えー、先日は久しぶりに近くの公園に立ち寄ってみました。
まぁ・・ この季節ではキノコはめぼしいものは見れなかったものの
鶴舞公園内にある、愛知県図書館に寄って本の方で観賞してきました。
さて、そんな中で面白かったキノコ本を紹介しましょう。
『キノコ・ワールド最前線』 山中勝次 :東京書籍
菌類学者であり、栽培に関しても企業のコンサルタントを行ってきた著者が、
『キノコとはなにか、意外にむつかしいその答え』 という基本的な話から、
『繰り返される、「偽マツタケ」騒動』 では、NHKも騙された詐欺商法の実態と、TV局の無責任さを告発する。
キノコ業界の裏話、会社間の紳士協定 なんて、当事者となった事件や騒動についての他では聞けない話。
『ついに「仁義なき戦い」に突入した巨大生産ビジネス』
死体から生える? 遺体発見キノコなどと呼ばれるものなど
『摩訶不思議な知られざる生態』 には興味深いエピソードが満載だ。。
キノコ入門者でもわかるような疑問から、専門的な話まで実にバラエティに富んだ中身である。
もう各章の話題そのものが、それぞれ一冊の本にできるようなテーマなのだ。
上記にしたその主たるものの内容を少し紹介しておこう、キノコ好きには興味が尽きないものだ。
「偽マツタケ騒動」
毎年、秋になるとでる話題がこれだ・・。
どこぞから「マツタケ栽培に成功」しただの、「某国でマツタケ発見」だの・・
マスコミもこぞって話題にするわけだが、その中身はウソ、偽情報だらけである。
日本にも昔から詐欺まがいの「新種マツタケ商法」があり、そういったプロ集団が存在する。
とある「しいたけ種」を「細胞融合で作った新種のマツタケ」として売り込むというものだ。
過去に、TVニュースの中で「新種マツタケ?」として報道された物がじつにそれで・・、
なんとNHKすらもニュース番組で取り上げていた程に騙されていたのである。
著者はその品種を鑑定し、TV局に対して警告するも・・・
民放はことごとく偽情報を垂れ流したままになっているばかりか、
過度なマツタケ信仰を煽って詐欺事件を助長している事実を告発している。
また、海外では松林に生えないマツタケがある事実から、種の伝播の考察や
昨今のDNA分析によるマツタケ菌の海外事情についても知られていない事実が多いと語っている。
「キノコ業界の裏話」
キノコ業界にも「大手」と呼ばれる会社がいくつか存在する。
実は・・、かつて栽培商品が重ならないように紳士協定が存在したという。
つまり、一方は 「ぶなしめじ」 には手は出さない、
一方は 「まいたけ」 には手を出さない、 ・・といった不可侵条約があった。
これにはキノコ業界の特殊な事情があって・・。
そもそも、野菜と違ってキノコにはそれまで 「ブランド」 という消費者側の意識が無かった。
今夜は鍋にしよう・・、そう考えた時に、産地やメーカーはほとんど意味を成さなかったのだ。
スーパーの棚に並んでいればどれでもよかったのである。
かつて長野県が特産品PRの一環として 「えのきたけ」 のキャンペーンをした逸話がある。
各所で物産展やポスターが「長野県産えのきたけ」をPRし、確かに知名度は上がった。
だが同時に・・、他県や他社の「えのきたけ」もまた売り上げは伸びたという。
つまり、 「えのきたけ」 の普及には貢献したが、消費者にとっては
それが長野県産で有ろうが無かろうが関係なかったのである。
こうした背景から、キノコ販売大手は互いが食いつぶすより住み分ける方を選んだわけだ。
だが・・ それも近年では大きく事情が変わった。
H社がうったCMがブレイク、話題になり「H社の○○○」という形の商品が売れるようになり、
キノコもまた 「ブランド」 の戦国時代に突入してしまったのだ。
参考 → HOKTO きのこ組
これにより各社とも紳士協定は無かった事にされ、新たな栽培工場の建設も始まった。
消費者にとってはこれからどう影響があるのだろうか・・・・
「遺体発見キノコ」
キノコのある種類は別名にこんな名を持つ。 「corpse finder (コープス・ファインダー)」
コープス=死体、であり、俗に「死体キノコ」「死体発見者」とでもいうべき名だ。
海外では実際にこのキノコによって殺人事件が解明された件もあるようで、
それはどんなキノコなのか詳しく解説されている。
非常に面白い内容なのでまた私もそのうち単独記事にまとめたい。
種明かしをすると・・、これらは死体そのものに生えるわけではない。
有機体の分解はバクテリアの仕事で、その後に残った窒素成分を求めて樹の根が伸び、
それに伴って好アンモニア菌である菌根種が発生、そこに子実体を発生させるというメカニズム。
つまりは、アンモニアなどの窒素成分がトリガーとなった現象だというわけだ。
これについては他にも 「モグラの巣から生えるキノコ」 や 「冬虫夏草」 についても
面白い話が展開されている。
けだし、「桜の下には死体が埋まっている」 なんて名文があるが
好アンモニア菌のいくつかの種類を見つけた場合、
「キノコの下には死骸が埋まっている」 のも高確率で当るというわけだΣ(;゚д゚)
END
ーーーーー
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キノコを語ってみる
【見えてるけど、見えてない話】キノコ・ウォッチングのススメ
「しめじ」なんてキノコは無い!?
