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ご訪問ありがとうございます。
その前の話 その1 その2 その3 その4 その5 その6 その7 その8 その9 その10 その11
ふるふると少女のまつ毛が揺れる。
その黒い瞳に映るのは、漆黒の黒。
「蓮さま・・・」
「キョーコ、行こうか」
バサバサッ、黒い翼が空へ向けて広がる、キョーコは、蓮の腕(かいな)に抱かれ、江戸の上空高くを飛んでいる。
「久しぶりの夜の散歩だね」
蓮がのんき言います。
「あ、うんさまは?」
「私の胸で、お休みだよ。月が隠れいてる間は、しばらく、空の散歩を楽しもう」
「はい」
昔、月が二つ空に浮かんでいた。
二つの月と地球は、一緒に太陽の周りをまわっていたんだ。
「蓮さまは、本当は、どうされたいのですか?」
「あるがままに、なすがままにかな」
「蓮さまは、セツが帰ってくると約束されました」
「ああ、だから今夜、セツは帰ってくる」
まん丸い月が、雲間からのぞきます。
「行くよ」
「はい」
***
江戸城、中奥の将軍寝所で、鳥と少年は、最後の夢を見ていた。
柔らかで優しくて、夢のような世界の中に二人はいた。
何重にも張り巡らせた結界に、さらに強い結界を、彼はかけた、金の篭という。
ぐわーん、衝撃が二人を襲う。
見えない光が、彼の結界を切り裂いたのだ。
少年は、明り取りの格子戸を明け、空を見上げた。
黄金の獅子と白銀の狗が見えました。
「あ・うん?そうか、満月、その力を利用したのか」
少年は、再度結界を張ろうと試みます、ですが、見えない力に跳ね返されます。
「無理だよ、君の力では、もう修復できない」
少年の頭の中に、蓮姫の声がこだまします。
少年は振り返り、鳥さんを抱きしめました。
「嫌だ、嫌だ、嫌だ」
白い手が少年の額を優しく撫でます。
キュルル、鳥が優しくないました。
「大丈夫、俺は、君を離さない」
少年が笑むと、鳥さんも優しく笑った。
別れの時は、もうすぐ。
つづく その13
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ふるふると少女のまつ毛が揺れる。
その黒い瞳に映るのは、漆黒の黒。
「蓮さま・・・」
「キョーコ、行こうか」
バサバサッ、黒い翼が空へ向けて広がる、キョーコは、蓮の腕(かいな)に抱かれ、江戸の上空高くを飛んでいる。
「久しぶりの夜の散歩だね」
蓮がのんき言います。
「あ、うんさまは?」
「私の胸で、お休みだよ。月が隠れいてる間は、しばらく、空の散歩を楽しもう」
「はい」
昔、月が二つ空に浮かんでいた。
二つの月と地球は、一緒に太陽の周りをまわっていたんだ。
「蓮さまは、本当は、どうされたいのですか?」
「あるがままに、なすがままにかな」
「蓮さまは、セツが帰ってくると約束されました」
「ああ、だから今夜、セツは帰ってくる」
まん丸い月が、雲間からのぞきます。
「行くよ」
「はい」
***
江戸城、中奥の将軍寝所で、鳥と少年は、最後の夢を見ていた。
柔らかで優しくて、夢のような世界の中に二人はいた。
何重にも張り巡らせた結界に、さらに強い結界を、彼はかけた、金の篭という。
ぐわーん、衝撃が二人を襲う。
見えない光が、彼の結界を切り裂いたのだ。
少年は、明り取りの格子戸を明け、空を見上げた。
黄金の獅子と白銀の狗が見えました。
「あ・うん?そうか、満月、その力を利用したのか」
少年は、再度結界を張ろうと試みます、ですが、見えない力に跳ね返されます。
「無理だよ、君の力では、もう修復できない」
少年の頭の中に、蓮姫の声がこだまします。
少年は振り返り、鳥さんを抱きしめました。
「嫌だ、嫌だ、嫌だ」
白い手が少年の額を優しく撫でます。
キュルル、鳥が優しくないました。
「大丈夫、俺は、君を離さない」
少年が笑むと、鳥さんも優しく笑った。
別れの時は、もうすぐ。
つづく その13