[図解スポーツマッサージ」を発掘 | 院長の徒然なるままに。

[図解スポーツマッサージ」を発掘

なかなかおもしろい本をゲットしたのでご報告。

「図解 スポーツマッサージ」
鈴木克也・高沢晴夫・遠藤芳郎共著
不昧堂出版刊 昭和43年初版

というもの。

$ふわ~っと社長!のブログ

この本は筆者も全く知らなかった・・・。

著者略歴によると
鈴木克也先生は日本医科大学卒、日本大学教授、東京女子体育大学講師(当時)

高沢晴夫先生は横浜医科大学卒、横浜市立大学整形外科医講師(当時)

遠藤芳郎先生は東京衛生学園卒、理学療法士、関東労災病院、
日本体育協会スポーツ診療所理学療法室主任(当時)

となっており、これまで蔵書にした書籍とはやや趣が異なるようだ。

医師、理学療法士が著した「スポーツマッサージ」教本である。
ではどのような部分が異なっているのか。

通り一遍に人体の解剖学的名称、マッサージの歴史を記した前半部分と
主たる筋肉の作用を記した部分は丁寧でわかりやすい。

その後に記された手技の一般といったあたりは
あマ指業界のテキストと何ら変わりない印象を受けたが、

決定的に異なる部分がある。

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画像のように

「疲労しやすい、あるいは疼痛を感じやすいエリア」
に言及している
のである。

このような記載はさすがに東京オリンピックなどでスポーツ診療所を
担当していた著者らの経験がにじみ出ている。これはとてもありがたい。

そして、「傷害とスポーツマッサージ」の項目では

例に捻挫の項目を読んでいくと

○症状
○初期治療
○マッサージ
といった項目ごとの記載の他に

○古くなった例
として陳旧化した状態への対応にも触れているところがある
のである。

この手法はありがたい。

そしてテーピングがまだ一般的になじみのない時代で
あったからであろう、4cm幅の絆創膏固定法として
膝関節、足関節の固定法などが写真入りで解説されている。

ボリューム感もあり、何しろ臨床の現場で役に立つであろう
情報が網羅されており、読み応えがある。

ただし、一点だけ気になる点があった。
それは、

「按摩、マッサージ、指圧、柔道整復、はり、灸など医業類似行為は
医師の免許がなくとも出来るが、職業として報酬を得るためには
それぞれの資格免許が必要である。」
としている部分だ。

これはHS式高周波裁判の報道の影響があるのであろうが、
全くの間違いであり、医療行為の特別枠なのである、ということになる。

続けておもしろい解釈がみられる。

「例えば、柔道整復師の免許だけで、マッサージをやり、
あるいはあん摩師の免許だけで骨折の治療をして
報酬をもらうことは許されない。
マッサージはあん摩師の免許が必要である。」
としている。

また、目的によるマッサージの分類という項目でもおもしろい記載がある。

「マッサージはその行う目的によって、医療マッサージ、保健マッサージ、
スポーツ・マッサージ、産業マッサージ、美容マッサージなど
と呼ばれているが、手技は異なるものではない。
それぞれの目的に適うような方法や分量を選ぶのである。」


マッサージの名称の分類と、その手法には実は違いはなく、方法と分量のみの
異なりとしている点で興味深い指摘であると思う。


現在は廃刊となっているのであろう。残念である。

良書を安く手に入れることが出来た。
嬉しい。


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尚、筆者の論文
「統合医療で取りざたされる徒手療法のあはき法との整合性
~癒し、リラックスの名の下に無免許施術が広がるわけ~」は
本年9月頃発刊の「日東医学会誌」に掲載されます。



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