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菌類学者であり、栽培に関しても企業のコンサルタントを行ってきた著者が、
『キノコとはなにか、意外にむつかしいその答え』 という基本的な話から、
『繰り返される、「偽マツタケ」騒動』 では、NHKも騙された詐欺商法の実態と、TV局の無責任さを告発する。
キノコ業界の裏話、会社間の紳士協定 なんて、当事者となった事件や騒動についての他では聞けない話。
『ついに「仁義なき戦い」に突入した巨大生産ビジネス』
死体から生える? 遺体発見キノコなどと呼ばれるものなど
『摩訶不思議な知られざる生態』 には興味深いエピソードが満載だ。。
キノコ入門者でもわかるような疑問から、専門的な話まで実にバラエティに富んだ中身である。
もう各章の話題そのものが、それぞれ一冊の本にできるようなテーマなのだ。
上記にしたその主たるものの内容を少し紹介しておこう、キノコ好きには興味が尽きないものだ。
「偽マツタケ騒動」
毎年、秋になるとでる話題がこれだ・・。
どこぞから「マツタケ栽培に成功」しただの、「某国でマツタケ発見」だの・・
マスコミもこぞって話題にするわけだが、その中身はウソ、偽情報だらけである。
日本にも昔から詐欺まがいの「新種マツタケ商法」があり、そういったプロ集団が存在する。
とある「しいたけ種」を「細胞融合で作った新種のマツタケ」として売り込むというものだ。
過去に、TVニュースの中で「新種マツタケ?」として報道された物がじつにそれで・・、
なんとNHKすらもニュース番組で取り上げていた程に騙されていたのである。
著者はその品種を鑑定し、TV局に対して警告するも・・・
民放はことごとく偽情報を垂れ流したままになっているばかりか、
過度なマツタケ信仰を煽って詐欺事件を助長している事実を告発している。
また、海外では松林に生えないマツタケがある事実から、種の伝播の考察や
昨今のDNA分析によるマツタケ菌の海外事情についても知られていない事実が多いと語っている。
「キノコ業界の裏話」
キノコ業界にも「大手」と呼ばれる会社がいくつか存在する。
実は・・、かつて栽培商品が重ならないように紳士協定が存在したという。
つまり、一方は 「ぶなしめじ」 には手は出さない、
一方は 「まいたけ」 には手を出さない、 ・・といった不可侵条約があった。
これにはキノコ業界の特殊な事情があって・・。
そもそも、野菜と違ってキノコにはそれまで 「ブランド」 という消費者側の意識が無かった。
今夜は鍋にしよう・・、そう考えた時に、産地やメーカーはほとんど意味を成さなかったのだ。
スーパーの棚に並んでいればどれでもよかったのである。
かつて長野県が特産品PRの一環として 「えのきたけ」 のキャンペーンをした逸話がある。
各所で物産展やポスターが「長野県産えのきたけ」をPRし、確かに知名度は上がった。
だが同時に・・、他県や他社の「えのきたけ」もまた売り上げは伸びたという。
つまり、 「えのきたけ」 の普及には貢献したが、消費者にとっては
それが長野県産で有ろうが無かろうが関係なかったのである。
こうした背景から、キノコ販売大手は互いが食いつぶすより住み分ける方を選んだわけだ。
だが・・ それも近年では大きく事情が変わった。
H社がうったCMがブレイク、話題になり「H社の○○○」という形の商品が売れるようになり、
キノコもまた 「ブランド」 の戦国時代に突入してしまったのだ。
参考 → HOKTO きのこ組
これにより各社とも紳士協定は無かった事にされ、新たな栽培工場の建設も始まった。
消費者にとってはこれからどう影響があるのだろうか・・・・
「遺体発見キノコ」
キノコのある種類は別名にこんな名を持つ。 「corpse finder (コープス・ファインダー)」
コープス=死体、であり、俗に「死体キノコ」「死体発見者」とでもいうべき名だ。
海外では実際にこのキノコによって殺人事件が解明された件もあるようで、
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非常に面白い内容なのでまた私もそのうち単独記事にまとめたい。
種明かしをすると・・、これらは死体そのものに生えるわけではない。
有機体の分解はバクテリアの仕事で、その後に残った窒素成分を求めて樹の根が伸び、
それに伴って好アンモニア菌である菌根種が発生、そこに子実体を発生させるというメカニズム。
つまりは、アンモニアなどの窒素成分がトリガーとなった現象だというわけだ。
これについては他にも 「モグラの巣から生えるキノコ」 や 「冬虫夏草」 についても
面白い話が展開されている。
けだし、「桜の下には死体が埋まっている」 なんて名文があるが
好アンモニア菌のいくつかの種類を見つけた場合、
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END
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