020年 おしまい | れぽれろのブログ

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美術、音楽、本、日常のことなどを思いつくままに・・・。

2020年も明日でおしまい。
毎年恒例、1年間の締めの記事を書いておきます。


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○コロナ

今年は何といってもコロナの年でした。
1月の新型肺炎発生のニュースに始まり、2月のダイヤモンドプリンセス号の顛末、2月下旬のWHOによるパンデミック宣言、3月からの国内の一斉休校と自粛ムード、欧米での急激な感染者の増加、4月の緊急事態宣言と、春先からの一連の流れは印象深いです。
5月ごろにはなんとなくウイルスの特性が明らかになり、一旦感染者も減ったこともあって緊急事態宣言は解除となりましたが、夏の感染第2波を経て晩秋から第3波が到来し、現在も予断を許さない状況。
欧米に比べると東アジアは極端に死者が少ないですが、その要因は今のところ謎。来年もおそらく引き続きコロナを巡って大荒れの年になることが予想されます。

2020年は戦後75年、敗戦から3度目の4半世紀の年ということで日本にとって節目の年、前回の四半世紀である戦後50年(1995年)が阪神大震災とオウム事件という大きな年として記憶されることとなったのと同様、2020年はやはり重要な年として記憶されることになると思われます。
これは日本のみならず世界史レベルの問題で、人類による自然環境の変化が新型ウイルスの出現頻度を加速させているという指摘はおそらく妥当、これは人新世(ハラリ)の問題であり、環境の臨界(見田宗介)の問題である。
見田宗介さんの人口ロジスティック曲線の考え方に沿うと、新型コロナは明確に高原期における修正ロジスティック曲線(世界人口が臨界に達した後に何らかの理由で一時的な人口減少に陥る)の一曲面の表れと解釈するのが妥当。(参考記事 → [現代社会はどこに向かうか/見田宗介]
脱炭素を含めた自然環境の保全は必達、これは経済と環境をバーターとするなどという問題ではなく、環境に配慮し欲望を我慢するなどという問題でもない。重要なのはおそらく環境に負荷を与えない形に人間の欲望を書き換えることであり、これは既に進行しており、それはそんなに不幸なことではないというのが自分の予測です。

幸いながら新型コロナは現在のところ致死率が低いウイルスですが、それ故に無症状者のウイルス散布・症状発生前のウイルス散布が1つの特徴であるため、普通に考えると弱毒化しにくい。

なので集団免疫のようなものが獲得されるのかもよく分からない。免疫系を撹乱するウイルスのため、単なる風邪のウイルスとは異なり、後遺症の問題も含め予後のこともまだまだわからない。
来年も、重症者の増加と医療機関を巡るトラブル、ワクチンを巡るトラブル、経済を巡るあれこれ、オリンピックを巡っての一悶着、消費と労働の変化など、様々な出来事が予想されますが、こういった変化のしわ寄せを被るのはいつの世も社会的弱者であるため、何をおいてもこの対策を優先することに期待したいです。


○生活の変化など

さて自分はというと、やはり細かい部分でコロナによる生活の変化がありました。
緊急事態宣言による変化についてはこちらの記事(→ [コロナ下の生活・社会(2020年3月~5月)] )に書いた通りですが、これ以降も人が密集する場所はできる限り避けるなどの行動の変化は継続しています。

今年の一番の変化は食料・日用品のストックです。
自分は食料も日用品もだいたい「なくなったら買う」という考え方でしたが、3月のマスク・ティッシュ・トイレットペーパー不足以降、常に1パックをストックするという方針に切り替えました。
これらのみならずその他の日用品、歯ブラシ、歯磨き粉、石鹸、シャンプー、タオル、下着、各種洗剤や清掃具、カセットコンロのガス等に至るまで、軒並み1セットを余分にストックするようになりました。
食料品についても、パックのごはんやパスタ、各種インスタント食品や冷凍食品、水・お茶・野菜ジュースに至るまで、余裕を持ってストックするようになり、生活にバッファができました。
食料品については定期的に消費する必要があるため、食生活は外食だけではなく、定期的にインスタント食品や冷凍食品も食べるようになりました。最近の冷凍食品は一昔前に比べて驚くほど美味しくなっており、食品加工の技術の進歩にも今更ながら気づいています。
社会の教科書に載っているオイルショックの時代のトイレットペーパーの不足など、集団心理が蒙昧な時代の事象などとバカにして(笑)いましたが、人類は全く進歩していない(笑)ことを今年はまざまざと見せつけられ、やはり生産や物流が発達した現在でも、家庭での一定のストックは必要なのだと改めて感じたのが今年でした。

