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ご訪問ありがとうございます。
その前の話 その1 その2 その3 その4 その5 その6 その7 その8 その9 その10
蓮姫さまが憂えているのは、鳥さんのことである。
鳥さんは、この日本(ひのもと)に連れてこられて、その羽の美しさから剥製にされ、とある大名家に納められました。
その城は、戦火に焼かれ、鳥さんも灰になりました。
珊瑚の産卵する夜、灰から一筋の光が、天を目指しました。
太平の世に、鳥さんは目覚めました。
虹の羽をもつ鳥さんは、恋しい夫(つま)を探します。
「見つけた、あなた」
大きなお城に住まう少年の元へ飛んでいきました。
闇の中に、もがいている光、鳥さんは優しく抱きしめました。
「会いたかった、あなた」
鳥さんと少年は、そのときから仲良く暮している、空を見上げ、街を見下ろし、海を眺めた。
少年は、城に結界を張った、鳥さんを逃がしたくなくて、誰にも見せたくなくて。
蓮姫は、過去視から戻ると、あ・うんを呼んだ。
キョーコに抱かれる二匹の狛犬は、ぴょーんと飛ぶと、くるりと反転し変化した。
おおきな獅子と狗が現れました。
「拙者らの出番でござるな」
「神の眷属である貴方たちでないと、あの結界は破れません」
「そなたでも無理なのか?」
「彼は、血がぎゅっと凝縮されてますからね。今晩は満月です、月の力を借りて、一気に開きましょう」
「うむ、今宵のためにしばし休むとするか」
お二方は、ちいさな文鎮に変化し、蓮姫は、やさしく握るとと懐にいれました。
「蓮さま、今夜なのですね」
「キョーコ、御庭番もいるから充分に注意してね。俺がいるから、安心かな」
「蓮さまも、行かれるのですか?」
「理由があるからね」
蓮姫は、文机に向かうと、紙にさらさらと書きつけると、鶴を折りました。
掌に載せた鶴をふっと吹くと、それは空高く飛んでゆきました。
「鴉の人への文ですか」
「ああ、キョーコ、セツは今晩帰ってくる。ずいぶん離れ離れになってすまない」
「蓮さまのせいでは、ありません」
蓮姫は、キョーコを抱き寄せました。
蓮姫は、「俺のせいなんだ、全部」、そう心の中でつぶやきました。
つづく その12
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蓮姫さまが憂えているのは、鳥さんのことである。
鳥さんは、この日本(ひのもと)に連れてこられて、その羽の美しさから剥製にされ、とある大名家に納められました。
その城は、戦火に焼かれ、鳥さんも灰になりました。
珊瑚の産卵する夜、灰から一筋の光が、天を目指しました。
太平の世に、鳥さんは目覚めました。
虹の羽をもつ鳥さんは、恋しい夫(つま)を探します。
「見つけた、あなた」
大きなお城に住まう少年の元へ飛んでいきました。
闇の中に、もがいている光、鳥さんは優しく抱きしめました。
「会いたかった、あなた」
鳥さんと少年は、そのときから仲良く暮している、空を見上げ、街を見下ろし、海を眺めた。
少年は、城に結界を張った、鳥さんを逃がしたくなくて、誰にも見せたくなくて。
蓮姫は、過去視から戻ると、あ・うんを呼んだ。
キョーコに抱かれる二匹の狛犬は、ぴょーんと飛ぶと、くるりと反転し変化した。
おおきな獅子と狗が現れました。
「拙者らの出番でござるな」
「神の眷属である貴方たちでないと、あの結界は破れません」
「そなたでも無理なのか?」
「彼は、血がぎゅっと凝縮されてますからね。今晩は満月です、月の力を借りて、一気に開きましょう」
「うむ、今宵のためにしばし休むとするか」
お二方は、ちいさな文鎮に変化し、蓮姫は、やさしく握るとと懐にいれました。
「蓮さま、今夜なのですね」
「キョーコ、御庭番もいるから充分に注意してね。俺がいるから、安心かな」
「蓮さまも、行かれるのですか?」
「理由があるからね」
蓮姫は、文机に向かうと、紙にさらさらと書きつけると、鶴を折りました。
掌に載せた鶴をふっと吹くと、それは空高く飛んでゆきました。
「鴉の人への文ですか」
「ああ、キョーコ、セツは今晩帰ってくる。ずいぶん離れ離れになってすまない」
「蓮さまのせいでは、ありません」
蓮姫は、キョーコを抱き寄せました。
蓮姫は、「俺のせいなんだ、全部」、そう心の中でつぶやきました。
つづく その12