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ご訪問ありがとうございます。
その前の話 その1 その2 その3 その4 その5 その6 その7
闇色の世界
彼は、憎悪した、全てを
そして囚われる
江戸城、将軍である彼は、まだ、数えで八歳だった。
「暗いよ、怖いよ」
泣いて叫ぶけど、乳母も、母も来ない。
「おいで」
誰かが、呼んだ。
優しい声だった、幼き彼は、その声に誘われるがままに、その声の方向に向かった。
白い手だった、その手は冷たくて、額を撫でられると、とても気持ちが良かった。
「気持ちいい」
「良かった」
白い顔したその女(ひと)が笑った、少年も笑った。
***
下屋敷は、七夕だったので、みんなでどぶさらいをした。
下屋敷といっても、それなりに下働きの人間も居住しているのだ、彼らにとっても、臨時収入になるのだ。
みなきりきり働いた、朝顔が朝露を含み、美しかった、そんな日である。
奥の蓮姫さまの室の前の廊下で、キョーコは狛犬と遊んでいた。
むくむくした仔犬は、かわいい、夏の暑さにもぐったりせず、彼らは元気だった。
「キョーコ、仔犬ばかりでなく、俺にもかまって」
「姫さま、言葉がおのこになってます」
「誰もいない」
「障子に、何とかですよ」
「この棟は、人払いしてあるから、大丈夫だよ」
「ダメです!妖しを使う者もいるのですから、油断大敵です」
「それこそ願ったりだ」
「蓮さま?」
ウスバカゲロウが二人のやり取りをみていました。
***
「どうして彼だけが・・・」
闇に囚われ、その能力を得た彼は、同じような境遇のものを探した。
見つけた、彼なら、でも、彼は、俺だけどうして。
壊せと、どうして、そんなに軽やかに笑っていられる、憎悪した。
だから・・・
つづく その9
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彼は、憎悪した、全てを
そして囚われる
江戸城、将軍である彼は、まだ、数えで八歳だった。
「暗いよ、怖いよ」
泣いて叫ぶけど、乳母も、母も来ない。
「おいで」
誰かが、呼んだ。
優しい声だった、幼き彼は、その声に誘われるがままに、その声の方向に向かった。
白い手だった、その手は冷たくて、額を撫でられると、とても気持ちが良かった。
「気持ちいい」
「良かった」
白い顔したその女(ひと)が笑った、少年も笑った。
***
下屋敷は、七夕だったので、みんなでどぶさらいをした。
下屋敷といっても、それなりに下働きの人間も居住しているのだ、彼らにとっても、臨時収入になるのだ。
みなきりきり働いた、朝顔が朝露を含み、美しかった、そんな日である。
奥の蓮姫さまの室の前の廊下で、キョーコは狛犬と遊んでいた。
むくむくした仔犬は、かわいい、夏の暑さにもぐったりせず、彼らは元気だった。
「キョーコ、仔犬ばかりでなく、俺にもかまって」
「姫さま、言葉がおのこになってます」
「誰もいない」
「障子に、何とかですよ」
「この棟は、人払いしてあるから、大丈夫だよ」
「ダメです!妖しを使う者もいるのですから、油断大敵です」
「それこそ願ったりだ」
「蓮さま?」
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***
「どうして彼だけが・・・」
闇に囚われ、その能力を得た彼は、同じような境遇のものを探した。
見つけた、彼なら、でも、彼は、俺だけどうして。
壊せと、どうして、そんなに軽やかに笑っていられる、憎悪した。
だから・・・
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