1382話:「死生観」資料の宮川先生論考のすばらしさ。 | 院長の徒然なるままに。

1382話:「死生観」資料の宮川先生論考のすばらしさ。

昨日は思いのほか楽な一日でした。

しかして私はものすごく疲労(爆)。

新作コンテンツ充実のために目を酷使した罰ですね。


結局報道ステーションのはじまる前まで頑張ってしまいました。

そして朝、地震があったり台風が近づいていたりで
なんだか寝不足だなあと思いながら起床して
丹塾「臨床死生観考」を読み進めていました。

昨日まで読んでいたのは

東京有明医療大学 保健医療学部鍼灸学科助教の
高梨 知揚先生のシンポジウム発言部分。

今朝から

日本内経医学会会長の
宮川 浩也先生の部分を。

宮川先生とは深くお話ししたわけではないのですが
学校の講師控え室で休み時間などに談笑させて頂いたのです。
勿論丹澤先生のお近くにおいででしたから、
何かと不肖私の事にもお気遣い頂いたのです。

古典の資料から大変有益な情報を見つけ出され、
そのコピーを下さったり、それはそれはありがたかった。

さて、
その宮川先生のシンポジウム発言部分。

これが素晴らしい。

少し引用しますね。

「東洋医学の死生観とタイトルをつけましたけれども、
東洋医学独自の死生観はないようです。医学古典を読んでも、
あの世はどうなっているかという話は全然載っていません。
どちらかというと、病気になったらどう診断して、
どう治療するかは書いてありますが、あの世については
書いていないようです。あの世についてかいてあるのは、
儒家思想、道家思想、神仙思想、道教、仏教などでありますので、
これらを題材にしたいと思います。」


そうです。
医学、というカテゴリーの中に死生観と呼ばれるものがないのは
これは西洋医学も同様です。

死生観、の手前で機能すべき学なので
死を遠ざけるための必死な努力・・・
特に、細胞死まで起こりえても生体としての死が遠のくならそれでいいか?
みたいな感じのロジカルな学問でもあります。


だから宮川先生の仰せの通り、東洋医学独自の死生観はなくて当然。
周辺にある哲学的なものの中にそれはあります。


かのヒポクラテスも

「たとえ頼まれても誰にも決して毒薬を与えませんし、
そのような相談にも決して乗りません」と書いていて
(ヒポクラテスの誓い)、
死を呼び起こすだけの道具としての「毒薬」を扱う立場であるが
それを知りつつ処方したりしない、

つまりは死を遠ざけるための医療を追求する事を
誓っているわけ。

そして
「私の力と判断の限りをつくして患者たちのためになるようにと
食養生法を施しますが、健康に有害かつ不当となるものは
断固として慎みます」とも述べています。


そののちガレノス医学の時代にはキリスト教のコントロール下で
医学は教義を逸脱した方法をとることが許されなくなってしまいました。
これが数世紀も続いたので医学の暗黒の時代と呼ばれたのです。

その反動から輸血や手術技術の大発展を経て
近代西洋医学は病気を
「その人が持つ病態」として捉え、
死生観からは離れていった・・・、と考えられます。

そのため、ターミナルケアの領域では
死生観を求められるようなナラティブな出来事が出てくることになった。

特に鍼灸マッサージ師が
患者様の「突然の」あるいは「ゆっくりとした」死への道に
寄り添うとき、我々の中に「死生観」の教育がなければ戸惑うばかりになる、
というのは的を射ていると思います。

3年の短い時間で死生観の講義をカリキュラムに入れ込むことは
大変な難題であるといえます。
しかし、そういった寄り添いがあるという事実もある。
どうやって「臨床死生観」を養っていくのか。
とても難しい。

さて、
宮川先生は論説の中で以下の事についてもお話しされました。

これは是非しっておいてほしい(死生観とは離れてしまうけど)。

「東洋医学の歴史は長くて、その長い間に儒家思想を導入したり
神仙思想を導入したり、道教を導入したりしているようです。
なので、東洋医学の思想といっても、かなり複雑になっています。
短い期間で区切れば単純かもしれませんけど、2千年の歴史でみると、
複雑な構造をしています。東洋医学は2千年を一括して東洋医学なので、
特定の時代を切り離して東洋医学というわけにはいきません」



此の言葉が身にしみた・・・という読者さんは幾人おられるのでしょう?

※この先もかなり書いて、見直そうとして半分以上消してしまいました(泣)。


上記はとても重要。

東洋医学という言葉は
「西洋医学ではないもの」というカテゴライズのために
よく利用されていますが、
それぞれの使われ方には甚だインスタントなものが多い。
これは女性雑誌や健康雑誌などで皆さんがごらんになられているとおり。

私など
東洋医学の入り口にも立っていない、と自らをみています。
当然ですね。勉強不足なのですから。

臨床のために必要な現代医学的な理解すら
未だ乏しいのに・・・。

いつか、東洋医学の深淵に触れたいと思っていながら
そのページをめくる余裕すらないのです。

なのに、
東洋医学という言葉だけが利用されて

西洋医学と対をなすもののように扱われたり、
修業して間もない方が東洋医学の名の下にカリスマになっちゃったり、
なんだかなあ、と思います。

宮川先生の仰せの通り、

2千年を一括した「東洋医学」なので、
それをしっかりと俯瞰して理解してから
東洋医学を語れるようになりたいな・・・、

と、あすなろの木みたいなことを書いて、
今日は締めます(爆)。

明日以降、
思想的背景を理解されている宮川先生の臨床死生観を
読み進めていこうと思います。


ヒポクラテスのことば・・・。


人生は短く、術のみちは長い。
機会は逸し易く、試みは失敗すること多く、
判断は難しい。

ヒポクラテス全集より。


拙著電子書籍のお知らせ。
$ふわ~っと社長!のブログ
分解写真で学ぶオイルマッサージ完全マニュアル
For Your Tablet devices
「丁寧でゆったりとしたスタイル」を身につけよう [Kindle版]