あと、驚くべきことに、今年の2月以降自分は一度も風邪をひいていません。
毎年だいたい年に2~3回、季節の変わり目には必ず風邪をひいていましたが、人込みをできるだけ避け、マスクをし、手洗いや消毒を行うなどすると、人間は風邪をひきにくくなるということに気付きました。これも今年の一つのびっくりポイント。
来年も引き続き感染対策を続けることになりますが、定期的に風邪をひいた方がいいという説は昔からよく聞く話で、東アジア人は定期的にコロナ風邪にかかっているため新型コロナで重症化しないなどという説もあり、将来的にこの状態が本当にベストなのかどうかは微妙なところです。


○趣味

年末恒例の今年の趣味のまとめ。

コロナ以降は人ごみを避けるため、演奏会には行かなくなり(行けなくなり)、今のところ2月の関西二期会の公演が最後の演奏会(→ [歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」&「道化師」] )になってしまっています。
美術館も1月の建築の展示(→ [インポッシブル・アーキテクチャー - 建築家たちの夢] )を最後にほぼいかなくなりましたが、どうしてもこらえきれず(笑)、6月以降も、東京富士美術館主催のフランス絵画展(→ [フランス絵画の精華-大様式の形成と変容] )、ベトナムの現代美術家ヤン・ヴォーの展示、ロンドンナショナルギャラリー展(→ [ロンドン・ナショナル・ギャラリー展] )は鑑賞しています。
どれも印象深いですが、1つあげるならやはり有名作家が並ぶロンドンナショナルギャラリーでしょうか。現代美術も良いですが、最近は気持ち的に古典に回帰しています。

旅行についてはコロナもあって一度も行けず。年間に一度も宿泊旅行をしなかったのは、当ブログ始まって初めてのことだと思います。
その代り、今年は近場をやたらとウロウロしていました。私鉄沿線の神社仏閣、船場のレトロ建築、数字のある地名、大阪市の東西南北の端っこ、地図記号の「記念碑」など、様々な目標を定めて訪れるお散歩を継続しました。
古地図や国土地理院地図を参照しながら歩くのは以前の記事にも書いた通り。あちこちを巡り歩き、現在さながらお散歩マスターと化しています 笑。
記事化していないお散歩もあり、とくに今年は後半から神戸方面の街歩きが増えているのですが、これも一部しか記事にしていないので、そのうちまとめようかなと思っています。

その他、今年は昭和歌謡や落語を集中的に鑑賞したり、比較言語にハマったり、
今昔マップon the webやKH Corderなどのソフトで遊んでみたりしたのも思い出深いです。

毎年(なぜか)年末に書いているゲンロン関係について。
今年もゲンロンカフェの動画をたくさん鑑賞しました。3月以降コロナのせいもありゲンロンカフェは無観客状態になりましたが、現在その分動画の収録時間は長くなっています。
一部は上のコロナ下の生活の記事でも書きましたが、6月以降に面白かったものとしては、笹岡由梨子さんと上田洋子さんの対談「原始、すべては関西であった」は、大阪人としてはなかなか興味深い内容で、首都圏だけでなく地方都市を考える方向性にも期待。
あと、ゲンロン11の東浩紀さんの論考(→ [ゲンロン11 悪の愚かさについて2、あるいは原発事故と中動態の記憶] )に対する応答としての國分功一郎さんと東浩紀さんの対談も興味深く、中動態と責任の話は大変重要。(自分の考えでは中動態はフロイトのエス-自我-超自我モデルで言うところの自我・超自我が欠損している状態で、ケア的な思考としては有効な考え方だが近代的な主体と責任を考える上ではこれだけではまずい。自分なりにさらに抽象的に拡張すると、この世界においては神は中動態的であり責任を取らないので、人が責任を引き受ける社会の構築が必達。)無観客だとお酒が回りやすく意外なトークが聞ける、國分功一郎さんの意外な趣味なども聞けて面白い内容でした。

