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その前の話 その1 その2 その3
「レイノ様、本日は、登城の日です。お支度を」
「うむ」
レイノは、父が幕府の要職についていたので、暇で重要な職に就いていました。
お城で、彼は、カインに会います。
「やあ、君の妹は息災かい。秋に婚姻が整えば、俺が君と義兄弟になる、嬉しいよ」
レイノの嘘つき、彼は、蓮姫がおのこと知っている。
「ずっと離れて暮らしているが、可愛い妹なんだ。よろしく頼むね」
「婚姻の席まで顔を合わせなのが、世の習いとは言え、宴席の折にでも、垣間見れないなんて、残念だ」
「こっそり忍んでくればいい、婚約者なんだから、歓迎されるさ」
「君は、本当にそう思っている?」
「妹は、君のものだ」
カインは、にっこり笑って、適当にレイノを交わすと、広い江戸城のいずこかへ消えました。
「カイン、君は、何を企んでいるんだい?俺に、君の家を潰させる機会を与えて」
くすくす、レイノは妖しく笑みました。
下屋敷では、蓮姫さまの指図で何やら、みな大忙しで働いています。
「蓮姫さま、よろしいのですか?」
「何が?」
「中屋敷にある、殿さまが大事にしている茶室の移築など、どんなお咎めがあるやら」
「父の了解は、とってある」
「それならいいんですけど」
中老の椹は、ふかーいため息を吐きました。
父である殿も何を考えていらっしゃるのか、蓮姫は、れっきとしたおのこでらっしゃる、いずれは御身を明らかになさり、役目をお与えになると思っていたのに。
カコーン、とんちんかんかん、茶室が出来上がって行きます。
頭領である男が、姫様の元に蒼い顔をしてやってきます。
「姫さま、とんでもねえ仕掛けがあるのを、ご存じですか?」
「いくつあったの?」
「それが、天井に二つ、床に三つ、壁に二つほど見つけました、ですが、もっとありそうです」
「面倒だから、そのまま、以前のままに、建ててくれればいい」
「面倒って」
にっこり、優しく笑んではぐらかす蓮姫でした。
「椹、何か連絡はあった」
「いえ、何も。どなたか、訪いがあるのですか」
「そろそろだと思うんだけどね」
蓮姫は、キョーコを伴って庭で、朝顔を眺めていました。
「萎れちゃいましたね」
「お昼だしね」
風の色が変わりました、空から、白いもの姫さまを目指して飛んできました。
「キョーコ、丁重にお迎えして」
「はい、どちら様なんでしょう?」
「狗神さまだ」
つづく その5
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![Kierkegaard](https://stat.ameba.jp/user_images/20110730/16/perorin2/ea/95/j/t02200293_0600080011383238102.jpg?caw=800)
「レイノ様、本日は、登城の日です。お支度を」
「うむ」
レイノは、父が幕府の要職についていたので、暇で重要な職に就いていました。
お城で、彼は、カインに会います。
「やあ、君の妹は息災かい。秋に婚姻が整えば、俺が君と義兄弟になる、嬉しいよ」
レイノの嘘つき、彼は、蓮姫がおのこと知っている。
「ずっと離れて暮らしているが、可愛い妹なんだ。よろしく頼むね」
「婚姻の席まで顔を合わせなのが、世の習いとは言え、宴席の折にでも、垣間見れないなんて、残念だ」
「こっそり忍んでくればいい、婚約者なんだから、歓迎されるさ」
「君は、本当にそう思っている?」
「妹は、君のものだ」
カインは、にっこり笑って、適当にレイノを交わすと、広い江戸城のいずこかへ消えました。
「カイン、君は、何を企んでいるんだい?俺に、君の家を潰させる機会を与えて」
くすくす、レイノは妖しく笑みました。
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下屋敷では、蓮姫さまの指図で何やら、みな大忙しで働いています。
「蓮姫さま、よろしいのですか?」
「何が?」
「中屋敷にある、殿さまが大事にしている茶室の移築など、どんなお咎めがあるやら」
「父の了解は、とってある」
「それならいいんですけど」
中老の椹は、ふかーいため息を吐きました。
父である殿も何を考えていらっしゃるのか、蓮姫は、れっきとしたおのこでらっしゃる、いずれは御身を明らかになさり、役目をお与えになると思っていたのに。
カコーン、とんちんかんかん、茶室が出来上がって行きます。
頭領である男が、姫様の元に蒼い顔をしてやってきます。
「姫さま、とんでもねえ仕掛けがあるのを、ご存じですか?」
「いくつあったの?」
「それが、天井に二つ、床に三つ、壁に二つほど見つけました、ですが、もっとありそうです」
「面倒だから、そのまま、以前のままに、建ててくれればいい」
「面倒って」
にっこり、優しく笑んではぐらかす蓮姫でした。
「椹、何か連絡はあった」
「いえ、何も。どなたか、訪いがあるのですか」
「そろそろだと思うんだけどね」
蓮姫は、キョーコを伴って庭で、朝顔を眺めていました。
「萎れちゃいましたね」
「お昼だしね」
風の色が変わりました、空から、白いもの姫さまを目指して飛んできました。
「キョーコ、丁重にお迎えして」
「はい、どちら様なんでしょう?」
「狗神さまだ」
つづく その5