Amazonプライム会員でKindle端末をお持ちの方は無料でお読みいただけます。
Amazonからどうぞ。



勝手連的宣伝:
織田先生の統合医療講習会は以下の内容で進行中です。



お申し込みは↓↓↓

(一社)統合医療支援センター


第1回 統合医療の理念
    6月28日(金)19:30~
  終了
第2回 鍼灸マッサージ師が医師と連携するとき1
    ~慢性疾患の病状管理 in 治療院~
    7月12日(金)19:30~  終了
第3回 関節痛の鑑別
    ~リウマチ患者を医師に紹介するとき~
    7月26日(金)19:30~  終了

第4回 精神科領域の方が来院したとき
    ~注意すべき大切なこと~
    8月9日(金)19:30~   終了
第5回 がん患者と鍼灸
    ~医師が鍼灸師に期待すること~
    9月13日(金)19:30~  終了
第6回 鍼灸マッサージ師が医師と連携するとき2
    ~家庭医との連携に必要な知識~
    10月11日(金)19:30~ 終了

第7回 腹部症状の鑑別
    ~鍼灸で診れる病態、診れない病態~
    11月8日(金)19:30~

第8回 しびれの鑑別
    ~簡単な神経診察法 in 治療院~
    12月13日(金)19:30~

第9回 胸部症状の鑑別
    ~聴診器をつかってみよう~
    1月10日(金)19:30~

第10回 産婦人科と鍼灸
    ~婦人科鍼灸と西洋医学~
    2月14日(金)19:30~

第11回 患者が治療院で倒れたとき
    ~治療者なら知っておくべき一次救命処置~
    3月14日(金)19:30~

第12回 医療情報の取り扱い方
    ~理解できるEBMの実践法~
    3月28日(金)19:30~


_____________________
医師の目線の統合医療の講演とは異なり、
戦略的に「鍼灸マッサージ師が」どうすべきか、をレクチャー。


席に余裕がないので、急いでお申し込みして下さいね。
※昨日、織田先生の計らいで

学割が設定されました。
学生さんは初回入会4000円、講義4000円のところ
入会1000円、講義4000円と何と!

3000円もお得!!


お早めに~。

今日で212日連続更新中。
通算1382エントリ。



酒;ウヰスキー考え事しながら。
腹筋;腹筋、娘を重りに。
スクワット:代わりに娘達を用いたエクササイズ。
      娘達は順手の大車輪ができそうな勢いです。


応援クリックをよろしくお願いいたします!


にほんブログ村 健康ブログ 指圧・マッサージへ
にほんブログ村

にほんブログ村 健康ブログ 統合医療へ
にほんブログ村

Facebookの「大磯治療院」にも
よろしければ「いいね」お願いいたします~。
$ふわ~っと社長!のブログ

こちら




日本東洋医学系物理療法学会は
新年度会員を募集中です。こちらのサイトを御覧下さい。




治療院サイトから予約状況などツイート最新情報が
ウィジェット表示でごらんいただけるようになりました。
ご予約前に治療院サイトチェック!!お願いいたします。
その日の空き時間、ツイート中です。
治療院サイトはこちら


ツイッターもよろしくお願いいたします。
@oiso_chiryouin



読者登録もご遠慮なくどうぞ。
(読者登録承認は
ブログがちゃんと生きている方のみにさせて頂いております。
最終更新が数週間前のブログ主さんの登録は受け付けませんので
よろしくお願いいたします。)



ソクラー・テクノスのホームページhttp://www.massagescore.info/
からどうぞ(ネットショップ有り)。
$ふわ~っと社長!のブログ
ジュンク堂書店、三省堂書店、アマゾンに加え、
日本スリービーサイエンティフィック、たにぐち書店様にても取扱い。
平成22年からスゴ腕ネット、22年末から「トワテックメディカルダイレクト」様にて
取扱中です。




※当ブログのコンテンツを無断引用、転載することを禁じます。
引用先として当ブログのURLを記載すること、ご一報いただくことを
引用、転載の条件としています。





過去ログは

Purunus amygdalus油
Macadamia integrifolia油

これまでの古い資料の紹介へジャンプ
1 「家庭マッサージ読本」
2 「図解按摩読本」
3 「マッサージ講義」
4 「スポーツマッサージ」
5 「日本マッサージ術講義~應病編~」
6 「オイルマッサージ」
7 「図解オイルマッサージ」

リフレクソロジー考察へジャンプ
その1
その2
その3
その4
その5

以下の広告宣伝文、及びリンクは
アメーバブログの機能により表示されています。
「ふわ~っと社長!」のブログ主はこれらのリンク先を
推奨することはございません。
したがって、リンク先に関わる一切のトラブルには
責任を負うことが出来ません。