$・・・この先生キノコるには。-のうたけさて、前回は・・・
 →  【小幡緑地・初秋編2】常連顔のキノコたち の巻
・・・にて、ここでよく見られる者達を紹介しました。

今回は残された資料からも名が判明しなかった者達をとり上げます。
半ば反省会な感じになってしまいますがー、
これは野外探索では往々にしてある事で・・。

もっと現地でアレを確かめればよかった・・
なんでアソコを撮影しておかなかったのか・・・

そんな後から苦々しく思うケースとなります。

( 右) 前回載せるのをもらした ノウタケ さん。虫食い穴が痛そうだ。

後学のためにも、種類や個体名が分る方はコメント下さいませ。
これからの参考にさせてもらいます。 サーチ
ーーー

■ 後で気付く悲しさよ
野外探索では重い図鑑をいくつも持ち歩くわけにも行かず、
天候に左右されては時間も限られ・・疲労との戦いでもある。
その場では「これで十分だろう」と思っても、後に断定資料が足りないのは苦々しい。
デジカメも多少はこなれてきて、なるべく撮ったすぐに確認しておくよう心がけているがー、
フィルムカメラの悪癖がどこかに残っていて・・ 枚数を撮る事を躊躇する のが・・・忍ともかんとも。
バカらしいよね、デジカメのメモリカードには1万枚以上記録できるキャパがあるというのに。

さらには、液晶で確認した時はOKと思ったものの・・・
PCで大きく見るとピントが合ってなかったり、狙った対象がはっきりしてなかったり。
いやはやもどかしい (´・ω・)ショボーン

$・・・この先生キノコるには。-まんねんたけ
左) この一帯での マンネンタケ は発見二例目、汚れを取って撮影してやればよかったなあ・・。
中) 最初は アンズタケ? と思ってスルーしたが違うぞ? もっとヒダと根元の状態を見ておくんだった。
右) ちっさいのが倒木に生えていた、アップも撮っておけばよかったな。 


さて、ちょっち新たなルートに足を伸ばしてみたら斜面ににょっきりと特徴的なお姿が二つ。
以前に見つけた マンネンタケ とはまったく異なる場所ではあるが、( →以前の該当記事 )
立派に伸び成長した姿が見られてよかった マンネンタケ兄弟 。
ただ、土跳ねや落ち葉で汚れており、せっかくの光沢を撮影しなかったのが後悔される。

その近くにあった小型でオレンジ色の綺麗なキノコは落ち葉に埋もれていたので
少し掘り返して撮影をしたがピントが鏡の方へいってしまっているよなあ。
こんなに 特徴的で鮮やかな色のキノコ だから帰って調べればいいやと先を急いだのがいけなかった。
この辺りはまだ探索スタートすぐの時間で、寝坊もあいまって気が急いていた次第。

道すがら・・林に隣接する場所で住民が畑を手入れしていた。
その端のちょっとした土止めに置かれた木材から小さなキノコが顔を出している。
しゃがみこんで観察していると不思議そうに見られた・・・。
「おはようございますー!」 っと声をかけ
「畑の方にはキノコでてませんかー?」 と聞くもなんか笑われた・・・・。
この散策路には早朝からウォーキングしてる人も多いが、
そんな事を聞かれたのは初めてだったのだろう (*^ー^*)

$・・・この先生キノコるには。-いぐち
左) ヤマドリタケ属 の感じと思ったが、近くに寄れず残念。 
中・右) すらりとした姿が綺麗だった名無しさん。 


よく観察できない理由には場所が影響する事も多々ある。
入っていけない茂みや斜面、遊歩道から外れた立ち入り禁止の場所・・・。
小幡緑地には イグチ類 は多いのだが確認に側へ寄れないものはもどかしい。
裏と柄の状態をもっと見たかった、見ておくんだったと思うばかり。

そういう場所のキノコなら、人にむしられる事も無くキノコ生をまっとうできると・・・、
ボジティブに考えればいいのかもしれないが・・・・。

$・・・この先生キノコるには。-おにたけ
木陰になった斜面からにょっきり。かなり特徴があるようなのだけど・・・・。

これといった特徴が無いキノコだと、まあ・・撮影だけしておこうかとスルーする事はある。
だがしかし、逆に特徴があるから調べればすぐ判別できるだろうとスルーする事もある。
このコケ生した斜面から顔を出しているキノコも・・
ツブカラカサタケ や キツネノカラカサ属のオニタケの仲間 っぽいと思い軽く二枚だけ撮っておいたのだけど、
もっと柄の状態が判別できるアップも資料用に撮っておくべきだった・・・。
はっきりしたツバと綺麗なピンク色のヒダ、柄の上部の白さからすぐに分ると思ったのだが・・。
柄の根元のささくれの濃さから カラカサタケの仲間 は無いなと分ったぐらいか。