ゲンロンは今年新たな動画プラットフォーム「シラス」を開設し、今後様々な文化人のチャンネルが開設される予定なのだとか。
自分は辻田真佐憲さんの著作のファンですので、さっそく辻田チャンネルに入会し、毎週動画を鑑賞しています。
シラスはコメント機能で動画配信者とコミュニケーションをとれるのが面白く、好きな書き手と直接対話できるのはたいへん魅力的、かつシラスは動画配信者への収益配分も大きいと聞きますので、コロナ後の文化の在り様を考える上でも重要なプラットフォームになりそうです。


○思い出の記事

今年の記事をふり返ってみて、とくに思い出深い記事、自薦マイベスト記事(笑)は以下の2つです。

・NHKみんなのうた「さっさか大阪」の現在地を訪ねる
https://ameblo.jp/0-leporello/entry-12625986981.html

・人生のベスト25冊 -れぽれろの作り方-
https://ameblo.jp/0-leporello/entry-12622649940.html

「さっさか大阪」の記事は、今年のお散歩記事の中で準備も含め一番時間がかかっており、映像から場所を特定し、映像の画面をキャプチャーの上、現地で確認しながら映像に合うように写真を撮るという、なかなか凝ったことをやっています 笑。
ついでに思い出話を書くと、この記事では写真撮影の際にできるだけ映像と写真の角度も合わせるようにしていますが、最後の桜宮橋は映像と写真の向きが左右逆になっています。これは実はちょうど撮影したいスポットで警官が歩行者に職務質問をしており、なかなか終わらないので仕方なく逆側から撮影したものです。(実は警官に不審に思われないかヒヤヒヤしながら撮影しています 笑。)

人生のベスト25冊もチョイスするのが楽しい記事でしたが、選に漏れた本の中にも重要な本はたくさん。
とくに旧約聖書の「ヨブ記」を入れ忘れていたのが痛恨のど忘れ。あれだけヨブ記ヨブ記と繰り返し記事にしておきながら、完全に忘れていました 笑。
これは本棚の本を見ながらチョイスしたことが原因、旧約聖書は現在クローゼットの奥にしまい込んでしまっているため、選に漏れてしまいました。



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以上、今年1年の振り返りでした。

最後に追加で個人的なことを書くと、今年は世間的にはコロナが大変な年でしたが、個人的には良い年でした。
自分は昨年が本厄で、今年は後厄の年で、厄は一旦終わりとなります。厄年などというものは神社仏閣が資金調達目的で近代に強化したお祓い機能のようなものですが、振り返ってみると意外とバカにしたものでもなく(笑)、昨年から今年の前半は本当に大変な状況でしたが、今年は後半から尻上がりによくなり、厄が過ぎていく感じを実感。後で振り返ると、今年は後々かけがえのない年として記憶されることになるかもしれません。

もはや誰も覚えていないと思いますが、自分は昨年の年末に「来年は変化の年になる」と書いています。これは実は転勤になることを見越しての記載だったのですが、案の定転勤を通告され、さんざん悩みましたが、今後の人生を見据えて転勤は拒否し、再度転職することにしました。この結果直近1ヶ月ほどは諸々ずいぶん楽になっており、年明けからしばらくはお休みモードに入ります。
5年前に転職し今の企業に再就職、なかなかヘビーな職場環境で過ごし、5年前当時の記事には「とりあえず2年続ける」と書いていますが、結果5年もよく頑張ったなという感じ。幸い金銭的には相当余裕ができたので、今度は年収目当てではなく、のんびりと適職を考えたいなと思っているところです。


ということで、当ブログにアクセス頂いている皆さま、本年もありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願い致します。
すべての方々、大切な方々に感謝。
幸せを明日に・・・良いお年をお迎えください。