$・・・この先生キノコるには。-たこうきん
左) 落ち葉と保護色になっていて見落とす所だった。幸い陽の影で存在に気が付いた。
中) 裏をもっとよく観察すべきだった・・、針状か否かで属科が大きく異なるのだ。
右) 背景と同色なのも相まって撮影の角度に苦労した。 


ううむ、撮影にはかなりの時間をかけて撮ったり消したりしてたのだが・・。
これも特徴があるキノコだと油断したのが悔しい。
一見して 多孔菌科(広義のサルノコシカケ科) のようだし、管口もそのようだと思い込んだのがいけない。
もし細かな針状であれば イボタケ科 の可能性も出てくるというのに・・。

また、根元の状態(一本柄か株状か)や発生源(土壌か木部か)も重要だったのに
それを確認をしなかった事も悔やまれる、参考になったのに・・・(´Д⊂  汗
とはいえ、成菌をほじくり返すのはキノコウォッチャーの流儀に反する。
せめて付近の老菌などを探して見ておくのだったなあ・・。

$・・・この先生キノコるには。-いぐち2
左) ふと拾い上げたソレはまさしくキノコの傘、後ろに幼菌が見える。
中) 樹の根元斜面ににょっきり、紫色のビロード状の柄が綺麗だ。
右) せっかくのとれた傘なのでじっくり管口を見てみた。 


こういう場所ですれ違う散策者はたいてい気持ちよさそうに樹々を見上げたりするものだが、
私はず~~っと下を向いて歩いている・・・でもおかげで・・・。
踏み出そうとした枯葉の上に何やら スカシカシパン のようなものが落ちている。
いやいや海じゃないからな・・、っとつま先でつついてみるとカサリと裏返った。
ああ、やっぱりキノコの傘、それも イグチ類 のものだ。
誰かに蹴飛ばされたか、むしられたか・・・可哀想になあ。

斜面へ少し視線を上げたところに、どやらその仲間が生えていた。
紫色の傘、紫色のビロード状の柄、まっさきに ムラサキヤマドリタケ が浮かんだがー。

帰ってから見直してみると、柄の網模様が無くのっぺりしてるんだよね。
こんな色はイグチの仲間でもあまり無いはずだが、どう見たものか・・・。

$・・・この先生キノコるには。-たこうきん
左) まるで栽培してるかのようにビニールをやぶって見事な傘を広げていた。
中) 多孔菌(サルノコシカケ科)の特徴だが裏はヒダになっている。 カイガラタケ の仲間か?
右) ヒダの整然とした並びは庭園のような美しさがある。 小さな虫は迷ってしまいそうだ。 
 

当初は不思議に思った事で、小幡緑地内の樹木に巻きつけてあるビニールシートの件がある。
やがて園内の掲示で判明するのだが、見た目はけっこう異様である。
これは カシノナガキクイムシ による大量枯死の発生に対する措置であるという。
この虫は幹に穴を掘ると共に、ナラ菌などの病気を媒介するそうだ。

ところが・・っだ、これがまたキノコにとっては 温室状態 で・・・。
ビニールの内側からパンパンに菌糸を広げ、所によってやぶって顔を出していたりする。
上の画像もそういったものの一つである。

一見して 多孔菌(サルノコシカケ科) の特徴を持つのが分る。
柄が無く半月型の傘を広げ、年輪のような模様の成長跡があり、外縁部は若く白い組織が縁取る。
だが、裏を見ると 管口 ではなく、はっきりとした ヒダ となっているのが悩みどころ。
多孔菌の仲間でヒダを持つのは カイガラタケの一部 と思われ、
チャカイガラタケ 辺りが候補に挙がるが断定していいものか・・・。
そんな課題を残したキノコであった。 
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ってな訳で、今回は 名称不明 や 断定保留 といったものを取りあげてみました。
キノコの観察の視点、記録としての撮影には様々な気をつける点があると思った次第。
植物と異なり幼菌~成菌まで、あまりに異なる様相を示すので見ておくべき所は多い。

もっとも・・・ キノコウォッチング は難しい顔をしてるばかりでは面白くない。
時には 名無しさん と割り切って愛でるのもまたよいのではないかと思う。
名前が判ろうが判るまいが、そんな事は人間側の見方に過ぎないのだから。

人が振り向かなくとも、キノコはいつもそこにある。   by私
(朗読は伊武 雅刀、希望で・・)
(アインシュタインが量子論を批判した「月はそこにある」を思い出しました、正にそうだね。
NHKのアインシュタインロマン好きだった・・・・。)
   END

 続きはこちら →  【小幡緑地・初秋編4】 猫と戯れるひと時 の巻

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